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【試乗】フォルクスワーゲン ゴルフGTI TCRは、ゴルフVIIの最後にして最高のGTIだ

Motor Magazine のロゴ Motor Magazine 2020/02/14 12:00 Webモーターマガジン編集部

WTCRに参戦するレーシングカーのストリートバージョンとして日本仕様史上最強のスペックで600台限定発売されるゴルGTI TCR。その切れた走りをワインディングロードで思う存分楽しんでみた。(Motor Magazine 2020年3月号より)

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290psの最強エンジンに最高のアイテムの組み合わせ

2019年10月に国内限定600台と発表された、ゴルフGTI TCR(以下、GTI TCR)のデリバリーが本格化している。

TCRは2017年に終了したWTCC(世界ツーリングカー選手権)に代わって、ツーリングカーレースの新たな代表カテゴリーとなったWTCR(世界ツーリングカーカップ)に参戦しているレーシングカーの名称だ。TCRは比較的低コストなことから世界各地で盛り上がっているカテゴリーで、ホンダやアルファロメオ、ヒュンダイ、ルノーなどTCR車両を用意しているブランドはかなり多い。フォルクスワーゲンも比較的早い時期からゴルGTIにTCRモデルを供給してきた。

その公道版となるのが、このGTI TCR。あくまでもストリートバージョンなので、派手なオーバーフェンダーやスポイラーなどは備えていないが、チューニングメニューはかなり高度だ。

ゴルフVIIのGTIは、これまでにもさまざまな限定モデルを生み出してきた。過去もっともパワフルだったのは16年にリリースされたGTIクラブスポーツ(標準時265ps、オーバーブースト時290ps)だが、今回のTCRはそれを上まわる性能を実現したゴルフVII GTIの集大成である。

まず目を引くのがエンジンスペックだ。標準のGTIが230psなのに対してTCRは60ps増しの290ps。トルクも30Nm増強した380Nmとなった。より高出力型となるゴルフRの2Lターボをベースとしているからだ。

同じくゴルフRをベースとしたクラブスポーツはオーバーブースト時10秒間限定の290psだったが、TCRはこのパワーが常時使える。それが時代分の進化なのだろう。なお、4WDのゴルフRは310ps/400NmだからTCRは若干のデチューンとなるわけだが、いずれにせよFFゴルフの最強モデルなのは間違いない。

デュアルクラッチ式トランスミッションのDSGは、GTIパフォーマンスと同じく6速から7速へとアップデートされている。また、パワフルなFF車の場合、コーナーでのアンダーステアが気になるところだが、GTIパフォーマンスに続いて電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックを採用。

これはコーナーリング中に内輪の空転を検知すると、デフ内部のクラッチを繋いで駆動トルクを内輪から外輪へと再分配するというもの。状況に応じて内外輪間で0〜100%までのトルク配分を行う。この他、アルミホイールは専用のインチで、タイヤは235/35のPゼロと、GTIパフォーマンスからサイズアップ。ブレーキも前後とも大径化が図られ赤いキャリパーが添えられている。さらに排気系のフィニッシュ部分にはアクラポヴィッチ製のチタンエキゾーストシステムを採用する。

電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックは、コーナー内側のタイヤ空転を検知すると、駆動トルクを内側から外側に配分して、コーナリングスピードを低減することなく積極的にアンダーステアを抑制してくれる。 © Motor Magazine 提供 電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックは、コーナー内側のタイヤ空転を検知すると、駆動トルクを内側から外側に配分して、コーナリングスピードを低減することなく積極的にアンダーステアを抑制してくれる。

普段の足としても使えて、いざとなればどこでも速い

ここまでの仕様を確認しつつ高速道路を走り出したのだが、乗り心地に超高性能FFスポーツを意識させるような無駄な硬さはない。GTI TCRはアダプティブシャシーコントロールのDCCを標準装備しており、これをコンフォートモードにセットしておけば、普段の足として非常に快適に使える。この汎用性の高さこそがゴルフGTIの普遍的な価値だ。

高速道路の山間部などでは、前にも増して路面にピタッと張り付くような安定感が楽しめる。その度合いは標準のGTIなどより明らかにワンランク上だ。エンジンパワーもさすがに強力だ。標準GTIよりも低速域からトルクフルで、リミットの6500rpmまで切れ目なく一気に持って行く。

2500回転あたりからエキゾースト音が変化し刺激を増して行くのだが、アクラポヴィッチ製のエキゾーストシステムは、チタンエキゾーストにありがちなガラガラとした音質を抑えたなかなかの快音。音量も適度で、この辺の抑制の利かせ方もまたGTIらしいと思えた。加えて、7速となったDCTは標準の6速よりさらに繋がりが良くスムーズで走りの質感を高めていたのも印象的だ。

そんな走りをさまざまな路面で味わった後、いよいよワインディング路へ。DCCをスポーツにすると足まわりがビシッと締まる。過去に乗ったGTIの中ではもっとも硬めだ。ターンインでのノーズの動きはさほどクイックではなく、切った分だけ素直に回って行く感覚。姿勢が速く作れるので、アクセルペダルを開けて行くタイミングも速くなるが、プッシュアンダーを見せず、フロントがグイグイと入って行く。これぞ電子制御油圧式デフの効能だ。

ただ、大パワーを前輪だけで受け持っているため、右足の踏み方次第ではトラクションコントロールが激しく作動する。その際もラインを乱すことはないが、縦方向のトラクションに関しては、FF車の限界も見えた気がした。

いずれにせよこのゴルフGTI TCR、おそらくゴルフVIIで最後かつ最高のGTIと言える。優れたADASが揃い、装備面も充実。インテリアも特別仕立てということを考えると509万8000円という価格もさほど高くないかもしれない。(文:石川芳雄)

標準のGTIより60psアップの290psを発生。しかも1950rpmから最大トルク380Nmを発生し、街乗りでも扱いにくいという感じは一切ない。 © Motor Magazine 提供 標準のGTIより60psアップの290psを発生。しかも1950rpmから最大トルク380Nmを発生し、街乗りでも扱いにくいという感じは一切ない。

■フォルクスワーゲン ゴルフGTI TCR主要諸元

●全長×全幅×全高=4275×1800×1465mm

●ホイールベース=2635mm

●車両重量=1420kg

●エンジン= 直4DOHCターボ

●排気量=1984cc

●最高出力=290ps/5400-6500rpm

●最大トルク=380Nm/1950-5300rpm

●駆動方式=FF

●トランスミッション=7速DCT

●車両価格(税込)=509万8000円

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