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【試乗記】 「7,400万円で世界にたったの4台...怖い」 日産「GT-R」のパワートレインを移植した「ジュークR」(ビデオ付)

Autoblog 日本版 のロゴ Autoblog 日本版 2017/04/28
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【ギャラリー】Nissan Juke-R Prototype 1 First Drive Photos14

車の中には、筆者と隣に座っているコ・ドライバーだけ。私が日産「ジュークR」の第1号車に乗り込むと、コ・ドライバーの彼はレース用のカーボンファイバー製のシートに座り、シートベルトを着用しながらも、不安を隠せない様子だ。このプロトタイプ1台を作り上げるだけでも相当な時間がかかっているはず。事実、現在世界でわずか4台しか生産されていない。ジュークRは1台65万6400ドル(約6527万円)の値がついていて、これまでに私が試乗させてもらった車のなかでも、最もレアで高価なクルマだ。

そして、この試乗はまさに筆者が望んでいた形のものになった。

駐車場でのちょっとした試乗会ではなく、日産が用意してくれたのは、現在閉鎖されている米国の「ナッシュビル・スーパースピードウェイ」内に設置されたロード・コースだ。ここで、コ・ドライバーが許してくれる限り、そして筆者が納得するまで、この車を存分に試す機会を与えてくれたのだ。エンジンはすでにかかっている。私は「どうか、クラッシュしませんように!」と言う陳腐なセリフをはいて、ギアのシフトを入れた。するとジュークRはうなりを上げてピットロードの出口へと向かった。

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ジュークRのコックピットは、まるで夢の世界のようだった。例えて言うなら、ある日いつものおんぼろガレージのドアを開けたら、そこには見事に揃った工具類と広いワークスペースが拡がっていて、しかも憧れの1969年型マスタングが置かれて作業を待っていた―というような感じだろうか。そしてそれが何故だか"当たり前のこと"に感じられるような。外観だけを見れば、ジュークRはSEMAショーに出品されているようなワイドボディのクルマより小さく見えるし、前後に装着されたカーボンファイバー製のエアロパーツやオーバーフェンダーが目を引くものの、それほど印象深いものではない。だが、2012年型日産「GT-R」から移植されたごついブレーキには目が釘付けになった。そこでようやく、これが単なるドレスアップされた前輪駆動のSUVではないことに気付いたのだ。

キャビンは、ジュークとGT-Rのハードウェアをミックスした感じだ。その場にそぐわないものは一つもない。 GT-Rからはステアリングホイールとパドルシフトが移植され、計器類、LCDスクリーン、シフトレバーもGT-Rのものだ。ジュークからは、バイクのオイルタンクをイメージして作られたセンターコンソールとダッシュボードがそのまま使われている。そして、夢の中にでてきたガレージのように、すべてが"当たり前"のようにそこにある。剛性を高めるためのロールケージが取り付けられており、シートベルトは5点式、シートもレース仕様のバケットだが、それ以外は普通のジュークに座っているのとなんら変わりはない。

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助手席に座っている勇気ある若者は、ロンドン北部にある小さな村、ウェリングバラのモータースポーツファクトリー、RMLのエンジニア。日産のスタッフとともに、このジュークRの製作に多くの時間を費やしてきた人物だ。だからこそ彼にジュークRがどんなものか、数周慣らしてみようと言われたときには、喜んで従った。まず度胆を抜かれたのは、ピットを出るときの加速だ。このマシンが本当にゴジラの血を引いていることを思い知らされたのだ。その押し出しの力強さは驚異の加速を誇るGT-Rと同じだ。そして、視界の端に捉えているものがスーパーカーのロングノーズではなく、アリゲーター式ボンネットの先に付いたウインカーであるという事実に、少しばかり気を失いそうになった。

コースに入り、最初の左に曲がる緩やかなカーブで、少しばかり早いタイミングでブレーキを踏んでしまった。最高出力545hp(552.5ps)のパワーと2530mmのホイールベースという組み合わせでは、コーナーでスピンし、タイヤ・ウォールに激突するかもしれないと、怖くなってしまったのだ。

「コーナーでは、もっとスピードを出していいよ」と、コ・ドライバーが言った。「ただ、アクセルとブレーキは、直進状態の時に踏むんだ」。

了解。

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私のような不器用な田舎者に「もっとスピードを出していいよ」と言うのは、チャーリー・シーンの目をじっと見つめながら「もう少しコカインをやっていいよ」と言っているようなものだ。そこには悪い結末しか待っていない。

だが、さらに数周走ると、私はこの車が高価でレアなシロモノだということを忘れ、やがて異常なまでに楽しくなった。太いケージで補強されたAピラーのせいで次に迫るコーナーのクリッピング・ポイントが少々見にくいのが難点だが、右足に力を込めればジュークRはGT-Rと同様、狙い通りのラインを描いてコーナーをクリアしていく。一方、GT-Rと異なる点は、強力なブレーキを効かせた際にジュークRのほうがよりニュートラルで、フィールを伝えてくるということだ。「直進状態で踏む」というルールを忘れて誤った操作をすればスピンするし、運転を楽しむまでには時間がかかるものの、まるっきりつかみどころがないわけでもない。とはいえ、ドライバーがしっかり制御できなければ、少々ピッチングを起こす。

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GT-Rの方が左右の車輪間隔が広いため、ジュークRのボンネットにGT-Rの V6エンジンを入れ込むには、フロント・サスペンションより後方に搭載しなければならない。そこで、スタッフたちはエンジン・ルームとキャビンの隔壁を15センチほど後方に下げた。車両重量はGT-Rとほぼ変わらないが、ジュークRのほうがずっと遊び心が効いている。熱くなってドライビングに没頭しているときに、興醒めになるような制御の介入は感じられなかったし、デュアルクラッチ式ギアボックスも意図しないところで勝手にシフトアップすることはなかった。というわけで、私はこのジュークRが大変気に入った。

もし、GT-Rに何か欠点があるとすれば、マシンがほとんど完璧であること。つまり簡単すぎて、できすぎた車ということだ。一方、ジュークRは"もうメチャクチャ!"とでも言うべきか。高価で、手作業の部分が多く、運転も一筋縄ではいかないが、スゴイということは間違いない。GT-Rが赤ワインと公共ラジオであるとすれば、ジュークRはウイスキーとロックンロールだ。今後の生産予定台数は多くても23台までで、日産の所有するプロトタイプ2台を除けば、今のところ一般の顧客に引き渡されたのは2台のみだ。余計な話かもしれないが、この2台のオーナーは同じ人物だという。1台は自分用に、もう1台は友人のためとのことだ。もしも、誰かほかにドライブの友を探している人がいたら、ぜひ私に連絡してほしい。

【基本情報】

エンジン:3.8リッターV6ツインターボ

最高出力:530hp

0-60mph:3.0秒

最高速度:170 MPH(約274km/h)

駆動方式:4輪駆動

車両重量:3,980ポンド(約1,805kg)(推定)

ベース価格:665000ドル(約7,400万円)

By Zach Bowman

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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