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トヨタの車づくりは「カムリ」から激変する 設計改革「TNGA」がいよいよ本格始動

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2016/12/07 冨岡 耕
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 トヨタ自動車は2017年に主力のセダンモデル「カムリ」を全面改良する。1月の米デトロイトモーターショーで公開されるとみられる。しかもただのモデルチェンジではない。この新型カムリは、これからのトヨタの車づくりを示す重要な戦略車となりそうだ。

 トヨタは12月6日、エンジンやトランスミッション、ハイブリッドシステムなど、車の中核を成すパワートレーン(動力伝達装置)を一新したと発表した。これは2015年に発売した4代目「プリウス」から採用している新しい設計手法「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)による改革の一環だ。

 TNGAは、部品の大幅な共通化や標準化でコストを削減するとともに、コスト削減で捻出した資金で商品力向上も目指す新たなクルマ作りの考え方だ。また、低重心化や走行性能の向上により、車の「走る」「曲がる」「止まる」機能を磨く狙いがある。

新型エンジンでより運転しやすく

 プリウスではTNGAの採用がシャシーなど骨格部分だけにとどまっていたが、先述の新型カムリから、パワートレーンも含めたTNGAの全面導入を急ピッチで進める。5年後の2021年には日米欧と中国での新車販売台数の6割以上に、新型パワートレーンを搭載する。

 今回開発したのは、排気量2.5リットルの4気筒直噴ガソリンエンジンと、このエンジンに対応したハイブリッドシステム、それに8速(前輪駆動用)・10速(後輪駆動用)のオートマチックトランスミッション(AT)だ。

 開発のポイントは走行性能と環境性能の2つにある。走行性能の面では、エンジン部品の小型軽量化やトランスミッションにおけるエネルギーの伝達効率向上により、ハンドルやアクセル、ブレーキといったドライバーの操作に対する反応を良くした。これにより、時速0キロから100キロへの加速時間が10%早くなるなど、動力性能が高まった。

 同時に環境性能を見ても、燃費が約20%向上する。2021年に新型パワートレーン搭載車が先述の販売台数水準に達せば、この燃費向上により二酸化炭素(CO2)排出量を15%以上削減することになるという。

 新型パワートレーンは部品の大幅な共通化でコストを削減する。これはTNGAの大きな狙いだ。従来は車種ごとに仕様が大きく異なっており、エンジンの種類が膨らんでいた。今回異なる種類の間でも構造や要素技術を統一化し、気筒の容積と数を自在に組み合わせられるようにした。

 こうした整理統合で、エンジンの種類を従来比で約4割削減する方針だ。加工や組み付けの基準、工程や設備の仕様も統一することで、開発効率とともに生産効率も向上させたという。

 ほかのトヨタ車にも速いスピードで展開しやすくなり、今後5年で、エンジンは今回開発した2.5リットルエンジンを含めて、9機種17バリエーションの投入を予定している。

率いたのは異例の部品メーカー出身役員

 開発を担ったのは、2016年4月に製品群や技術分野ごとに作った7つの社内カンパニーのひとつ、「パワートレーンカンパニー」。これを率いるカンパニープレジデントの水島寿之専務役員は、新卒でアイシン精機に入社し、生産技術畑を中心に歩み、副社長まで務めた人物だ。

 これまではトヨタがグループ各社に役員や幹部を送り込んでいたが、水島氏は昨年にトヨタから招聘されて、アイシンから転じた。グループ各社からのトヨタ本体の役員への抜擢は異例だ。

 水島氏は部品メーカーとの連携を強調する。「従来はまずトヨタが先行開発していたが、これからは初期段階から部品メーカーも一緒に開発に取り組む」。

 また水島氏は、「部品メーカーは多くの完成車メーカーと付き合いがあり、さまざまなニーズに対応する。実はTNGA製品もトヨタ車だけでなく、いろいろな車に搭載することも想定している。必要とする顧客がいればトヨタ以外にも供給したい」とアイシン精機で培った知見をどう生かしているかについても触れた。

 TNGAは部品メーカーにとってチャンスでもありリスクでもある。ある部品メーカー幹部は「一度受注すると幅広い車種に採用されるため、これまでと桁が違う数量が期待できる。だがいったん失注すると、大きな損失になる」と話す。

 また、トヨタにとっても、開発スピードが上がり、コストが低減できるメリットがある一方、仮に不具合などが起これば、同一車種だけでなく、幅広い車種までリコール対象になる可能性があり、もろ刃の剣でもある。

 まずは来年発売の新型カムリが世界の市場にどう受け止められるかが、今後のTNGAの試金石となりそうだ。トヨタの新戦略は吉と出るか。

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