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市場はどう反応するか、「メキシコ産」の新アウディQ5

Forbes Japan のロゴ Forbes Japan 2017/10/08 ピーター ライオン

© atomixmedia,inc 提供 世界中どこへ行っても、人気急上昇のジャンルといえばSUVになっている。そして評価においても、たとえば僕が会長を務めるワールド・カー・アワードでも、2017年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞候補のファイナリスト3台は、いずれもSUVだった。

そんな中でアウディQ5は、最高のコンパクト・クロスオーバーの1つと言えるだろう。事実、2008年に発売になって以来、中型の高級SUVのベストセラーとして君臨してきた。今回僕が日本で試乗した新しい2Lガソリン仕様は、これまでのモデルに比べて、ほとんどどこをとってもかなり進歩したと言える。

アウディのラインナップのうち、日本でいちばん売れているのがA3だが、新Q5をそれに次ぐモデルにしようというのが、アウディ・ジャパン社の狙いだ。 自動車ん業界サイト「carsalesbase.com」によれば、実は、中国でも富裕な中流層が増えるにつれて、Q5は年を追うごとに約10%ずつ売り上げを更新している。

では、このクロスオーバーのどこがそんなに魅力的なのか。

まず、外観のデザインがカッコいい。そして、エンジンとデュアル・クラッチ・トランスミッションの選択が絶妙で、インテリアも高級感があり、ハンドリングはスポーツセダンのようなのだ。

詳しい話をする前に、まず触れておきたいことがある。それは、これまでドイツ・インゴルシュタットで生産されていたQ5だが、この2世代からはメキシコのプエブラ工場で生産されることになったということ。うぅむ、メキシコで生産するメーカーを嫌うトランプ大統領に輸入税を課すと言われないのかな。

とはいえ、まず知らせるべきことは、アウディが、メキシコ生産でも本国ドイツ生産のそれに劣ることはない製造品質を実現したことだ。少なくとも、僕はメキシコ製だからと言って、何も問題は感じなかった。

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期待を裏切ることなくA4ゆずりの美しいプロポーションを持つQ5。アウディのクロスオーバーによる代表的なグリルとLEDのヘッドライトの角度も申し分ない。メルセデスGLC、BMW X3がライバルであるこのクラスで、Q5はもっともスタイリッシュだと言える。

A4のプラットフォームに縦置きエンジンを配し、アルミを多様して車重を60kgも低減させた。欧州ではディーゼル仕様が主流だけど、僕が試乗した日本仕様の2LのTFSIガソリン・ターボは、252psでトルクは370Nmwを発揮し、燃費は13.9 km/Lとこのクラスでは悪くない。運転好きにはたまらない7速ディアル・クラッチSトロニック・トランスミッションは、運転していて純粋な喜びを感じる。

そして、冗談抜きで、オートマ・モードがかつてなく素晴らしく、ギアチェンジにほとんどショックはない。マニュアル・モードに入れてパドルでシフトすると、ギアチェンジがさらに速くスムーズだ。ただし、低回転域では少しターボ・ラグがあるが、気にする人はほとんどいないだろう。

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「アウディの4駆」といえばクァトロだが、クァトロ・ウルトラと呼ぶQ5のシステムは4つのホイールを賢く制御する。たとえば、高速道路をゆったりクルーズするときなどは、後ろ2輪にはトルクを送らない。もちろん、これで燃料が節約されるためだ。前輪がスリップし始める途端、後輪が作動すると同時に、適度なトルクが4輪に送られて安全性を保つ。

ドライブモードは4つある。セレクト・ボタンでドライブ・モードを選択すると、スロットル反応からトラクション・コントロール・システム、ステアの重みまで選ぶことができる。いちばん基本な設定のサスペンションは、驚くほどスポーティで固いので、ほとんどのドライバーはむしろ「コンフォート」を選ぶはず。思い切りスポーティに走りたいときは、「ダイナミック」に入れれば、ボディロールやピッチングを押さえられ、スポーツセダンに近いハンドリングが可能となる。

外観の上品さはインテリアにも引き継がれ、ここでもA4のデザインを受け継ぎつつ、さらに上質な素材が用いられている。室内のどのパーツも見た目がよく、手触りも気持ちいい。 ギア・ノブは本革巻で、8.3インチのタッチパッド・スクリーンのセットアップも使いやすい。座り心地のよいシートもうれしい。視認性は360度良好だし、後部席のスペースは大人にとってもこれまでよりゆとりができた。

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また、セーフティ面にも進化が見られる。新Q5に採用されたアダプティブ・クルーズコントロールは、ノロノロ運転の渋滞時に操舵してくれるし、レーン・キープアシスト機能も搭載された。そして、他のクルマとの車間距離が危険と察知すれば警告もしてくれる。

ボディの側面は、死角モニターがチェックしている。ドアを開けようとするときに、歩行者や自転車が接近していて危険と判断すると、ドアハンドルの窪みにある赤いライトが光って警告する。それでもドアを開けて出ようとすると、警告を無視しているとモニターが判断してドアが開かないようにすることもできる。

アウディがQ5にかける期待は高く、計画は壮大だ。その実現を阻む要素があるとしたら、価格と、メキシコ製ということに市場がどう反応するかに尽きるだろう。僕が試乗してみた限り、何の問題も見つからなかったし、700万円からという価格もライバルと比較してちょうど良い設定だと思う。

では、Q5はアウディのラインナップでA3につぐランキング2位になれるのか? それは時間が答えてくれるだろう。

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