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日本のレースには”可能性”が残されているか?……モータースポーツの未来考える

motorsport.com のロゴmotorsport.com 2019/12/03 14:26 田中 健一
舘信秀(トムス ファウンダー)、鈴木亜久里(ARTA Project プロデューサー/総監督)、近藤真彦(KONDO RACINGチームディレクター)、谷本勲(トムス代表取締役、モブキャストホールディングスCOO) © HIROMASA TAKEUCHI 舘信秀(トムス ファウンダー)、鈴木亜久里(ARTA Project プロデューサー/総監督)、近藤真彦(KONDO RACINGチームディレクター)、谷本勲(トムス代表取締役、モブキャストホールディングスCOO)

カンファレンス「MOBCAST 5E 2019」に舘信秀、鈴木亜久里、近藤真彦が登壇。モータースポーツの未来をどうしていくべきか……それについての議論が行なわれた。

 11月21日(水)に、東京都内で「MOBCAST 5E 2019」というカンファレンスが開催された。これは「日本のエンタメ革新」を目指すというテーマの下、モブキャストホールディングスが主催したもの。当日はエンターテイメント業界、IT業界から様々な人々が登壇し、日本の将来のエンターテインメントについての意見が交わされた。

 その中のテーマのひとつとして取り上げられたのが「モータースポーツの未来」。当日はKONDO RACINGチームディレクターの近藤真彦、ARTA総監督の鈴木亜久里、そしてトムスのファウンダーである舘信秀が壇上に上がり、今の日本のモータースポーツの問題点、そして将来の可能性について話し合われた。司会はトムスの代表取締役であり、モブキャストホールディングスのCOOである谷本勲が務めた。

 登壇した3人は、今の日本のモータースポーツは面白いはずだと口を揃える。

「スーパーGTのレースは面白いと思います。日本のGTレースはすごくよくできていて、ホンダ、日産、トヨタが作ったマシンが競い合い、タイヤ戦争もあります。サーキットはお祭り的な要素もあって、レースクイーンもたくさんいる。ファミリーで観戦に訪れる方も多い。我々もお客さんを増やすための努力をしています」

 そう近藤は語る。

「スーパーフォーミュラだって、レースはすごく面白いです。ビジネスチャンスもありますし、ドライバーがステップアップするためのチャンスもあります。そのため、我々のチームには海外のドライバーからの問い合わせも非常に多いです」

 また鈴木も、これだけの観客が入るモータースポーツは、世界を見てもあまり例がないのではないかと語る。

「今のスーパーGTには、多いところで土日合計で9万人のお客様がいらっしゃいます。そんなイベントは、日本では他になかなかないと思います」

「普通のクルマをベースにしたレースとしては、世界でも最もお客さんが入っているレースなんじゃないかと思います。日本独自のルールでやって、日本のお客さんに合うようなレースになってきたんじゃないかな」

 ただ、例えばスーパーGTを例に挙げれば、収益構造の面で必ずしも成功しているとは言えない。司会を務めた谷本は、放映方法を議論していくべきだと指摘した。

「F1やNASCARでは、レース中にどのクルマがどこを走っているのか、それを楽しめるようなコンテンツが既に盛り込まれています。また、国際映像では映されないような、後方のマシンを追うことができるチャンネルもある。さらに無線交信も聞けるようになっています。なぜ日本のレースでは、そういうことをしないのかなと思うこともあります」

 モブキャストホールディングスの傘下には、スマートフォン向けのゲームを作る会社、レストラン運営等を手がける会社など、様々なエンターテイメント関連企業が名を連ねる。そんな中2018年に、トムスの株式を取得。モータースポーツ業界に参入することとなった。

「実は持っているコンテンツは、ものすごく面白いのではないかと思ったんです」

 谷本はモブキャストがモータースポーツに参入することになったきっかけをそう語った。

「有料動員数は増えている。でも、放映の仕方は昔からあまり変わっていない……持っているコンテンツに対して、できていることがすごく小さいんじゃないかなと。それをもっと花開かせることができれば、もっと大きな業界になる。その業界に中心的なチームの一員としていられれば、大きなことができるのではないか……そう考えて参入したんですね」

「実際に参入してみて、やはり可能性はあるなと思った反面、なぜ先ほど言ったようなことがモータースポーツ業界から自発的に起こせないのかと思って、やきもきしているところです」

 配信・情報伝達の洗練化……それが今後の日本のモータースポーツがやらなければならないことだと、各者が口を揃えた。そんな中、舘は「公道レースをすべきだ」と持論を展開した。

「モータースポーツの素晴らしさを口で説明するのは難しいです。だからホンモノを見ていただきたいと思います」

 そう舘は語る。

「そのためには、公道レースをやるべきだと昔から言ってきました」

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「公道レースをやることによって、今までモータースポーツに接することがなかった人たちが見てくれる。そしてこれを見た人たちが『面白いな』と思って、サーキットに来てくれるようになるんじゃないかと思います」

「フォーミュラEは、世界中の街のど真ん中でやっています。東京でもやれれば、多くの人が興味を持ってくれると思います。だから公道レースが大事だと、僕は思います」

 この意見には登壇した面々が同意する。

「もし公道でレースをやったら、今の9万人を上回る人が来てくれる気がします」

 鈴木亜久里はそう語った。

「東京のいちょう並木で、レッドブルのF1マシンが2台走った時、わずか5分くらいの時間だったにも関わらず、1万人ものお客さんが来て、もう入れないほどだった。モータースポーツに興味がないんじゃなくて、入ってくるためのドアが分かっていない人が多いんだと思いました」

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「公道レースをやれれば、すごく多くのお客さんが来ると思うし、反響もあると思う。でもそのためには、警察や行政との調整が必要ですし、お金の問題もあります。コースを作る際、全てをコンクリートウォールで囲まなきゃいけません。レースをやるだけなら、3日間閉鎖するだけで済むかもしれません。でも、コースを整えるのに、1カ月も2カ月もかかってしまいますから」

 谷本は、公道レース実現のためには、国の協力が必要不可欠だとしながらも、確実に大きな産業になると感じているようだ。

「シンガポールが参考になるかもしれません。シンガポール政府がF1を誘致し、多大な協力をしているからです。でもなぜそのための資金を拠出するかといえば、観光客が増えるし、世界からの注目も増す。日本で同じ構造が作れないわけはないんです」

 年々盛り上がりを見せる日本のモータースポーツ。しかし、ビジネスという面でいえば、まだまだすべきことが多々ある。この日登壇した4人はそれぞれ、日本のモータースポーツをさらに活性化させるため、様々な施策、PRをしていくと誓った。

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