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「家庭での性教育が子どもを救う」元看護師の女性が“とにかく明るい性教育”続けるワケ

ORICON NEWS のロゴ ORICON NEWS 2019/04/16 06:30 ORICON NEWS
性教育3大メリット(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』挿絵イラストより) © (C)辰巳出版社 性教育3大メリット(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』挿絵イラストより)

 昨年1年間で、SNSによって性犯罪などの被害にあった18歳未満の子供は、1813人であることが警察庁により発表された。その割合は中高生が9割を占め、11歳以下の被害児童数は17と報告されている。「これだけの子どもが巻き込まれていることを知ってほしい。歩けさえすれば、乳幼児だって被害にあう可能性も。家庭でいかに性教育を行えるかが、子どもたちを守る鍵になるんです」。そう語るのは、とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事、のじまなみさんだ。“家庭でできる楽しい性教育”を提唱し、国内外で年間4000人の親たちに講演活動を行う彼女に、活動のきっかけや、日本の性教育における現状について話を聞いた。

■「助けたいから、知らない人でもついていくかも」子どもの言葉に衝撃を受けた

 「私の父親がもともと豪快な人で、幼少のころから性の話を包み隠さず話してくれたんです」というのじまさん。その考え方が基盤となり、家庭を持ってから自身の娘たちにも“性教育”をし続けてきたという。日本では家庭で性の話をすること自体、まだまだタブー視される風潮はあるが、それでも世間に広めなければとのじまさんが強く思ったきっかけは、自宅近くで起こった誘拐事件について娘たちと話していたときのことだった。

――お子さんたちとはどんな話をしたんですか?

【のじまさん】自宅から歩いて数分ぐらいのところで、中学生の女の子が2年間大学生の男の人に誘拐されるという事件があったんです。こんなに人通りが多く、田舎町でもない住宅街で、中学生の女の子が事件に巻き込まれることがあるんだと強く衝撃を受けて。娘たちに「もし知らない男の人やかっこいいお兄さんに、『助けてください』とお名前を呼ばれて、声をかけられたら、あなただったらどうする?」と聞いてみたんです。そしたら「助けたいかもしれないから、ついていく」と答えたんですね。もし道を教えてっていわれたら、教えにいっちゃうかもと言われたときに、本当にドキッとして。子どもはついていった先にどんな未来が待ち受けているか、想像できていないんだと思い知らされました。

――イメージできていれば、知らない人についていくのを防げる?

【のじまさん】そうです。例えば交通事故だって、結局痛い思いをするってことがわかれば、赤信号は渡らないでおこうということがわかる。親は子どもに交通ルールを教えることができます。でも、交通事故と同じくらい人生を左右する“性の話”って、どの親もできない。だったらそこを話せるような活動を私がしていこうと。私が娘たちにしてきた話をほかの親御さんにもお話させていただいて、今は協会を立ち上げるまでになりました。

――協会の名前には「とにかく明るい性教育」「パンツの教室」と、大人たちも思わず目を引くような言葉を使われていますね。

【のじまさん】性教育ってタブー視されがちで、基本的には誰からも教わってきていないので、皆さん何よりも苦手意識が高いものだと思うんです。でも性教育はネガティブなことではないとアピールしたくて、“とにかく明るい性教育”としました。あとは親御さんから性教育ってどこから始めればいいんですか?という質問を多くいただくので、私はまず「パンツを洗わせることからスタートしてください」と言っているんです。子どもが自分で毎日パンツを洗うことが、教育のきっかけになりますよと。だから“パンツの教室”としています。「性産業?」「パンツを作る教室なの?」などと言われますけど、まずは注目してもらうことが大事だと思っています。

■“性”は親世代が声に出せないナンバー1の悩み「3歳から性教育を始めてほしい」

――相談に来る保護者のなかで、一番多い悩みはなんですか?

【のじまさん】2つあって、一つはエッチな動画を見ていたんだけど、どうしたらいい?という悩みです。いまはスマホやタブレットで何でも調べられちゃいますよね。きちんと全部の単語を入力できなくても、「せっく…」「おっぱ…」と短い単語でたどり着きます。もうひとつは自慰の問題ですね。我が子が自慰をするのですが、どうしたらいいですか?と。それがツートップです。

――そんな場面に遭遇したら、正直受け止めきれないかもしれません。

【のじまさん】そうですよね。でも、ピンチはチャンスなので。親がドキっとしたときが、性教育のチャンスなんです。親がどう対応すべきかも含めて、今回『お母さん!学校では防犯もSEXも否認も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)という本を書かせていただきました。運転免許を持っていない人が高速を運転できないように、性教育も習っていないと正解が分かりません。漢字が書けない、かけっこが遅い、泳げない…そんな悩みよりも、実は親世代が声に出せないナンバー1の悩みって“性”についてのことだったりするんですよね。

――性教育は何歳ごろから始められるんですか?

【のじまさん】『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』という全世界で性教育の指針としている手引書によると、スタートは5歳からとあります。しかし、私はそれでは遅いと思うんです。歩けるお子さんだったら、何歳でも性犯罪にあう可能性があります。当協会では3歳からはじめてほしいと皆さんに伝えています。

――3歳だと、伝えたこともすぐ忘れてしまいそうですよね。子どもにどのように伝えていくのが大事なのでしょう?

【のじまさん】まず、体には“自分だけの大切な場所”があることを教えていきます。それは「口」と「胸、性器、おしり」です。「胸、性器、おしり」は水着を着たら隠れるので、「口」も含めたこの4カ所を「水着ゾーン」と分かりやすい言葉で伝えています。「水着ゾーン」だけは他人に見せても触らせてもいけない、自分だけの場所だと教えるんです。それは友達にとっても大事な場所であること、外で水着ゾーンに関する話をしたり、見せたりしてもいけないということを繰り返し言い聞かせます。そのかわり分からないことがあったら、何でも親に聞いてねと。

――確かに、親には質問してもいい、家では話してもいいということにすれば、習った単語を外でつぶやくんじゃ…と心配しなくて済みそうですね。

【のじまさん】そうですね。「私には話していいんだよ」と言うと疑問に思ったことを素直に伝えてくれるので、誰かに触られるようなことが万が一あっても、ちゃんと教えてくれるようになります。

――実際に「赤ちゃんってどうやってできるの?」「〇〇って何?」と不意に質問された場合、きちんと説明ができるのか不安という声もあります。

【のじまさん】確かに「性交」や「受精」といったワードを子どもの前で口にすることに、恐怖感を抱く親御さんもいらっしゃいます。まずは親が性教育に関するワードに慣れることが必要です。当協会では「性教育カード」というトランプのような教材を用意しています。ウサギやカエルや人など様々な種類の「雄」「雌」「交尾(性交)」のカードを3つ揃えて、大きな声で「受精!」と叫んでもらうゲームです。お子さんと一緒にゲームすれば、どうやって赤ちゃんができるのか楽しみながら伝えることができますし、性に関するワードを言うことに親御さんも慣れてくれるんです。

――性の話をすることで、親が気を付けるべきことは?

【のじまさん】重要なのは、性教育は命の授業でもあるということです。「生まれてきてくれたことが奇跡」「あなたが大切なんだよ」と、子どもの心に愛情をたくさん与えてあげることが大切です。欧米は愛情表現がストレートですが、日本では言わぬが美徳という文化もあります。「大好きだよ」とお子さんに言えない親御さんもたくさんいます。でも愛情は、言わなきゃ伝わらないんです。大きくなるにつれて、受験、恋、スポーツ、自分の容姿など悩むことはたくさん出てくるはず。何か子どもがつまづいたときに、親からの愛情が必ず助けになる。そう思って、お子さんに愛情を注いでほしいですね。

■学校ではできない性教育「皆の“当たり前”になるよう裾野を広げたい」

――学校における性教育の現状はどのようになっているのでしょうか?

【のじまさん】中学校で「性交」や「セックス」「コンドーム」という単語は、指導要領のなかに載ってはいません。学校の現場に行くと、先生方は「私たちは性教育はできません」って公表されるんです。学校ではやりませんと。家族形態も多様になっているなかで、その子の環境を考慮した対応ができない。だからご家庭でお願いしますとなる。それが今の現状です。学校教育に性教育が入るというのは、これから10~20年ほどかかるとは思っていますが、家庭、社会、地域の3点で“性の教育”を確立していけたらと思っています。

――今後やりたいことは?

【のじまさん】まだまだ性教育はやらなくていいものだという声がたくさんあります。学校に行くのが当たり前のことであるように、学校でも性教育が学べるという認識がつくように、活動していきたいです。現在協会には200名以上のインストラクターが全国にいますが、その数をもっと数を増やして“性教育”の裾野を広げていきたいですね。

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