古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

“がん家系” “若いと進行が速い” 「がん」の通説、本当はどうなの?

Mocosuku のロゴ Mocosuku 2018/11/06 18:34

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)

医療監修:株式会社とらうべ

日本人の死亡原因は男女ともに「がん」が第一位です。

「がん」にまつわる話題はニュースや雑誌などで日々取り上げられ事欠きません。

たくさんの情報が溢れるなかから、いったいなにを信じればよいのか分からない…という方も多いのでないでしょうか。

今回は「巷でよく耳にするがんの通説」を掘り下げながら、私たちが知っておくべき正しい知識を解説したいと思います。

2人に1人がかかる「がん」

もしも自分や身近な家族が「がん」と診断されたら、誰しも「まさか自分や家族が、がんになるなんて」と驚くことでしょう。

しかし、国立がん研究センターの調査によると、日本人が生涯でがんになる確率は、男性が62%、女性が46%と報告されています。

およそ2人に1人の割合でがんを発症することが明らかであるのに、その現実や原因を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

そのために、「がん」に対してより強い不安を感じるのかもしれません。

また、日常生活における注意や検診などの必要性の知識不足から、本来予防できたはずのがんが進行してしまうことも考えられるのです。

がんを必要以上に恐れず、そして、効果的に予防するために、正しい知識を把握しておくことはとても大切です。

※国立がん研究センター『知っておきたいがんの基礎知識』(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html)

そもそも、どうして「がん」になるの?

「がん」はどのように発生するのでしょうか。

がんは風邪やインフルエンザなどのように人から人へうつりませんし、自然発生することもありません。

ウイルスの感染が結果的にがん発生のきっかけにはなり得ますが、総じて「がんは遺伝子がダメージをうけたことによって起こる病気」とされています。

正常な細胞の遺伝子に何らかの原因によって傷ができ、異常な細胞が作られてしまうことがあります。

ただし、その場合でも、通常は修復されたり、リンパ球などの細胞が攻撃して異常な細胞をなくしたりする仕組みが人間の身体には備わっています。

ところが、まれにその仕組みをかいくぐった異常な細胞が増殖してかたまりとなり「がん」という病気を作り出してしまうのです。

日常生活にも潜んでいる「がん」の要因

“がん家系” “若いと進行が速い” 「がん」の通説、本当はどうなの? © Mocosuku Woman 提供 “がん家系” “若いと進行が速い” 「がん」の通説、本当はどうなの?

さて、「何らかのきっかけ」により異常な細胞ができると先述しましたが、どのようなことがきっかけとなるのでしょうか。

「がん」は生活習慣病と言われるほど、その原因には普段の生活習慣が大きく関わっています。

実際の調査でも、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、生活習慣や感染が原因であったと報告されています。

とりわけ「がん」のリスクとして注意したいのはタバコです。

タバコは肺がんだけでなく、舌がんや咽頭がん、喉頭がん、食道がんなどのリスクにもなりますし、受動喫煙により周りの人が被る影響も計り知れません。

この他に、塩分の摂りすぎや偏った食生活、とくに肉ばかりを食べて野菜や果物が不足しがちな食習慣もがんを招くきっかけになります。

また、過度な飲酒は食道がんや肝臓がんのリスクに、熱すぎる飲み物や食べ物は粘膜を傷つけるため食道がんなどのリスクになることも明らかになっています。

このように、日常の何気ない生活習慣のなかに「がん」を発生させるさまざまなきっかけが隠れています。

別の見方をすると、生活を見直せばこれらのリスクを大幅に軽減できるともいえます。

「がん家系」って本当?

それでは、よく言われる「がん家系」という通説は真実でしょうか。

たとえば、祖父は肺がん、祖母は乳がん、父は胃がん…のように、家族に複数の種類の「がん」にかかった人がいるケース。

珍しい話ではないのですが、これは「がん家系」ではありません。

「がん」は基本的には遺伝しない病気です。

家系の影響はおよそ5%程度ともいわれています。

ただし、一部の「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」「卵巣がん」「皮膚がん」などについては、遺伝の関与も指摘されています。

しかしながら、それよりも気をつけたいのは家庭の環境です。

家族は当然ながら食生活が似ていますので、味付けの濃い家庭ではみな濃い味を好み、塩分の摂取量が多ければ胃がんのリスクは高くなります。

家族に喫煙者がいると、そのタバコの影響でがんになりやすい、といった傾向も考えられます。

もし、あなたの身近で「がん」にかかっている人が多いようでしたら、一度家族の生活習慣を客観的に見てみてください。

また、大腸がんや乳がん、前立腺がんなど、先に挙げた特定のがんの人が血縁者にいる場合は、定期的に検診を受ける意識が必要です。

若い人ほど「がん」の進行は速い?

「若い人ほど進行が速い」こちらもよく耳にする「がん」の通説ではないでしょうか。

しかしながら、基本的にこれは誤った認識で、年齢と進行の速さは無関係と考えられています。

「がん」は発生した場所やタイプによって進行速度は異なります。

若くてもゆっくり進行する人もいれば、高齢でも速く進行する人もいます。

ただし、若い世代に多い「がん」には、性質の悪いタイプであったり、年齢が検診の対象外で発見が遅れ、進行した状態で発見されたりすると、急速に悪化して早く亡くなってしまう…という背景はあるでしょう。

いずれにしても、「がん」の進行を年齢で判断して悲観せず、正しい診断に基づいて捉える意識が肝心ということです。

「がん」の理解を深め予防を心がけよう

世の中には「がん」に関する膨大な情報が出回っています。

予防のために重要なポイントは、正しい知識を得ておくこと、そして、自分や家族の身体を過信しないで常日頃から気にかけておくことです。

国立がん研究センターの調査では、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの生活習慣に気をつけていると、がんのリスクはほぼ半減すると報告されています。

基本的な生活習慣を整えて定期的に検診を受け、「がん」になったとしても早期に発見できるように備えておきましょう。

情報過多のなか、頼りすぎたり鵜呑みにしたりすることなく、正しい情報・必要な情報を取り入れて上手に健康維持に役立てる、これが賢い予防といえそうです。

【参考】

・秋津壽男『がんにならないのはどっち?』(あさ出版 2016年)

・水上修、大橋弘祐『難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!』(文響社 2016年)

<執筆者プロフィール>

井上 愛子(いのうえ・あいこ)

保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>

株式会社 とらうべ

医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

Mocosukuの関連リンク

image beaconimage beaconimage beacon