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冬の憂鬱、もしや光不足? 朝に太陽光浴び予防を

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2018/12/04 11:00
PIXTA © NIKKEI STYLE PIXTA

冬が近づくにつれ、気分が落ち込む、日中も眠気が残る――。こういった不調を感じるなら、季節性うつ病の可能性がある。日光を十分に浴びずにいると発症しやすい。日常生活でできる対策を知っておこう。

冬に向けて日照時間は短くなり、太陽光の強さも弱まる。地上に届く日射量を表す「全天日射量」(気象庁調べ、平年値、1平方メートル当たり)を見ると、東京の場合、11月と12月は最も多い5月の約半分の水準にとどまる。

光が不足すると、昼夜のリズムに合わせて睡眠などの生理現象を調節する「体内時計」にとって必要な情報が足りなくなるため、心身の不調が生じやすい。代表的なのが季節性うつ病(季節性感情障害)。冬になって睡眠時間が延びているのに、昼間も眠気が続いて集中できない、やる気が出ず憂鬱な気分になる、といった症状が特徴だ。

通常のうつ状態だと食欲が減退するが、冬の季節性うつ病の場合は炭水化物や甘い物を過剰に食べたくなる。これらの不調が秋から冬にかけて現れて春に治るなら、当てはまる可能性が高いという。

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光は目に入って網膜にある神経節細胞を通り、脳の視交(しこう)叉上核(さじょうかく)という場所にある体内時計を調整している。最近の研究では、目から入った光が脳で気分の変化や認知機能をつかさどる扁桃(へんとう)体や海馬にも影響を与えることが判明した。

日本大学医学部精神医学系主任教授の内山真氏によると「効果的なタイミングで光を浴びることが、うつ症状や認知機能を正常化させることがわかってきた」。医療の現場では、光を使った治療もある。「通常の照明の10~40倍の強さの人工的な光(2500~1万ルクス)を目に入れる『光療法』は、うつ病全般の治療で効果が認められた」

季節性うつ病の予防と改善には、屋外の太陽光を活用することが重要。室内の明るさは通常、太陽光の10分の1以下にとどまる。日射量は天気によって大きく異なるが、曇りの日でも屋外の照度は1万ルクスを超える。

中でも、決め手になるのが朝日だ。九州大学名誉教授の安河内朗氏によると、「目から入った朝日は視交叉上核に直接働きかけて、体内時計をリセットする」。毎朝同じ時間に起きて、起床後なるべく早いタイミングで朝日を浴びることが大切だという。

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内山氏は「寝坊をしたくなる休日も、平日と同様に朝日を浴びる」ことを勧める。冬場は特に、日中の散歩や野外活動などで太陽光を意識的に浴びて、光不足を補いたい。

夜に目にする光のコントロールも重要だ。「冬は光への反応が高まる季節。毎日使う照明の光の影響も侮れない」と安河内氏は指摘する。照明器具の光は太陽光より弱いとはいえ、昼光色や昼白色などの白く明るい光を遅い時間まで浴び続けると、体内時計が少しずつ夜型にずれるという。

冬は就寝1、2時間前から、暖色系の電球色の照明を使うとよい。副交感神経が優位になり、寝付きや睡眠の質が向上する。リビングで過ごすときは天井の明かりを落とし、スタンドなどの間接照明を選ぶとよいだろう。最近は光の色をボタン操作で変えられる発光ダイオード(LED)照明器具も増えている。

パソコンやスマートフォンなどの光は弱いので影響はすぐには出ないが、夜遅い時間帯の2時間以上の連続使用は避けた方がよいという。「子供は成人より、光の影響を2倍受けやすいという報告もあるので注意して」(安河内氏)

朝から昼にかけては太陽光をたっぷりと、睡眠を控えた夜は穏やかな照明の光を。目にする光にメリハリをつけて、心身の健康を保ちたい。

(ライター 結城未来)

[NIKKEIプラス1 2018年11月24日付]

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