古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

2020年の日経平均株価は一段高へ、3万円を超えるのはいつか?

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2019/12/03 06:00 柊 宏二
2019年後半に大きく上昇した日経平均株価。2020年はどうなるだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA © ダイヤモンド・オンライン 提供 2019年後半に大きく上昇した日経平均株価。2020年はどうなるだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

高い精度だった日経平均株価予想

EPSとPERでの分解が有効

 日経平均株価は2019年後半に大きく上昇した。本稿では予想する上で有効と思われる分析方法を示しつつ、2020年にかけても日経平均株価は一段高を目指すかを展望する。

 19年の日経平均株価は下値が1万9800円、中心が2万1600円、上値が2万3400円――。

 これは筆者が、1年前の18年末に作成した19年初のセミナー用の資料で示した予想である。これに対し、19年1月から11月末までの日経平均株価(終値)の最安値は1万9561円、平均値は2万1509円、最高値は2万3520円だった。細かい数字は異なるが、自分でも驚くほどの精度で予想できたことになる。

 上記の予想に際しては、日経平均株価を予想EPS(1株当たり利益)と予想PER(株価収益率)に分けて考えた。株価は予想EPSと予想PERに分解できる(株価=予想EPS×予想PER)。EPSは「純利益÷株式数」で求められる。PERは利益の何倍まで評価可能かを示す指標だ。つまり企業の利益と、それを何倍まで評価し得るかを予想できれば、株価も予想できることになる。

 筆者の昨年末の予想は、以下の通りである。

 日経平均株価の予想EPSは当時1700円台後半で、19年の想定は数%増益となる1800円と置いた。

 PERは当時の水準も踏まえ、11倍~13倍のレンジが中心になると考えた。

 両者の予想をもとに算出した日経平均株価の予想は、下値が1万9800円(1800円×11倍)、中心値が2万1600円(1800円×12倍)、高値が2万3400円(1800円×13倍)となった。

予想EPSは直近で低下したが

先行きを過度に心配する必要なし

 次に、昨年と同じようにEPSとPERの予想から、20年の日経平均株価を予想してみよう。まずはEPSだ。日経平均株価の予想EPSは、11月初旬まで1700円台半ばだったが、直近で1600円台半ばまで下がっている(図1、2参照)。10月終盤からの上期決算発表で、20年3月期の利益予想を下方修正する企業が増えたためだ。

 EPSが下がったことを懸念する声は当然あるだろうが、筆者は先行きを考える上で、あまり心配していない。20年3月期は、日本の企業業績にとってあまりにも悪い要因が重なったからだ。

 米中貿易摩擦が5月から激化し、中国経済の減速が深刻化した影響は、中国での設備投資減速や自動車・スマホ生産の減少、インバウンド需要の減少などを通じて、地理的に近い日本企業の業績に大きな下押し圧力となった。為替もドルは変動が小さかったが、変動が大きかったユーロや新興国通貨で負の影響が拡大した。異常気象も影響し、今秋の台風・大雨は工場の操業停止、部品調達難による生産停滞を引き起した。

米中貿易摩擦は和らぐ見込み

日本企業の体質改善もEPSにはプラス

 米中貿易摩擦は、関税合戦がエスカレートした19年に比べ、来年は改善するとみている。20年11月の大統領選挙が迫るトランプ大統領は、再選に向けて景気や株価の悪化を避けたいはず。選挙年の景気や株価が良好ならば、現職大統領の再選は極めて有利となる。中国との通商協議を決裂させる余裕がトランプ大統領にあるとは思えない。

 米中が合意して関税合戦が和らげば、日本企業の業績にとって明確なプラス材料となろう。加えて景気回復期待の高まりやリスクオンの動きを背景に、為替も円安方向に動く可能性が高い。円安は輸出企業の多い日本企業の業績にとって当然プラスとなる。

 そもそも最近の日本企業は、以前に比べコンスタントに高水準の利益を叩き出せる体質となっている。グローバルで製品の販売を進め、海外生産を増やすことで為替に対する耐性も高めたほか、M&Aによる海外企業の利益取り込みも進めている。企業が稼いだ利益を内部留保として溜め込み、従業員に還元せず、国内の消費・景気の活性化につながっていない面はあるが、利益が堅調なことは、株価にとってプラス材料だ。

 以上を踏まえ筆者は、予想EPSは現状の1600円台半ばが当面、続くものの、20年5月の決算発表が出てくると、21年3月期から比較的高めの水準に切り替わると予想する。現状の水準から2桁増とまではいかないが、1桁台後半の増益となる1800円程度まで再び上昇するとみている。

PERは19年の水準から切り上がる

日経平均株価は2万7000円が視野に

 PERは直近で14倍まで上昇し、11~13倍のレンジを突き抜けた(図2参照)。ただし、過去に業績予想の発表や修正時にPERが急上昇した局面では、上昇したPERが元の水準に戻ろうとする傾向があり、このまま一気に15倍超へ駆け上がる展開は想定しない。

 しかし、世界経済の不透明感の元凶となっている米中貿易摩擦が緩和すれば、景気や企業業績の回復期待は高まり、PERにもプラスに作用するとみている。米連邦準備理事会(FRB)が直近で3回利下げし、短期国債の買い入れを進めて実質的な量的緩和に踏み切っている点も、PERを下支えしよう。日本株のPERは米国株のPER(現状19倍台)に比べ低く、割安感も意識されそうだ。このため20年は、19年より高めのPERが許容されると考える。

 以上を踏まえて筆者は、PERが現状の14倍を挟んだ展開からやや下がるが、20年春以降は19年より高めの12~14倍に収斂すると想定する。予想EPSを1800円とすると、筆者が想定する日経平均株価は、以下のようになる。

・下値が2万1600円(1800円×12倍)

・中心値が2万3400円(1800円×13倍)

・高値が2万5200円(1800円×14倍)

 特に前半は、米中貿易摩擦の緩和でリスクオンの動きが加速し、2万5000円超えに向けて上値を追う展開を見込む。PERが15倍になれば、日経平均株価は2万7000円(1800円×15倍)まで上昇する可能性が見えてくる。

20年の日経平均株価は前半高

数年後に3万円を目指す展開も

 20年の株価が前半高か、後半高かを考えると、筆者は19年と違う前半高になるとみている。後半はどうしても、21年の景気後退が意識されやすいためだ。日本では東京オリンピックの終了で、景気に一服感が出るだろう。米国も11月の大統領選挙後の景気は、トランプ大統領の再選に関わらず、悪化に向かう可能性が高いとみている。

 トランプ大統領が再選された場合、同大統領は景気や株価を気にしなくなり、再び中国との間で通信技術や軍事面での覇権争いを本格化させるだろう。民主党候補が勝った場合でも、支持率上位にいるエリザベス・ウォーレン上院議員は、大手金融機関やIT企業、富裕層に不利な政策を掲げており、景気や株価にとってネガティブとなる可能性が高い。 

 

 このため、20年後半から21年にかけて、株式相場は一旦調整する可能性が高いとみている。PERは再び19年のレンジ下限である11倍程度まで下がり、日経平均株価は2万円を割り込むことも考えられる。

 しかし、株価はいったん調整した後、再び上値を試すとみる。最大の理由は企業業績だ。グローバルで展開する企業を中心に、日本企業のEPSは継続的に上昇する可能性が高い。短期的には半導体関連の回復も追い風となろう。ますます高まる動画や画像の保存ニーズを背景に、メモリーメーカーの投資は21年頃に本格回復する見通し。5G(第5世代移動通信システム)の普及、車の電子部品搭載量増加も半導体需要を押し上げよう。

 日経平均株価の予想EPSが21年3月期中は1800円付近で持ち堪えれば、22年3月期には21年3月期から約10%増となる2000円に到達する可能性がある。たとえ無理でも、23年3月期には到達する可能性が高いだろう。

 予想PERは、過去の水準からすると決して高くはない15倍まで戻れば、日経平均株価は3万円(2000円×15倍)に達する。22年3月期か23年3月期に、日経平均株価3万円が実現する可能性は、絵空事ではないといえる。

(QUICK企業価値研究所 シニアアナリスト 柊 宏二)

ダイヤモンド・オンラインの関連リンク

ダイヤモンド・オンライン
ダイヤモンド・オンライン
image beaconimage beaconimage beacon