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「すぐやる!」が習慣化する5つのアプローチ 脳を自在に操り、先延ばしをなくす

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/11/09 09:20 メンタリスト DaiGo
先延ばしグセをなくすための実践的なテクニックをご紹介します(写真:Yagi-Studio/iStock) © 東洋経済オンライン 先延ばしグセをなくすための実践的なテクニックをご紹介します(写真:Yagi-Studio/iStock)

やるべきことが明らかなのに、なぜ先送りしてしまうのか?そんな自分を変えるにはどうしたらいいのか。

『先延ばしする人は早死にする! 「あとで」を「すぐやる」に変える心理学』の著書もあるメンタリスト DaiGoさんに教えていただきました。

 やるべきことを前にしても、なかなか取りかかれない――。皆さんもこのような先延ばしの経験があるのではないでしょうか。実はこうした悩みを抱えているのは、あなただけではありません。

「あとでやる」はこんなにもヤバい

 この誰にでも経験のある“先延ばし”ですが、実は無視しているだけで数々のリスクを抱えているのは知っていたでしょうか。いま科学的に立証されているだけでこれだけのリスクが考えられます。

1、 早死にするリスク

2、 失業のリスク

3、 破産のリスク

4、 出世のチャンスを失うリスク

5、 人間関係が悪化するリスク

仕事や人間関係に関するリスクはなんとなく想像できるかもしれませんが、先延ばしは死亡リスクをも高めることがわかっています。見えないストレスが体にどれだけダメージを与えるかは、実は医学的にも証明されています。

 ビショップ大学の心理学者Fuschia Sirois教授によれば、先延ばしを続けると脳がストレスを感知し、コルチゾールという抑制ホルモンを大量分泌させます。つねに先延ばしを続けると、心臓への負担が高まり、肝臓に脂肪をため込むなど、死亡リスクを高めることがわかっています。

 また、カルガリー大学の心理学者Brenda Nguyen教授らによると、先延ばしをする人は備えも先延ばしする傾向にあるので先々の安定した人生設計を立てられず、まとまったお金が必要になったときに困り、揚げ句の果てには破産のリスクが増えるといいます。そう考えると、先延ばしは “生活習慣病”になっているともいえます。

 わかっていてもついつい先延ばししてしまうのは、自分のやる気に対し、心理的なメンタル・ブレーキがかかってしまうからです。その正体を分析すると、先延ばしは3つのタイプに分けることができます。

 パターン1:明日があるさ派

 つい面倒くさくて、明日やる、といい続けていつのまにかテスト前に猛勉強したり、宿題の準備をギリギリになって用意しなければならない羽目になり、焦りまくる。

 これは、目の前のやるべきことに対して「価値を見いだせないタイプ」の方に多いのです。

 営業成績につながる新企画の提出であればすぐに取り組むけれど、少々遅れても問題ない経費精算は、後回しにしてしまい、逆に社内の評価を下げる原因をつくってしまうのです。

 パターン2:スロースターター派

 エンジンがかかるのが遅く、試験の前にそうじをしたり、やらなきゃいけないのにビデオを見るなど、余裕ぶっているうちに追いつめられる。「誘惑に勝てないタイプ」です。先に延ばすうちに別の何かをしたくなる誘惑に対する思いを抑えられず、あと先を考えずにそれに飛びついてしまうタイプです。

 パターン3:どうせやったって派

 やらなければいけないことに対して言い訳をつくり、作業がなかなか手につかない。失敗を恐れすぎるタイプです。本当にできるかどうかはやってみなければわからないのに、やる前から勝手に自信をなくし、足踏みしてしまう方に多いです。

「あとで」の正体は脳にあった

 これらに当てはまる多くの人は、頭のなかでは「“すべて”をすぐやるべき」と考えているでしょう。しかし、私たち現代人は、やることに囲まれて生活しています。やることが多すぎて、そのすべてをすぐやることは不可能に近いです。

 先延ばし行動が脳の指令によって働いているのは言うまでもありませんが、実はこの行動自体は脳にとっては“正常な行動”なのです。人間の脳は、非常に優秀ですが、とても心配症でいいことよりも悪いことに意識が向きやすく、何かを「すぐやろう」としたときにSTOPをかけてしまうのです。

 脳は優先順位をつけるのが苦手です。やることがあふれていると、全部やろうとして結局、全部できないという結果になりがちです。そしてすべてを先延ばししてしまう結果につながります。こうした事態を防ぐためには、まず自分のまわりの「やること」の数を減らすことが大切です。

 これを踏まえて、先延ばしグセをなくすための実践的なテクニックを5つご紹介します。

「先延ばし」を自在にコントロールする方法5選

 ▽まず5分間だけやってみる

 取りかかったところで、どれくらい時間がかかるかわからないために、腰が重くなる。こうした不安も、先延ばしグセを進める要因です。ならば、自分で終わりを決めればいいのです。

 まずは目の前のタスクに、とりあえず「5分だけやる」と決めて手をつけてみましょう。大事なのは“5分だけ”という点。面白いことに、実際に5分が経過すると、もっと続けたくなります。「終わり時間を決めると、それを先延ばししたくなる」という心理傾向を逆手に取ったアプローチ方法です。

 海外の連続ドラマなどを1話だけ見ようと思っていたのが、気がつけば1シーズンすべてを見終わっていたなんてことはありませんか。これも、まず終わりを決め少しだけ始めるとそのまま続けたくなる心理行動からなのです。

 ▽嫌いなものを先に食べるか、後で食べるか

 人は選択肢にあふれていると、全部やろうとして結局、全部できなくなるという話をしましたが、これを避けるために欠かせないのは、優先順位づけです。その際に大事なものさしとなるのは、先延ばしの原因となっている「タスクの難易度」。難しいことから先にやるか、簡単なことから先にやるかです。

 あなたは嫌いなものを先に食べますか。それとも後に食べますか。人によって好みは分かれますが、嫌いなものを先に食べ終えてしまえば、精神的に楽になり、残りの食事をゆっくり楽しむことができます。つまり、最も負荷の高いタスクを先に済ませれば、ほかのタスクが楽に感じることができるのです。これを「ワースト・ファーストアプローチ」といいます。

 ▽自分を鼓舞するポジティブなひとりごと

 「できる、絶対できる!」「自分を信じろ、不可能なんてない!」――。

 スポーツでも仕事でも、頑張っている誰かを応援するときにこうした声をかけますよね。テニス全米オープンで優勝した、大坂なおみ選手のコーチ、サーシャ・バインさんのポジティブな励ましもこうした手法のひとつといえます。これは「ペップトーク」というモチベーションアップのためのテクニック。これを自分に向けて使う。つまり、自分で自分を励ますことで先延ばしグセを追い払うアプローチが「セルフペップトーク」です。

 大事なのは、心のなかで思うだけでなく、「言葉にして、声に出して言う」こと。思いを口に出すことで脳に強く作用しより効果を発揮することができます。

 ▽細かく区切り「やること」を明確にする

 一見すると、難しそうに見えるタスク。しかし細分化してみると、実はそれほど難しくない、小さなタスクが集まっていることが少なくありません。「難しい」と感じたら、全体をいくつかの小さなタスクに分割し、個々の小さなタスクに目を向けてみましょう。

 たとえば大そうじをする際、「面倒くさい」と思ってしまうと、先延ばしする可能性は高まります。これを「部屋のそうじ機がけ」「お風呂のカビ取り」「トイレそうじ」「家具や家電の拭きそうじ」のように小分けにすることで、「何をどうすればいいかわからなくて面倒」と思っていた大そうじが一気に具体化されます。やるべきことが明確になることで、先延ばしは生じにくくなるのです。

 ▽「やること」を写真やイラストに置き換える

 タスクを書き出したメモやふせんをリマインダーとして、目のつく場所にはっておくのも効果的です。やるべきタスクを見える化することで、先延ばしグセを抑える方法を「可視化リマインダー」と言います。

 しかし、リマインダーの文字を読んでもやる気がわかず、先延ばししてしまうという人もいるでしょう。そんな人にお勧めなのが「連想リマインダー」というテクニックです。

 これはリマインダーの文字を写真やイラストなどのビジュアル素材に置きかえるというもの。たとえば部屋の中にあるモアイ像のミニチュアに目がいったら「洗濯ものをたたむ」、観葉植物が目にはいったら「メールを送信する」といったように連想させることで、リマインダーの効力をより高めることができます。

「先延ばし」をなくした先には、得られるメリットも大きい

 先延ばしにしたタスクが気がかりとして残ったまま、ほかのタスクに取り組むことは、脳の負担となり、集中力を低下させます。先延ばしせずすぐやることによって、脳の負担を軽減して活性化させるとともに、集中力アップにもつながるのです。

 すぐやる人は時間的余裕があるので、トライできる回数や機会が多く得られます。時間の余裕があると、ふり返る時間を持つこともできます。

 人はふり返りを通じて共感能力や他人を理解する能力が高まり、「人の気持ちがわかる人間」になれます。目の前のことにすぐ取り組むことは、人間関係をも良好にするのです。

 交流会やパーティなどで会った人と「今度、メシに行きましょう」「いつか、一緒に仕事しましょう」とその場では話をしても、実際に交流が続いたり、一緒に仕事をすることはなかなかないのではないでしょうか。しかし、こうした場でしっかりと人脈をつくり、ビジネスに活かしている人がいるのも事実です。

 「今度」とか「そのうち」ではなく、とにかくすぐに連絡を取り、会ってみる。仕事につながらなかったら、今回はタイミングが合わなかったと思えばいいだけです。すぐやる人は人との縁を大事にする人であり、人とつながるチャンスが多い人と言えるでしょう。「すぐやる」ことは努力、根性、気合は必要ありません。脳をコントロールすれば誰にでも習慣化できるスキルなのです。

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