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「本当に就職に強い女子大学」ランキング 実就職率と有名企業400社への就職率を列挙

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/11/09 07:40 井沢 秀
「有名企業への就職率が高い女子大学」ランキングTOP10 © 東洋経済オンライン 「有名企業への就職率が高い女子大学」ランキングTOP10

 大学の教育力を可視化する際、就職率や就職先は、数少ない指標の一つといえるだろう。この視点から女子大を見ると、教育力の高い大学が数多くあることがわかる。実就職率に注目すると、2018年3月卒の大学全体の平均値が88.4%なのに対し、女子大の平均は91.0%で、2ポイント以上高いのだ。

 女子大の個別の実就職率を見ると、トップは昨年と同じ、東北女子大学だ。健康栄養と児童の2学科からなる大学で、大半の学生が栄養士資格もしくは教員免許を取得していることが、高い就職率のベースとなっている。

 2位は昨年の7位から順位を上げた昭和女子大学。卒業生1000人超の大学でベスト10に入ったのは同大のみ。この規模の女子大の実就職率ランキングでは、8年連続でトップである。卒業後のキャリアから逆算した専門教育科目の履修など、学生本位の手厚い就職支援が奏功しているようだ。

 3位の女子栄養大学は栄養学部の単科大学で、4位の桜花学園大学は保育学部の定員が多い大学だ。両校とも、就職に強い資格が取得できることが、高い就職率を支えている。

2年連続でトップは東北女子大学

 5位の福岡女子大学は国際文理学部の単科大学で、1年次に全員が留学生と生活する全寮制教育を実施している。多様な価値観に触れ、コミュニケーション能力が磨かれることは、就職の大きな武器になる。

 ランキング中には、この上位5校を含め、実就職率が90%を超える大学が37校ある。その多くに共通するのは、女子大特有の”学生に対する面倒見の良さ”だ。

 例えば、18位の日本女子大学は、1966年から「教養特別講義」を実施している。1年次に大学の理念を学び、2、3年次に社会で活躍する卒業生とのディスカッションを通して、広い視野の獲得を目指す。その際、卒業生という将来のロールモデルが示されることも、就職に向かう明確な思いや意思を醸成することになる。

 23位の東京女子大学は、基礎学力や専門知識を養成する「正課教育」と、年間150日を超えるキャリアガイダンスや課題解決型ワークショップなど「正課外教育」の両輪で、高い実就職率を実現している。

 ちなみに、前出の日本女子大学と東京女子大学とともに、東の“女子大御三家”の一つである41位の津田塾大学の実就職率は89.7%で、女子大全体の平均実就職率を下回る。同大は、就職者の92%が第一志望または第二志望の企業に就職する就職力の高い大学だが、進学など一般企業への就職とは異なるキャリアを選択する学生が多いことが、実就職率が伸びない要因となっている。

 西の“女子大御三家”でも、実就職率が女子大の平均値に届かない大学がある。京都女子大学は92.9%で21位に入ったが、神戸女学院大学は一般企業への就職者が少ない音楽学部を擁することが大学全体の実就職率にも影響しており、88.7%で50位だった。

 同様に56位の同志社女子大学は、学部系統の特性として就職状況が厳しい薬学部を持っていることもあり、実就職率は86.9%にとどまる。名門女子大に限らず、就職状況の芳しくない学部系統を持つ大学は、実就職率が上がりにくい傾向にある。

銀行の採用抑制が女子大の就職率に影響

 東西の女子大御三家の中には、さまざまな要因から実就職率ランキングの上位に入らない大学もあるが、有名企業に限定したランキングになると話は別だ。

 有名企業400社の実就職率を見ると、東京女子大学が3位で、日本女子大学が4位。両校ともメガバンクに代表される金融業や航空業が就職先の上位に並ぶ。

 6位の津田塾大学の有名企業400社の就職先を見ると、製造業やコンサルティング会社、航空業、金融業などバラエティに富む。同じく8位の神戸女学院大学、10位の同志社女子大学、12位の京都女子大学の3校は、いずれも有力な金融業の名前が並ぶ。

 有名400社の実就職率ランキングには、東西の女子大御三家以外にも、1位の聖心女子大学を筆頭に、学習院女子大学(2位)、フェリス女学院大学(5位)、白百合女子大学(7位)、昭和女子大学(9位)、奈良女子大学(11位)、大妻女子大学(13位)など、伝統校が並んでいる。ほぼすべての大学が、メガバンクを中心とした金融業や航空業を中心に多くの学生が就職している。

 有名400社の実就職率ランキングでは、22位の共立女子大学までが10%以上で、卒業生の1割以上が有名企業に就職していることになる。ただ、これらの大学の実就職率を見ると、17校が前年を下回っている。上回っているのは、フェリス女学院大学、昭和女子大学、奈良女子大学、金城学院大学(15位)、藤女子大学(16位)だけだ。この大きな要因は、女子大の有名400社の実就職率を支えていたメガバンクが、2018年卒の採用者を大幅に絞ったことによる。

 こうした有名400社の実就職率が下がる流れは、今後、女子大の就職が厳しくなる予兆かもしれない。AI(人工知能)に代表される情報技術の飛躍的な発達により、女子に人気の高い事務職の間口が狭くなると言われており、すでに2018年卒の段階で有名企業の実就職率が下がっている。

 リクルートキャリア就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、今年就職活動をした2019年卒の内定率の状況は、就活のピークが過ぎた直後の7月1日時点で、男子が前年同時期を7.2ポイント上回る84.4%だったのに対し、女子は前年を2.7ポイント下回る78.8%だった。

 正式内定が出る10月1日時点の内定率は、男子93.9%、女子が94.0%と、ほぼ同じになったが、就活の山場で女子が苦戦していたのは事実。これは、共学校も含めた女子学生全体の傾向だが、女子大の就職に対する影響も少なくないだろう。

 ここに、経団連が策定してきた、「採用選考に関する指針」の廃止による混乱も予想される。2020年卒以降も、これまでと同様、3月に広報活動解禁、6月に選考が始まるスケジュールになることが決まっているが、企業はフライング気味だ。すでに現3年生にアプローチを始めているという声が聞こえてくる。

 就活環境が激変する中、女子大はこれまでの就職力を維持できるのだろうか。女子大の教育とキャリア支援の底力が試されるのは、もうすぐなのかもしれない。

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