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「タペストリー」に改名のコーチ、 より激しい競争に直面へ

Forbes Japan のロゴ Forbes Japan 2017/10/16 Pamela N. Danziger

© atomixmedia,inc 提供 企業にとって、社名変更は一大事だ。重要なブランド知名度を失い顧客を困惑させ、自らに差し迫った危険を招く可能性がある。

米フォーチュン誌に以前に掲載された記事は企業の社名変更について、次のように述べている。

「そのブランドにとって善かれあしかれ、企業が戦略を展開する中で、社名が変更されることはある…テクノロジーから防衛まで、さまざまな業界の企業がリブランドを行ってきたが、それらは単に事業を危険にさらしただけだった」

この記事にもあるように、社名変更は企業の戦略的な方向転換が理由の場合もある。「クラフト」が「モンデリーズ」に変更されたのがその例だ。また、「グーグル」が「アルファベット」となったように、自社に対する人々の認識を変えたい経営陣の意向が理由の場合もある。一方、「フィリップ・モリス」が「アルトリア」に変更されたように、過去に犯した過ちの一部を隠したいというのが動機のこともあるだろう。

「コーチ」の「タペストリー」としての再生は恐らく、これら3つの全てが少しずつ含まれた理由によるものなのだろう。ビクター・ルイス最高経営責任者(CEO)は、ブランド名として高い認知度を得ていたシューズブランドの「スチュアート ワイツマン(Stuart Weitzman)」とファッションブランド「ケイト・スペード」の買収により、「コーチ」の名はもはや自社の目的にかなうものではなくなったと説明している。

新たな企業形態を構築

タペストリーが目指すのは、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・グループ、ケリング(傘下ブランドはグッチ、サンローランなど)、リシュモン(同カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペルなど)が築いてきた欧州型のモデルにならった企業グループの構築だ。

その新たなコングロマリットには、新しい社名が必要だった。そして、欧州の各グループと同様、タペストリーの社名の下で、2つのブランド名は今後も維持されることになる。フォーブス電子版の寄稿者であり、小売業界のニュースを伝えるザ・ロビン・リポートの創業者ロビン・ルイスによれば、「ブランドのポートフォリオを構築しようとするルイスCEOの考えは正しい」。さらに、こうした同CEOの考えは、「同社が今後もさらなる企業買収を行っていくことを示唆している」という。

こうした企業モデルは、米国の高級ブランドとしては新しいものだ。だが、米国ではアパレル企業のVFコーポレーションがすでに、この形態の構築によって成功を収めている。さらに、タペストリーの最大の競争相手であり、コーチのケイト・スペード買収とほぼ同時期に高級靴ブランドのジミー・チュウ買収を決めたマイケル・コースもまた、同様の戦略を掲げているとされる。

タペストリーとマイケル・コースはどちらも、買収を検討する相手企業は米国に限らない方針と見られる。ロビン・ルイスによれば、「単一ブランドが無限に成長を続けていくことは不可能だ」。小売・ファッション業界の公開企業が現在の市場において成長を維持するためには、これが唯一の戦略だという。

問題は「需要と競争」

だが、コンサルティング会社の米ヴァーヴ・マーケティング&デザイン(Verve Marketing & Design)の創業者でコンサルタントのダイアン・レモナイズは、この戦略がタペストリーの命綱になるのかどうかは分からないと指摘する。

「・・・一つに縫い合わせられたブランドは、全て一緒に沈んでしまうかもしれない」

ソーシャルメディア上のコーチのフォロワーや投資家らも、レモナイズと同じ見方のようだ。市場と富裕層の消費者意識・行動に関する調査を専門とする筆者もまた、世界が今以上に高級ブランドのコングロマリットを必要としているかどうかについては懐疑的だ。

だが、一方で筆者は、需要や各社の業績から見れば、単一ブランドの長期的な成長維持は困難だとするルイスに意見に同感だ。タペストリーのビジョンの成功の鍵を握るのは、国内外の次世代の消費者たちに、高級ブランドの商品を欲しいと思ってもらえるかどうかにかかっている。

ただし、今後のタペストリーを待ち受けているのは、恐らく同社が考える以上に激しい競争だろう。容赦ないLVMHグループやケリング、リシュモンに立ち向かうことになるのだ。

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