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【三菱自動車】日産傘下で課されたストレッチ目標 ゴーン会長が用意した“アメとムチ”

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2017/10/11 週刊ダイヤモンド編集部
【三菱自動車】日産傘下で課されたストレッチ目標 ゴーン会長が用意した“アメとムチ” © diamond 【三菱自動車】日産傘下で課されたストレッチ目標 ゴーン会長が用意した“アメとムチ”

燃費不正問題に揺れた三菱自動車が、日産自動車の傘下に入って1年を迎える。最終赤字に陥った2016年度から回復軌道に乗りつつあるが、規模の急拡大を要する中期目標を無事にクリアできるのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)

「まさにゴーン流のアメとムチ。認めてもらえた分、当然、責任は伴う。応分のことはやれということだ」

 三菱自動車の幹部がそう語るのは、仏ルノー・日産自動車・三菱自連合(アライアンス)のカルロス・ゴーン会長兼CEO(最高経営責任者)が9月15日に発表した今後6年間の中期経営計画「アライアンス2022」についてだ。

 ゴーン会長はこの日、「三菱自のアライアンス加入により東南アジア市場やプラグインハイブリッド車(PHV)など複数のセグメントが強化された」と述べ、三菱自の強みがルノー・日産の弱みを補完すると強調。3社を象徴する赤やだいだい色などの3本の曲線を組み合わせたアライアンスの“新ロゴマーク”もお披露目し、三菱自を3社連合の一角として内外にアピールしてみせた。

 三菱自の多くの社員からすれば、アライアンスの対等なメンバーとして認められ、スリーダイヤの矜持を保つことができたに違いない。まさに「アメ」のように甘いプレゼントだ。

 一方でゴーン会長は2022年までにアライアンスの年間販売台数1400万台、売上高合計2400億ドルという極めてアグレッシブな見通しを示した。そのうちの相当量を、三菱自も割り当てられるとみられ、当然、達成責任を負うことになる。

 燃費不正問題で“病み上がり”のような状態の三菱自は、休む間もなく「ムチ」を振るわれ、結果を求められることになるのだ。

シナジーと東南アジア市場の追い風が武器

 そんな三菱自に足元では追い風が吹いている。

 16年度に1985億円の赤字に陥った最終損益を17年度には黒字に転換し、V字回復をもくろむ(図(1))。

 業績回復の大きな要因は、日産とのシナジーが確実に表れ始めていることだ。

 図(2)は、販売費および一般管理費を構成する「広告宣伝費および販売促進費」と「運賃」の推移だ。

 運賃が大幅に減少しているのは、日産との車両の共同運送などによりコストを削減できているためだ。こうしたシナジーの合計は17年度に250億円、18年度には400億円を見込む。

 対照的に増加傾向にあるのが、広告宣伝費および販売促進費だ。運賃を削減した分の原資を販売強化に回し、積極的な広告宣伝や販売促進を行っている攻勢がうかがえる。

 そのようにして今、特に販売に力を入れている国の一つがインドネシアだ。

 インドネシアでは今月、7人乗りの新型ミニバン「エクスパンダー」の出荷を開始した。

 世帯人数が多いインドネシアでは、こうした家族向けミニバンの人気は高いが、すでにトヨタ自動車やホンダなどから同じクラスの車が出ており競争は激しい。

 しかし、エクスパンダーは受注台数だけで2万3000台以上と、すでに年度計画に迫る勢いだ。ライバル車とほぼ同じ価格設定で車高などのサイズを一回り大きくしたことや、スポーツタイプ多目的車(SUV)の特徴を取り入れたデザインなどが受け入れられ、販売強化の効果が表れている。

 ゴーン会長が言うまでもなく、インドネシアをはじめ、フィリピンやタイなど東南アジア諸国は三菱自が伝統的に強みを持つ成長市場である。

 いずれも1960~70年代に生産・販売を開始し、販売シェアはタイで7.5%(16年)、フィリピンで15%(同)を占める。

 ベトナムなどの新規開拓も視野に入れており、17年度の販売台数見通しでは、中国を含むアジア全域で前年度比23%の大幅増(図(3))を見込む。

 三菱自が今月18日に発表する3年間の中期経営計画では、販売台数を17年度予想の102万台から19年度に125万台まで一気に増やす予定だ。

 だが、この大幅増を実現するためには、東南アジアのシェア拡大だけでは厳しく、グローバル戦略車として今秋以降、各地域で投入される新型SUV「エクリプスクロス」で販売の上積みを図れるかどうかが鍵を握りそうだ。

 中期経営計画ではまた、営業利益率を6%以上にするという目標も掲げる。

 16年度に業界最低だった営業利益率(図(4))をどこまで伸ばせるかは、やはり日産とのさらなるシナジーを創出し続けられるかに懸かっている。電気自動車(EV)などの研究開発費の増加も収益悪化要因となる。

 かなりハードな3年間の目標を仮に達成したとしても、その次に待ち受けるのは、ゴーン会長が描く「22年の世界」だ。

 異次元ともいえるその高みに、三菱自はアライアンスの一員として立つことができるのだろうか。

 だが、仮に身の丈を超えた規模の追求をしてしまえば、再び組織の歪みが露呈しかねないことを肝に銘じておかなければならない。

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