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アサヒが「ストロングビール」で勝負する理由 ビール市場縮小に歯止めをかけられるか

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/01/14 08:00 石阪 友貴
© 東洋経済オンライン

 「ビールの定義が広がることは大きなチャンスだ。この新製品でビール市場に本格的に攻め込む」。アサヒビールの平野伸一社長は、ビールの新ブランド「グランマイルド」についてそう意気込んだ。

ビールに使える副原料が自由化

 今年4月にアサヒが発売するグランマイルドは、アルコール度数7%の高アルコールビール。高アルコールのビールを開発するうえで、アサヒが目を付けたのが今年4月からのビールの定義変更だ。

 これまでビールには麦芽やホップなど限られた原料しか使用できず、その他の副原料を使用するとビールではなく発泡酒の表記をしなければならなかった。

 4月からはこの規制が緩和され、副原料に使用できる原材料の幅が広がる。アサヒの新製品には、副原料としてハーブの一種であるレモングラスが使用されている。

 高アルコール製品は、時間をかけてじっくり飲むことが多い。「副原料を使用することで、時間が経っても風味が損なわれないようにできた」とアサヒビールの田中晃マーケティング本部長は話す。

 今、酒類では高アルコール製品がブームだ。火をつけたのはチューハイ。アルコール度数が7%〜9%と高めの「ストロング系チューハイ」が次々と登場した。サントリービールの「−196℃ストロングゼロ」や、キリンビールの「氷結ストロング」が代表的だ。

 チューハイ市場はここ数年拡大を続けており、高アルコール製品はその中心となってきた。キリンビールの山形光晴マーケティング本部長は「消費者がコストパフォーマンスを気にする意識は強い。安く手軽に酔えるのが一番の魅力」とその背景を語る。

チューハイの4割超がストロング系

 富士経済によれば、2016年のチューハイの市場規模は2810億円と前年比14%伸びた。2017年も約2ケタ増が見込まれており、ここ5年で市場は1.5倍に拡大した。その中でも、度数7%以上のストロング系が市場の4割以上を占めている。

 ただ、ビールメーカー各社にとっては、チューハイ市場が伸びることはビール類市場から消費者が流出することの裏返しだ。

 そこで各社は、高アルコール製品をビール類にまで広げている。

 サントリーは2017年7月にアルコール度数7%の新ジャンル「頂(いただき)」を発売、今年2月からは度数を8%に高めてリニューアルする。「消費者のニーズは多様化している。ビール類市場でも、チューハイ市場で人気のある高アルコール製品で新市場を開拓していきたい」(サントリービールの山田賢治社長)。キリンも今月末から度数7%の新ジャンル「のどごし STRONG(ストロング)」を発売する。

 これらはいずれも新ジャンルといわれるカテゴリー。価格も350ミリリットル缶で140円程度と「安く手軽に酔いたい」という消費者のニーズに応える。

 一方で、アサヒが投入するのは、あくまでも本丸のビールだ。グランマイルドの価格帯は、「スーパードライ」など通常のビールと変わらない。

 そこには低迷の続くビールを何とかテコ入れしたいという思惑がある。ビールの出荷数量は、発泡酒や新ジャンルの拡大もあり、1994年度をピークに減少の一途。足元でも昨年6月の酒税法改正で過度な安売りが規制されたため、スーパーなどの小売店で店頭価格が上昇。より安いチューハイなどへ消費者が流出していた。

 アサヒはビール市場の約半数のシェアを占めるスーパードライというメガブランドを持つが、1987年の発売後3年で突破しこれまで維持し続けてきた1億ケース販売という大台を2017年実績では割り込んでいる。シェアトップゆえに、アサヒの危機感は人一倍強いはずだ。

「手軽に安く酔える」とは一線を画する

 アサヒの田中マーケティング本部長は、グランマイルド投入の狙いについて、「缶チューハイなどよりも、これまで洋酒などが中心だった時間をかけて楽しむお酒の市場を狙っている。手軽に安く酔える、とは一線を画しているつもりだ」と強調する。

 また、今後の税制改正の影響もある。新ジャンルは2026年にかけて段階的に350ミリリットル缶1本当たり20円以上増税される一方で、ビールは逆に20円以上減税されることが決まっている。ビールの販売に追い風になる新税制を見据え、「2018年はビール改革元年」とアサヒの平野社長はビール強化の方針を掲げる。

 チューハイをきっかけに広がった高アルコール製品。”ストロングビール”で再びビールに消費者を振り向かせられるか。

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