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アマゾンはどうして世界最大になったのか

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2018/08/11 06:00 成毛眞
アマゾンはどうして世界最大になったのか © 画像提供元 アマゾンはどうして世界最大になったのか

あなたは、アマゾンにどういう印象を持っているだろうか?「便利」?それとも「怖い」?「アマゾンエフェクト」という言葉がある。これは、簡単にいうとアマゾンが与える影響のことだ。影響先は、競合する企業だけではない。経済や産業など、もっと広い範囲を変える可能性がある。アマゾンは、経営学の革命である。近い将来、必ず経営学の教科書に載るだろう。アマゾンを研究することは、ビジネスの最先端を知ることであり、未来の社会を知ることだ。本連載では、成毛眞氏の最新刊『amazon 世界最先端の戦略』から、一部抜粋してアマゾンの戦略を解説する。

圧倒的な商品数と安い値段がどうして可能になるのか

インターネットの登場で、「ネットでの買い物」が簡単にできるようになった。

同じサイトの中で、食品でも服でも本でも、ありとあらゆる種類の商品を同じ画面で選択し、簡単な支払い方法で買い物ができる。

これを究極まで高めたのがアマゾンだ。

「お客さまがアマゾンのサイトひとつであらゆるものを買えたり、サービスを受けられたりできるようにする」

創業以来、ジェフ・ベゾスはメディアなどを通じて、アマゾンという会社をこう繰り返し強調してきた。

品揃えが大量で、安い。シンプルだが、それこそがアマゾンが強い理由である。

それをどうやって可能にしているのか。その仕組みを取り上げたい。

「扱えないものはない」ケタ違いの商品を集めている

アマゾンは「地球上で最も豊富な品揃え」をスローガンに掲げる。これは、ジェフ・ベゾスがシアトルで起業し、オンラインの書籍販売を始めたころから変わらぬ目標だ。

書籍の販売から始めたのは特にこだわりがあったからではない。本は誰が売ろうと品質に差が出ず、梱包や発送が難しくないからだ。

しかし、アマゾンは今やDVDやゲーム機、靴や服から洗剤などの日用品、オフィスの事務用品や工具までを取り扱っている。

先述のとおり、ネット(EC)では展開が難しいとされて、長らく空白地帯だった生鮮食品すらも取り扱い始めている。

では、「地球上で最も豊富な品揃え」とは一体、どの程度の商品数なのだろうか。

アマゾンは世界各国でビジネスを展開しているが、もちろん、最大のマーケットはお膝元のアメリカである。アメリカのマーケットリサーチ会社によると、16年5月時点におけるアメリカでのアマゾンの取扱商品数は1220万品目にもおよぶという。

日本のアマゾンのサイトでも、生活や仕事に必要なものは大概手に入る。

アマゾンでは、通常はネットでは買わないと思えるものさえ売られている。たとえば自動車だ。自動車用品ではない。自動車そのものもアマゾンは扱っているのだ。

新車のみならず、中古車も購入可能だ。しかも、中古車の消耗部品はすべて新品に交換している。

配送も、通常のアマゾンでの販売と同じく日本全国どこでも届けてくれる。返品も可能だ。車に対してすらも、ネットで消費者が買うという心理的な障壁を低くしている。

また、価格体系の不透明なものまで売ることもある。僧侶を派遣する「お坊さん便」なども一時期話題になった。

あらゆる商品が扱える「仕組み」

こういった品揃えは、「マーケットプレイス」という仕組みのおかげである。マーケットプレイスとは、アマゾン以外の外部事業者が出品できるサービスのことだ。簡単に言うと楽天市場のようなものだが、違うのは、画面上ではアマゾン直販の商品や他の出品者も全部同じフォーマットで買えるということだろう。

消費者にとっては、売っているのがアマゾンなのか他の事業者なのかが特に気にせずに買える。このマーケットプレイスで扱う商品は、アマゾン直販の品数の30倍以上で、約3億5000品目にも上る。

書籍、動画コンテンツ、ワイン、サービスを除外し、さらに商品バリエーションを含まず、ざっと見積もっただけで約3億5000品目以上になるのだ。

これは2016年5月の試算なので今はさらに膨れあがっているだろう。「地球上で最も豊富な品揃え」の看板に偽りはなく、本当に何でも揃えて販売しているのだ。

とにかく、マーケットプレイスによる信じられない品揃えに、かつてはアマゾンの脅威に晒された小売業者たちの戦略は「アマゾンといかに戦うか」から「アマゾンをいかに使うか」に変化してきている。

ウォルマート・ストアーズやセブン&アイ・ホールディングスのような一部の超大手業者を除けばであるが。

全世界でのアマゾンのサイトからの売買の内訳を見ると、マーケットプレイスに出品している事業者による商品出荷数は、全体の5割を超えた(2017年1-3月期)。

つまり、アマゾンが自社で消費者に直売している量よりも、アマゾン以外の業者の商品の取り扱いの方が多くなったのだ。

当たり前のことだが、マーケットプレイスに出品する外部業者が多ければ多いほど、品数は増える。

ここで、読者の多くはなぜ外部業者がマーケットプレイスをこぞって活用するのか疑問に思うかもしれない。

アマゾンには多くの消費者がアクセスするとはいえ、出品業者間の競争も激しい。それこそ楽天市場でもいいはずだ。

その利用を促す仕組みとは何だろうか。次回の第7回で、その秘密に迫ろうと思う。

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