古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

カローラとクラウンの新型同時発売は歴史的出来事だ

JBpress のロゴ JBpress 2018/07/13 06:00 桃田 健史

ザ・コネクテッドデーで一般ユーザーを前にプレゼンする豊田章男社長。左が新型カローラスポーツ、右が新型クラウン(写真提供:トヨタ自動車) © Japan Business Press Co., Ltd. 提供 ザ・コネクテッドデーで一般ユーザーを前にプレゼンする豊田章男社長。左が新型カローラスポーツ、右が新型クラウン(写真提供:トヨタ自動車)

 日本の自動車業界に「歴史的な瞬間が訪れた」と言っていいだろう。

 6月26日、トヨタ自動車がメガウェブ(東京都江東区)で「ザ・コネクテッドデー」と銘打ったイベントを開催。豊田章男社長と友山茂樹副社長が、事前のネット公募で当選した一般ユーザーを前に新型「クラウン」と新型「カローラスポーツ」の商品説明を行った。

 日本の自動車メーカーが、会社のトップが登場する新車発表会をメディア向けより先に一般ユーザー向けに行うのは極めて異例だ。

 それだけではない。「クラウン」と「カローラ」を同時に発表というのは、中高年の人にとっては違和感があるはずだ。「クラウン」はトヨタブランドの最上級モデルであり、一方の「カローラ」は大衆車の代名詞である。かつて高度経済成長期に、「いつかはクラウン」というキャッチコピーがあった。つまり、「カローラ」はトヨタブランドへの入り口となるエントリーモデルであり、「クラウン」にたどり着くまで一生懸命に働くことが日本人のスタンダードとされる時代があった。そうした長きにわたるクルマの常識を、今回トヨタ自身がぶっ壊したのである。

新型「クラウン」「カローラ」の走り心地は?

 ザ・コネクテッドデーの翌週、同じ場所で新型「クラウン」と新型「カローラスポーツ」のメディア向け公道試乗会が行われた。房総半島の内房にあるホテル施設を基点に、周辺の公道での試乗を行った。

 複数の主要モデルのメディア向け試乗会を同日に同じ場所で行うことも、トヨタとしては異例である。試乗の受付場所やエンジニアとの懇談の場所は、一応「クラウン」と「カローラ」で分けられていたが、車格が大きく異なるモデル試乗のダブルヘッダーは、メディア関係者にとってもインパクトが大きかった。

 筆者はまず、「クラウン」に乗った。6月に日本サイクルスポーツセンター(静岡県伊豆市)で開かれた「クラウン・プロトタイプ」試乗会にすでに参加していたので、今回の試乗では、各モデルの公道での乗り味をチェックすることに気持ちを集中させた。

 クラウンは今回が15世代目となる。最大の特徴は、トヨタの最新型プラットフォーム(車体)であるTNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用したことだ。12世代目から14世代目までは同じ車体だったが、今回TNGAを採用したことで走行性能が根本的に改善された。また、これまでのグレード設定を完全に見直し、2.0リッターターボ、2.5リッターハイブリッド、そして3.0リッターハイブリッドという3種類のエンジンを主体とするラインアップへと刷新した。なかでも今回の公道走行では2.5リッターハイブリッド車の走りのバランスの良さが光った。

新型「クラウン」のカットモデル(筆者撮影、以下同) © Japan Business Press Co., Ltd. 提供 新型「クラウン」のカットモデル(筆者撮影、以下同)

 次に、「カローラスポーツ」に試乗した。こちらもTNGAを採用しており、先代モデルと比べて、乗り心地とハンドリングが格段に良くなっていることがはっきりと分かる。

 開発担当者によると、1.8リッターハイブリッドシステムを含めて「プリウス」「CH-R」との共通パーツが多く、それらの2モデルをベースに車体やサスペンション各部のカイゼンを進めたという。

 筆者なりに「カローラスポーツ」の走りをひと言で表現すると、走り全体が「すっきり」した印象だ。TNGA採用に加えて、トヨタブランドのFF車(前輪駆動車)では初採用の可変式サスペンションシステム(リニアソレノイド式AVS)や新型ショックアブソーバーの効果が大きい。

新型「カローラ」のインテリア。コネクテッドカーを強調するため、ダッシュボード中央の大型の表示パネルが目立つ © Japan Business Press Co., Ltd. 提供 新型「カローラ」のインテリア。コネクテッドカーを強調するため、ダッシュボード中央の大型の表示パネルが目立つ

コネクテッドカーはまだまだ創世記

 話を「コネクテッドカー」に戻そう。

 新型「クラウン」の広報資料には「挑戦と革新を続ける初代コネクテッドカー」、そして新型「カローラスポーツ」の資料には「初代コネクテッドカーとして“次世代ベーシック”カローラ登場」との記載がある。プレゼンテーションでも、両モデルの開発総責任者が新型の特徴として真っ先に「コネクテッドカー」という言葉を使っていた。

 トヨタはこれまでも他モデルの車両説明で「コネクテッドカー」という言葉を何度も使ってきた。それらは、車載器およびスマートフォンとのコネクテッドや、クルマと道路インフラとのコネクテッドを示していた。

 一方、今回トヨタが強調するコネクテッドは、車両の走行データなどがトヨタが運営するクラウドシステムの「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と繋がることを意味する。

 車両には、「データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)」と呼ばれる専用のデータ通信機器が標準搭載され、エンジン始動後1分ごとに車両データがDCMから電話回線を通じてトヨタ側のMSPFに送られる。データ送受信にかかる通信料は全額トヨタが負担するという。

トヨタは車載データをクラウドを介して通信するDCM (データ・コミュニケーション・モジュール)を全車に搭載する © Japan Business Press Co., Ltd. 提供 トヨタは車載データをクラウドを介して通信するDCM (データ・コミュニケーション・モジュール)を全車に搭載する

 新型クラウン、新型カローラのユーザーはトヨタが提供している通信サービス「T-Connect(Tコネクト)」も利用できる。T-Connectは、ユーザーがDCMやスマートフォンを使ってトヨタスマートセンターと通信でやりとりし、各種サービスを受けられるというもの。サービス使用料は「カローラスポーツ」では新車購入後の2年間、また「クラウン」では3年間無料で、それ以降は有料となる。

 この他、LINEからナビの目的地を登録できる「LINEマイカーアカウント」や、車両に故障の前兆があると警告を発したりオペレーターが通知してくれる「eケア走行アドバイス」といったサービスも用意している。

 こうした各種サービスは、あくまでもコネクテッドカーとしての必要最低限の要素である。コネクテッドカーはまだまだ創世記だが、今後は他業種と連携したさまざまなサービスが生まれてくることだろう。

JBpressの関連リンク

image beaconimage beaconimage beacon