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サイゼリヤが「低価格なのに儲かる」カラクリ 売上高は「5期連続」で伸び続けている

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2019/05/21 18:00 下玉利 尚明
「サイゼリア」が行った画期的な店舗改革とは?(写真:Naoki Nshimura/AFLO) © 東洋経済オンライン 「サイゼリア」が行った画期的な店舗改革とは?(写真:Naoki Nshimura/AFLO)

日夜テクノロジーが進化する中で、ビジネスの手法、言いかえれば「儲けるための仕組み」も、どんどん変わってきている。あるサービスや企業に対して、「格安なのに、なぜやっていける?」「利用料が要らないのに、どうやって稼いでいる?」など、疑問を抱いたことのある人もいるだろう。こうした「儲けの仕組み」について、『うまくいっている会社の「儲け」の仕組み』著者の下玉利尚明が解説する。第3回のテーマは、大手イタリアンファミレスチェーン「サイゼリヤ」について。

ミラノ風ドリア299円(税込み・以下同)、ハンバーグステーキ399円、コーンクリームスープ149円、グラスワイン100円……。これらはすべて2018年12月時点でのサイゼリヤのメニュー価格だ。改めてその安さに驚く人も多いだろう。

 例えば、ハンバーグステーキ。同じファミレスチェーンのデニーズには何種類ものハンバーグステーキがラインアップされているが、いちばん安い和風ハンバーグが699円(税抜)。低価格路線のガストでも、いちばん安いハンバーグステーキは449円(税抜)。サイゼリヤの、「税込み399円」がいかに安いかがわかる。

 しかも、2014年に消費税が5%から8%に引き上げられたとき、ほかのレストランチェーンが増税分を価格に転嫁し、値上げする中にあってもサイゼリヤはメニュー価格の大半を据え置いた。

売上高は5期連続成長

 こんなに安くて儲かるのだろうかと思ってしまうが、『会社四季報』に掲載されているサイゼリヤの売上高は、2014年から2018年までは5期連続で順調に伸び続けている。

 営業利益も2014年8月期〜2017年8月期(サイゼリヤは8月決算)まで4期連続で増益。2018年8月期だけ、営業利益が対前期を下回ったが、それは円安による食材仕入れコストの上昇や国産野菜価格の高騰、人手不足による人件費の高騰などが原因。外部要因であって、サイゼリヤが本来的に持つ「稼ぐ力」に陰りはなく、2019年8月期には、2018年8月期を10%上回る予想だ。再び増収増益路線に復帰する。

 あわせて、2018年8月時点でサイゼリヤは国内1085、海外384、合計1469の店舗網を持つが、とくに海外事業は利益率も高く好調。増益復帰の大きなエンジンになると考えられている。

 安くても儲かるサイゼリヤの秘密はどこにあるのか。それは店舗の「コストゾーン」の縮小にある。コストゾーンとは、具体的にはキッチンだ。サイゼリヤは店舗面積に占める割合を従来比の半分にしたのだ。

 サイゼリヤでは、全国に小型店舗が数多くあったが、どの店舗もキッチンの占める面積が意外と大きかったという。そこで、2015年からキッチン面積を半分にした店舗の導入を開始。すでに「キッチン縮小型」店舗は100を超えたという。

 なるほど、店舗全体の面積は変えずにキッチンの面積を小さくすれば、その分、客席を増やして売り上げを増やすことができる。一方、キッチンの面積を小さくした分、店舗全体の面積も小さくすればテナント料や土地購入費、建設費なども低く抑えられる。

 実際、サイゼリヤはキッチンを小さくすることによって、都心の狭小地をはじめ、これまでは出店できていなかった地域にも進出できるようになった。

 それを裏付けるように、近年、サイゼリヤの新規出店はアクセスのいい駅前やテナントビルやショッピングセンター、商業施設などにほぼ限られ、逆に郊外型の不採算店はどんどん閉店している。

 今、サイゼリヤではイタリア直輸入のグラスワイン1杯100円が人気だ。それは単に値段が安いという理由だけではないだろう。店舗が駅前にあるので車で来店する必要がなく、安心してお酒が飲める、しかも、料理はリーズナブルなイタリアンだ。 

 こうしたことも、サイゼリヤの「キッチン半分戦略」がもたらした効果といえる。ところで、なぜキッチンを半分にできたのか。それは、基本的に「調理をしない」から。

 サイゼリヤのキッチンに調理器具はほとんどなく、ガスレンジもないという。セントラルキッチンでほぼ完璧に仕上げられた料理が店舗に運ばれてくるので、キッチンを小さくできたのだ。

品種改良まで行う「製造直販」も強み

 もう1つ、サイゼリヤが儲かる理由として忘れてはならないのが、食材を自社生産していること。しかも、ただの自社生産ではなく、栽培・収穫から加工、調理まで一貫して行う製造直販。

 例えばレタスなどは、種の段階から開発している。普通のレタスが1玉でサラダにして数人分しかとれないところを、サイゼリヤは品種改良により5人分以上とれるような高効率のレタスを開発した。

 各店舗で使うホワイトソースも、牛乳が安価なオーストラリアに専用の工場を建設して製造している。こうした、食材の自社生産でコストを抑え、店舗のキッチンを通常の半分にまで狭くしたことで、店舗当たりの売上高を上げる。こうした取り組みが、安くても儲かる秘密と言えそうだ。

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