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シェールに沸いた街、「夢をもう一度」

The Wall Street Journal. のロゴ The Wall Street Journal. 6日前 Erin Ailworth

 【ワットフォードシティ(米ノースダコタ州)】当地のラジオ局が、油田サービス会社の運転手と機械工の求人広告を再び流している。ある店はワニとザリガニのランチを出して、メキシコ湾岸から来た労働者を歓迎している。そして広大な大草原のあちこちに新しい石油掘削装置(リグ)が設置されている。

 石油採掘業者はノースダコタ州バッケンのシェールオイル鉱区での掘削を徐々に再開している。これは、米国の石油・ガス業界の回復の裾野がテキサス州やオクラホマ州の油田以外にも広がっていることを示す。両州の油田は採取しやすい石油が豊富にあるため、生産コストが安い。

 人口約6400人のワットフォードシティは、ほんの3年近く前は活況を呈していたが、その後、景気が悪化。そこからの復活を、地元の業界トップや当局者、業者は喜んでいる。新しい石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」が6月1日に稼働を開始したことが追い風になるとみられるが、復活があまりにも急ピッチで進んでいるため、原油価格が再び急落しないか懸念する声もある。

 ノースダコタ石油協会のカリ・カッティング副会長は「生産水準は良好で、この状態が続くことを願っている」と述べた。

 ヘスやコンチネンタル・リソーシズ、オアシス・ペトロリアムはノースダコタ州で新しい油井を掘削している、または未完成だった油井を仕上げている。だが、技術を向上させ、経費を削減しても、原油価格が低水準で推移する中で、油井を掘削する財務的余裕がある業者はごく一部にすぎない。

 また、シェールオイル会社の業績は徐々に回復しているが、原油価格は不安定な状態が続いており、1バレル=50ドルを割り込んでいる。

 コンサルティング会社ウッドマッケンジーによると、バッケンの石油採掘業者の中には、原油価格が1バレル=40ドルでも採算が取れるところもあるが、ほとんどは50ドルを超えないと採算割れになるため、60ドルに近づくまでは生産を大幅に拡大することはないだろう。

 地元の人々は、原油価格が60ドルか70ドルになれば、バッケンは無理のないペースで好調を維持できると考えている。一方、それ以上に上昇して、シェールブームの混沌(こんとん)とした状態に再び陥ることを恐れている。当時、大量の油田関係者が流入し、ノースダコタ州の一部の地域を悩ませた。

 同州の失業率はもともと国内で最も低いが、原油価格が2014年に100ドルを突破した時は2.6%まで低下した。人口は12〜15年に年2%を超えるペースで増えた。連邦政府の試算では、今でも住民が約75万8000人しかいないノースダコタ州に5万5000人が流入した。

 労働者の中には、6桁の給料をもらい、ウィリストン・ブリューイング・カンパニーのようなレストランで高級コニャック「ルイ13世」に大枚をはたく人もいた。だが、多くの労働者は、家賃が急上昇したことでトレーラーやテントなどでの生活を余儀なくされた。

ヘスなどの石油会社はノースダコタ州で新しい油井を掘削している © Provided by The Wall Street Journal.

 ワットフォードシティの住民は道路の交通量が激しくて、左折することもままならなかったことを覚えている。今は落ち着いているが、マッケンジー郡の周辺で多数の石油リグが掘削を再開している。

 その数は5年前に記録した過去最高の218基には遠く及ばないが、ノースダコタ州のデータによると、同州の石油リグ稼働数は最も少なかった16年5月の27基から51基に回復している。また、石油生産量は昨年後半の数カ月と今年初めは日量100万バレルを割り込んだが、再びこれを超えている。

 ノースダコタ州の職業紹介事業者ジョブ・サービス・ノースダコタのマネジャー、シンディ・サンフォード氏によると、人口約2万6400人のウィリストンの近くで先ごろ開催された就職説明会では、60のブースが設置され、求人件数は1500件と、説明会に参加した求職者の2倍以上だった。

 ウィリストンから東へ車で1時間ほど行った鉱区では、ヘスが3月に石油リグ「B04」の稼働を開始した。

 同社はバッケンで4基の石油リグを稼働しており、年末までに6基に増やす予定だ。掘削予定箇所は3000カ所近くに上り、その半数の投資利益率は原油価格が1バレル=50ドルの場合で15%となっている。

 ヘスのグローバル生産担当上級副社長、マイク・ターナー氏は、原油安が続く中でシェールオイルの掘削が活発に行われている、テキサス州からニューメキシコ州にかけて広がるパーミアン鉱区に言及し、「当社は非常に健闘していると言えるだろう」と語った。

 マッケンジー郡の経済発展の調整役を担うダニエル・ステンベルク氏は、ワットフォードシティはバッケンでの掘削活動の回復に伴い、新たな労働者を受け入れる準備ができていると述べた。同市は新しいスポーツ・コンベンション複合施設と住宅の隣に高校を新設した。

 ウィリストンも開発が進んでいるが、原油価格の急落で売上税の収入が減ったことを受けて、必要なインフラプロジェクトを完成させるために2億ドル余りの借り入れを余儀なくされた。住民は突然降って湧いた「オイルマネー」で道路が舗装されたことや、豪華なレクリエーション施設が建てられたことなどを喜んでいるが、シェールブームの完全な再現を望んでいる人はほとんどいない。

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