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セダン復権はあるか? 新型カムリでトヨタが示した答え

朝日新聞デジタル のロゴ 朝日新聞デジタル 6日前

 ミニバンやSUV(スポーツ用多目的車)といった売れ筋がクルマの代名詞となって久しい。だが、かつてクルマといえば、前後4枚のドアとリアトランクがついているセダンだった。そんなセダンの「復権」を掲げ、トヨタ自動車が今年7月に全面改良したのが、北米市場で根強い人気を誇る「カムリ」。復権を担えるだけの新たな魅力はあるのか。試乗で探った。

■「理屈抜きの格好良さ」

 カムリは元々、後輪駆動の若者向けスペシャリティーカーである「セリカ」の派生セダンとして誕生。2代目は新たな販売系列店向けセダン「ビスタ」の兄弟車種として前輪駆動に改め、以後、トヨタの世界戦略車の重責を担っている。それまで米ビッグスリーの独壇場だった北米の中型セダン市場を席巻し、ホンダ・アコードとともに日本車を代表するベストセラーカーとなった。ただ、海外市場を意識して代替わりのたびごとに大型化する一方で、国内でのファミリーカーの主役は、使い勝手のよいミニバンに取って代わられることとなった。

 国内ではハイヤーや個人タクシー需要の比重が大きくなり、海外でも量販車種として大失敗はできない。その結果、無難なモデルチェンジを繰り返し、ますます魅力を失う――。そんな現状認識を踏まえ、今回の全面改良では「理屈抜きでカッコイイと思ってもらうこと」(勝又正人チーフエンジニア)を最重要視した。デザイナーのラフスケッチをほぼそのまま具現化したとうたうワイド&ローのプロポーションに、細長いライトや開口部の大きなグリルを組み合わせ、若々しさと躍動感を強調する。

セダン「復権」を掲げるトヨタの新型カムリ © 朝日新聞 セダン「復権」を掲げるトヨタの新型カムリ

 乗ってみると、操縦感覚は極めて自然。国内向けはハイブリッド車(HV)のみだが、モーター駆動からエンジン始動へのスムーズな切り替えや回生ブレーキの自然なタッチなど、一昔前のHVと乗り比べると著しい進化を感じる。ステアリングは意外と重くて手応えがあり、操舵(そうだ)の応答性に優れる。ゆったりおっとりとした昔ながらのセダンの乗り味からはほど遠く感じるが、ドライバーにとっては楽しさや安心感につながる。自らレーシングカーのハンドルも握る豊田章男社長の就任以来、トヨタ車の最も変化した部分が、このスポーティーな乗り味だろう。格好良いデザインと、キビキビとして楽しい運転感覚。そんなプリミティブ(原始的)な魅力を磨くことが、「セダン離れ問題」にトヨタが示した答えだった。ただ、後部座席に乗って試乗することは今回はかなわず、この味付けを同乗者がどう感じるかは分からない。

■次期型カローラに期待?

 1980~90年代のバブル経済期の名車たちの懐かしい映像とともに、「あの頃、クルマは熱かった。今、乗りたいクルマはあるか」と呼びかける新型カムリのテレビCM。「ビューティフルモンスター」というキャッチコピーはやや大仰で気恥ずかしいが、イメージカラーのワインレッドはゴージャスな色気がある。バブル経済期のカルチャーがエンタメ界で再注目されている中で、当時の「モテグルマ」の王道だったセダンをあえて所有するという選択は、もしかしたら若い人たちには新鮮な感覚で受け入れられるかもしれない。

 ただ、購入の間口を広げたいのなら、国内仕様はもうちょっとコンパクトだとありがたい。全長4.9mの堂々としたボディーサイズは取り回しに難渋しそう。リアトランクの出っ張りがないハッチバックやミニバンに乗り慣れたドライバーは、なおさら敬遠するだろう。そんな不満の受け皿として、よりコンパクトな看板セダンのカローラが、次期型でさらに格好良く若返るのを期待したい。(北林慎也)

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