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デジタルトランスフォーメーションとは何か NECの製品体系が示す、その正体

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/11/13
デジタルトランスフォーメーションとは何か NECの製品体系が示す、その正体: 会見に臨むNECの榎本亮 執行役員兼CMO © ITmedia エンタープライズ 提供 会見に臨むNECの榎本亮 執行役員兼CMO

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉は、あと1〜2年たつと使われなくなるかもしれないが、デジタル化への取り組みは企業にとっても社会にとってもゴールのないジャーニー(旅路)になる」――NECの榎本亮 執行役員兼最高マーケティング責任者(CMO)は、同社が先頃開いたDXへの取り組みにおける発表会見でこう語った。

 発表内容は、NECがこれまで個別に提供してきたDX関連の製品、サービスを「NEC DXソリューション」として体系化し、新製品も加えてDX事業の強化を図ったものだ。

 DXとは具体的に何なのかと問われることがまだまだ少なくない中で、それを体系化したNECのDXソリューションを見れば、DXの正体を探ることができるのではないか。今回はそんな意図を込めて同社のDXへの取り組みを考察してみたい。

 榎本氏はまずNECが考えるDXについて、「何らかの価値を実世界に返すということ。まずは実世界をサイバー世界に取り込むために、見える化して何が起きているのかをデジタルに捉えて分析し、そこから得た新たな価値を対処策として実世界に返すと。こうした取り組みを行うことによって、企業や産業、都市、人に活力をもたらすのがDXの本質だと捉えている」と説明した。(図1)

 こうした考え方を基に今回体系化されたNECのDXソリューションは、図2に示したように「アプリケーション」「プラットフォーム」「人材」「パートナーエコシステム」の4つのドメインからなる。

 この中で、人材については、顧客企業のDXに向けたビジネスモデルの仮説立案、先進技術の活用検証、高度なデータ分析などを行う専門部隊を、2018年度中にグループ全体で1000人体制に整備。さらに、アーキテクト、SE、ソフトウェア開発者、営業、運用/保守担当者など、顧客企業のDXに関わるNEC内のさまざまな人材の約1万7000人を対象として2017年度中に教育プログラムを実施し、順次NECグループ内に展開していく構えだ。

 また、パートナーエコシステムについては、「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」を準備し、共同で顧客企業のDXを支援していく。現在、210社との共創をスタートしているという。

●従来のシステムにも迫られるDXへの対応

 そして、NECのDXソリューションにおけるアプリケーションとプラットフォームの内容を示したのが図3である。榎本氏によると、NECのAI技術群「NEC the WISE」を活用した「業種アプリケーション」と「共通アプリケーション」、及びそれらを支えるプラットフォーム「NEC the WISE IoT Platform」で構成されているという。

 つまり、NECのDXソリューションは、AI(人工知能)とIoT(Internet of Things)の技術をベースとしたプラットフォームの上で、ほぼ全業種に対応したアプリケーションが用意されている形だ。DXとは具体的に何なのかと問われた際には、NECのソリューション事例として図2と図3を示せば全体像をイメージできるだろう。

 なお、NECでは今回、DXソリューションの新製品として、業種アプリケーション領域において「集客施設価値向上ソリューション」と「鉄道オペレーション&メンテナンスソリューション」、プラットフォーム領域においてAI活用プラットフォーム「NEC Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習」と「NEC映像分析基盤」の4種類を発表した。これらの内容については発表資料をご覧いただきたい。

 今回の会見での榎本氏の話で、冒頭に紹介した「ゴールのないジャーニー」発言とともに印象深かったのは、「現在NECが展開している事業はほとんどDXの範ちゅうに入る」という見解だ。これはすなわち、従来のシステム構築、運用事業もDXの範ちゅうに入ることを示していると受け取れる。

 これまでは、ともすればDXはデジタルという言葉に象徴される新しい取り組みであり、従来のシステム構築、運用事業とは一線を画す形で受け取られていたイメージがあるが、榎本氏の見解は「DXは全てをのみ込む」というもので、これまでの捉え方とは異なる。

 実は、こうした捉え方を最近、取材先で耳にするようになった。大手コンサルティング会社の幹部は、「企業においてDXが進めば、全社的なガバナンスやセキュリティの観点から従来のシステムにもDXへの対応が求められるようになる」と話していた。これは従来のシステム側からの見方だが、逆に言えば「DXにのみ込まれる」とも捉えることができる。

 そう考えると、今後さらに拡充されるであろうNECのDXソリューションは、榎本氏の冒頭の発言にあるように、そのうちDXが外れて同社の全事業を意味するものになっている可能性が高い。それがDXの正体なのではないか。

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