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トヨタのでかい「ハイラックス」は売れるのか ピックアップ車が13年ぶりに日本へ"凱旋"

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2017/09/13 冨岡 耕
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 「超ド級」「デカッ」「ハンパない」――。トヨタ自動車が9月12日に発売した新型車のパンフレットには、こんな文字が躍っている。

 この新型車とは、ピックアップトラックの「ハイラックス」だ。2004年に国内から姿を消して以来、ファンから復活を望む声が強く寄せられており、13年ぶりに”復活”した。全国のトヨタ店で販売される。

とにかく「でかさ」に驚く

 「普段使いで選択する人はいないだろう。普通にでかい車だ」と、トヨタ・CV(商用車)カンパニーの前田昌彦チーフエンジニアが表現するように、ハイラックスは国内で販売するトヨタ車の中では最も大きい車種の一つだ。サイズはボディ全長が5.3メートル超、幅も1.8メートルを超える。

 2004年まで日本で販売していた6代目は全長が約4.7メートル、幅が約1.7メートルだったが、世界の標準車となるべく巨大化してお膝元に帰ってきた。排気量2.4リットルのディーゼルエンジンを搭載し、走行シーンに応じて2駆と4駆を切り替えられる。価格は326万7000円~374万2200円。販売目標は年2000台だ。

 ハイラックスは1968年の発売以来、約180の国と地域で販売されている。現行モデルは2015年にフルモデルチェンジした8代目で、初代から数えて半世紀の歴史を持つトヨタを代表する車だ。世界での累計販売台数は、約1730万台に及ぶ。

 タイからの逆輸入車であるハイラックスは、「IMV」とよばれる新興国戦略車の役割を持っている。悪路でも走行できるタフさや力強さに加え、後方にある大きな荷台に荷物を乗せやすいことが特徴だ。

 前田チーフエンジニアは、「気温50度を超える中近東やマイナス50度のロシア、標高4800メートルで空気が薄い南米ペルーなど世界各地で車を持ち込み開発してきた。過酷なラリーでもチーム優勝を達成するなど、そのタフさは生かされている」と語り、世界のどんな環境下でも壊れず、高い評価を得てきた自信を示した。 

 ただ、世界の中でも道路環境がいい日本でどこまで需要があるのかという疑問が出てくる。さらに、「ハイラックスは1ナンバークラスになるため、車検も毎年必要になるほか、デッキの荷物は雨が降れば濡れる」と、前田チーフエンジニアは自虐的に語る。

 それでも日本には現在約9000人のハイラックス保有者がおり、都道府県別では北海道が最も多いという。林業などの仕事で使っている人が大半だとみられる。まずはこうしたユーザーの買い換えを促す。

”安くてエコな車”の全盛期は終わった

 一方、今回の使命はそれだけではない。個性を重んじる新規ユーザーの獲得も狙う。発売を中止した当時と比べると、環境は変わってきた。安くてエコな車が大量に売れる時代から、自分の個性に合ったモノを選ぶ時代に移りつつある。伏線もあった。2014年に限定発売した「ランドクルーザー“70”シリーズ」が、ピックアップトラックタイプも含めて好評を得ていた。

 そして今回、満を持してピックアップトラックの国内復活に踏み切った。「車がコモディティ化する中でこういう車を欲しい人が必ずいる」と前田チーフエンジニアは断言する。さらに「自己主張やファッションの道具として使ってもらえないか。もっとハツラツと生きたいという団塊世代の人が選ぶかもしれない。ライフスタイルの選択肢として、この車があってもいい」との期待を示した。

 くしくも今はアウトドアブームでSUV(多目的スポーツ車)の人気が高い。SUVの源流は、ピックアップトラックだ。トヨタはハイラックスの発売と同時に「ランドクルーザー プラド」もマイナーチェンジしたほか、来年1月に販売を打ち切る「FJクルーザー」でも最後の特別仕様車を投入する。

 昨今人気の高いSUVの多くが、乗用車と同じくフレームとボディを一体化したモノコック型なのに対し、ハイラックスやランドクルーザーはフレームとボディが分かれた構造であり、より強度や剛性、耐久性が増した本格的なSUVだ。ハイラックスはそうとう尖った車だけに、満足のいく販売実績を上げられるか。今後の商品ラインアップを考えるうえで、試金石となりそうだ。

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