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トランプ相場の崩壊、どこまで?

The Wall Street Journal. のロゴ The Wall Street Journal. 2017/05/18 Justin Lahart

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 ドナルド・トランプ米大統領は企業寄りの政策を実行できないのではないか――。株式市場はこの疑問を数週間にわたりしのいできたが、17日には急落し、今年最悪の日を記録した。

 ダウ工業株30種平均は前日比373ドル(1.8%)安の2万0607ドルで引け、安全資産とされる米国債の価格は急伸、ドルは大統領選後の上昇分を全て吐き出した。S&P500種指数は1.8%安、ナスダック総合指数は2.6%安で取引を終えた。

 株式相場は経済や企業利益の力強い伸びを追い風に、ここ数週間高値を維持した唯一の市場だった。投資家はトランプ氏や共和党主導の議会が税制改革や規制緩和を実現すると当て込んでいたのだ。そうした期待がホワイトハウスのごたごたでしぼんだら何が起きるか。

米株式市場は17日に急落、今年最悪の日を記録した(写真はトランプ米大統領、3月20日) © Provided by The Wall Street Journal.

 答えを知りたければ、株価上昇のどれだけの部分が市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)改善によるもので、どれだけの部分が共和党の政策に対する期待によるものだったのかを解明する必要がある。その結果は、見込まれる損失には限りがあるものの、多額になりかねないことを示唆している。

 17日は金融市場にとって久々に悪い日だった。投資家はそれまでトランプ政権の騒動を大目にみていたが、それが反転したのだ。きっかけは、トランプ氏が2月に当時のジェームズ・コミー連邦捜査局(FBI)長官に対し、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を辞任したマイケル・フリン氏の捜査を打ち切るよう求めたとの報道だった。株価は急落し、ドルは下げ、米国債利回りは低下した。

 ストラテガス・リサーチ・パートナーズの政策アナリスト、ダニエル・クリフトン氏は同日、顧客宛ての文書に、「現在のワシントンの雰囲気は過去数カ月のものから様変わりしている」と記した。「われわれが向かっている不確実な時期は拡大している。2018年にトランプ氏がまだ米大統領であるかどうか疑問が膨らんでいる」

 トランプ氏の運命は全く分からないが、共和党が税制改革案の通過に苦戦することはほぼ確実だ。ルネサンス・マクロ・リサーチの政策アナリスト、キム・ウォリス氏は同案について、コミー氏やロシア当局者に対するトランプ氏の動きを巡る「基本的な質問への回答があるまで棚上げされることになる」との見方を示した。

 トランプ氏には米経済を上向かせる能力がないかもしれないとの見方を、外国為替市場や債券市場は少し前から織り込んでいる。ドルは大統領選当日の相場を割り込み、米国債利回りは3月の高水準を下回っている。だが株価は別だ。S&P500種指数の終値は15日に最高値を更新し、17日の下落後でもなお投票日の水準を10%上回っている。

 17日までの株価は世界的なファンダメンタルズの改善が一因だった。減税や規制緩和で企業利益が増加するとの期待も貢献していた。

 両者の違いは、企業利益の増加とバリュエーションの上昇を比べれば分かる。

 利益の方が状況はいいようだ。ファクトセットによると、S&P500種指数構成企業の向こう1年間の利益に関するアナリストの予想は投票日に比べ5%増加した。

 S&P500種指数上昇の残りはバリュエーションの上昇からきている。予想株価収益率(PER)は約17.2倍と、投票日の約16.4倍から上昇している。共和党の政策実現能力に投資家が見切りをつければ、この上昇分は吹き飛ぶ恐れがある。つまり、現在から約5%下落する計算だ。

 これは暴落というほどではないが、株式相場の急落がその程度で済むのはまれだということを投資家は覚えておいた方がいい。

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