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ドラッグストア戦国時代!? ウエルシアがマツキヨを抜き「業界トップ」に立てた理由

ZUU Online のロゴ ZUU Online 2017/06/18

ドラッグストア業界で異変が起きている。

2016年度の売り上げで、イオングループのウエルシアホールディングス<3141>がマツモトキヨシホールディングス<3088>を抜き業界トップに躍り出たのだ。同業他社とのシェア争いはもちろんのこと、コンビニ業界との競争も激化するドラッグストア業界の現状を見てみよう。

■ウエルシアが「ビッグスリー」を抜き業界トップに

ウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア)の2017年2月期の売上は6232億円だった。ドラッグストア業界「ビッグスリー」ともいえるマツモトキヨシホールディングス(以下、マツモトキヨシ)の5351億円、サンドラッグ<9989>の5284億円、ツルハホールディングス(以下、ツルハ)<3391>の5275億円を一気に抜き去りトップに躍り出たのだ。(※マツモトキヨシ、サンドラッグは2017年3月期、ツルハホールディングスは2016年5月期)。

小売大手のイオン<8267>がウエルシアにTOBをかけて子会社化したのは2014年のこと。その後、ウエルシアは2015年にハックドラッグ、タキヤ、清水薬局を次々に買収して業界再編を進めるとともに、売上の拡大路線に取り組んできた。その合併効果で2017年2月期の売上は前年比18%もの増収となり、一気に「ビッグスリー」を抜いて業界トップに立ったのである。

■株価は1年で70%を超える上昇

先月、ウエルシアが売り上げで「業界トップ」に立ったことが明らかになると、株価も敏感に反応した。同社の株価は昨年10月の過去最高値3820円をあっさりと上抜き、今月9日には4240円の高値を付けた。今年2月の安値3020円から、わずか3カ月ほどで50%を超える上昇である。

もっとも、マツモトキヨシ、サンドラッグ、ツルハの同業大手も今月に年初来高値を付けている。日本経済は、底堅い個人消費を背景にして緩やかながらも景気の拡大を続けている。株式市場でも出遅れていた消費関連が再び物色される展開となり、ドラッグストア業界そのものが注目を集めているようだ。

ちなみに、ドラッグストア上場大手4社の株価を1年前と比較するとウエルシアが70%を超える上昇でトップ、次いでサンドラッグが約25%の上昇、マツモトキヨシとツルハはそれぞれ10%程度下落している。

「株価はファンダメンタルズの鏡」と呼ばれることもあるが、ウエルシアの株価のパフォーマンスは、M&A推進による業績向上のモメンタムをそのまま反映しているようだ。

■コンビニ業界との競争も激化する

ただ、ドラッグストア業界全体として考えると必ずしも「順風満帆」とは言えない。コンビニ業界との競争が激化しているほか、地方においては人口減少の影響も出始めているためだ。

そもそも、ドラックストア業界の総売上は6兆円程度で、現状ではコンビニ業界の9兆円に及ばない。ただし、5兆円規模と言われる調剤薬局市場を取り込むことができれば、コンビニ業界との競争を有利に進めることが可能だ。

イオンがウエルシアに求めているのは、文字通り「調剤薬局を組み込んだ成長」なのだ。具体的には、米国のウォルグリーンのようなビジネスモデルである。ウォルグリーンはドラッグストアと調剤薬局を併設する米国最大のドラッグストアチェーンだ。ウエルシアは今後、調剤薬局とともに医薬品の宅配、地域医療参画、介護関連事業などのヘルスケア分野を強化していく構えだ。

■成長戦略のウエルシア、採算重視のマツキヨ

ドラッグストア戦国時代!? ウエルシアがマツキヨを抜き「業界トップ」に立てた理由(写真=Thinkstock/Getty Images) ((ZUU online)) © (ZUU online) ドラッグストア戦国時代!? ウエルシアがマツキヨを抜き「業界トップ」に立てた理由(写真=Thinkstock/Getty Images)

ウエルシアのM&A推進による「成長戦略」に対して、マツモトキヨシは「採算を重視」する経営を進めている。

たとえば、ウエルシアは前期に102店を新規出店し、39店を閉店、差し引き63店舗の増加だった。一方、首位を譲ることになったマツモトキヨシは、店舗のスクラップ&ビルドを進め、前期は97店を新規出店し、87店を閉店、差し引きわずか10店の増加にとどまっている。このように両社の経営の舵取りの違いが鮮明になりつつある。

今後はマツモトキヨシも再び拡大路線に乗り出す方針ではあるがPB商品、調剤薬局、カウンセリングを主軸においているようだ。

ともあれ、ドラッグストア業界ではさらなる再編が進む可能性があり、数年後にはトップの顔ぶれが様変わりすることも考えられる。まだまだ情勢は流動的と言えるだろう。コンビニ業界との競争も一段と激化することが予想されるだけに、注意深く見守りたい。

平田和生(ひらたかずお)

慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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