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パチンコホール企業「オークラ」が香港で上場申請した理由とは?

HARBOR BUSINESS Online のロゴ HARBOR BUSINESS Online 2017/05/18

5月11日、ロイター通信他、複数の関係メディアが、パチンコホールを経営する「オークラ」が香港証券取引所に上場申請をしていることが分かったと報じた。

「オークラ」とは、長崎県に本社を置き、九州地方や東京、神奈川等でパチンコホールを17店舗経営している王蔵株式会社(2012年に株式会社ケイズより社名変更)のこと。「ビックアップル」、「ケイズプラザ」等の屋号で展開している。特に2003年にオープンした「ビックアップル秋葉原店」は、オタク向けの大胆な機種構成で話題になった店舗だ。

 香港証券取引所に提出された申請書類では、王蔵株式会社は2015年末現在、店舗数ランキングは業界68位。2015年12月中間期では、貸玉営業収入(売上から客の「勝ち分」を引いた額)が238億4,900万円となっている。上場による調達資金はホール企業の買収やホールのリニューアルなどに投入する計画という。

◆なぜパチンコホールは香港で上場するのか?

 王蔵株式会社の上場が認められれば、パチンコホール運営企業の香港証券取引所上場は、2012年のダイナム・ジャパンホールディングス(本社:東京都、屋号「ダイナム」、「信頼の森」等)、2015年の株式会社ニラク・ジー・シー・ホールディングス(本社:福島県、屋号「ニラク」)に次ぐ三社目となる。

 上場しているパチンコホールは前述の2社だけであるが、この度の王蔵を含め、日本ではなく、香港での上場を狙うのは何故なのか。

 そこにはパチンコホールの特殊な事情がある。

 実は、日本で上場しようとしたパチンコホール企業がある。ピーアークホールディングス(本社:東京都、屋号「ピーアーク」)がそれだ。ピーアークは、2012年にジャスダックへの上場を申請したが却下された。却下された理由は、特殊景品の換金システム(三店方式)の合法性が曖昧なため、投資家保護を果たせないというもの。それ以降、パチンコホール運営企業の、日本での上場を目指す動きはない。

 換金システムだけではない。パチンコ台のいわゆる「釘調整」も問題の一つだ。

 パチンコ店は、パチンコ台の釘を調整することによって利益を生み出している。しかしこの釘調整は、警察署の許可無く行った場合、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の禁止事項である。既に上場している2社は、この法的なグレーゾーンである換金と釘の問題について、

“換金問題に関しては、景品交換所、卸問屋とパチンコホールの三店は、人的にも資本的にも一切の関係を持たない独立した業態であり、パチンコホールの外に出た賞品(景品)を、客がどう扱おうがホールは関知しないものである。釘問題に関しては、あくまで出荷時と同様の状態に原状復帰させるためのメンテナンスであり出玉率の操作ではない”

 と説明している。

◆上場がパチンコホールにもたらすメリット

 香港であれ日本であれ、上場することによって、パチンコホールにはどのようなメリットが生まれるのか。

 やはり第一は資金調達である。ダイナムは上場することによって、200億円以上の資金を調達出来たと報じられており、ニラクは53億円を調達している。

 若年層のパチンコ離れや、客層の中核を担っていた高年齢層の離脱。一時の隆盛は今は昔、不況に喘いでいる。資金力のないパチンコホール企業は淘汰され、業界は大きな変革の時を迎えている。具体的には今後、企業買収が活発に行われ、全国1万店舗と言われているパチンコ店は、半数近くまで統廃合されると言われている。

 そのような状況において、上場における資金調達のメリットは計り知れない。

 資金調達よりも更に大きなメリットと言われるのは、社会的な地位の確立である。

 パチンコホールには常にグレーなイメージが付きまとう。しかし「上場」という二文字が、それを払拭する。上場という企業価値の向上は、金融機関に対する大きなインパクトにもなれば、人手不足の業界で人材確保の有力な手段にもなる。反面、営業に関わるコンプライアンスや従業員の働き方等で、相応の対応が求められる。

 今、パチンコホールも大きく様変わりしようとしている。

ハーバービジネスオンライン: 王蔵の屋号ビッグアップル属するKsグループ公式HPより © HARBOR BUSINESS Online 提供 王蔵の屋号ビッグアップル属するKsグループ公式HPより

 カジノ法案との関連の中で、ギャンブルやパチンコが広く議論され始めた。依存問題等の、今まで蓋をしてきた問題にも正対し解決に動かなくてはならない。古くからの慣習は既に瓦解した。パチンコは必ずしも必要なものではない。しかし、「あってもいいじゃん、パチンコ」くらいにはなっても良いと思う。社会が、パチンコをどう接するかは、その主体であるパチンコ企業次第である。

<文・安達 夕 @yuu_adachi>

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