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ビジネスでも「話が長いのにオチがない」会話がダメな理由

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2017/09/13 中野豊明
ビジネスでも「話が長いのにオチがない」会話がダメな理由 © diamond ビジネスでも「話が長いのにオチがない」会話がダメな理由

優れたビジネスマンは、総じてコミュニケーション能力が高い。会話も楽しいし、プレゼンテーションもわかりやすく、「なるほど」と共感を得ることも多い。とはいえ、コミュニケーションほど難しいものはないのだが、意外にもシンプルな心構えをしておくだけでも、あなたのコミュニケーション能力やプレゼン能力は飛躍的に高めることができる。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)

関西人が指摘する「話が長いのにオチがなかった」関東人の話

 テレビなどでたびたび取り上げられているが、関西人が関東人と話をした際に、「長々と話を聞いたにもかかわらず結局オチがないことにがっかりした」し、場合によっては「フラストレーションがたまった」という類の話を聞いたことがないだろうか。

 私も社内の人間や関西の顧客との何気ない会話の中で同じような話を聞いては、大笑いした後に妙に納得することがよくある。

 私は関東出身なので、常に笑いが取れるオチを考えながら話をすることは苦手なのだが、もし、ビジネスの場で、似たようなことが頻繁に発生しており、しかも、そのフラストレーションの対象が自分だとしたら、あなたはどう思うだろうか。

 我々コンサルタントは新卒、経験者採用を問わず、入社すると同時にさまざまなトレーニングを受ける。社内のルールに関するものだったり、プロジェクト管理、システム開発の方法論だったりと、多種多様に渡るトレーニングをそれこそ雨あられのように受講するわけだが、私のように入社後二十数年経った人間にとっても、重要なトレーニングテーマの一つがコミュニケーションである。

 例えば、自分と相手の「感情面と自己主張のタイプ」を判断し、相対的にどのようなコミュニケーションを心がけるとより共感を得やすいのかを学ぶ「ソーシャルスタイル」を用いたものなどは、代表的なコミュニケーションに関するトレーニングの一つだ。

 ソーシャルスタイルは、自分と相手とを「ドライバー」「エクスプレッシブ」「アナリティカル」「エイミアブル」の4つに分類し、例えば自分がアナリティカルタイプだった場合に、ドライバータイプの相手とどのようなコミュニケーションを心がけるといいのか、などを学習する。

コンサルタントが徹底的に学ぶコミュニケーション訓練

 実際の仕事の場では、事あるごとに上司から、「結論は?」「何が良くなるの?」「それで顧客は何が嬉しいの?」という問いかけを受ける。

 例えば、案件の提案書や報告書のレビュー中、ささいなプレゼンの最中、社内での報告会、アイデア出しのためのブレーンストーミングの場など、ありとあらゆる状況で、自分が作成した資料や発言に対して突っ込みを受けるのだ。

 正直、時にはへこたれそうになるほどなのだが、私自身、ある時上司から「単なる状況や事実だけなら誰だって調べれば分かる。君が考えて到達した結論に一番の付加価値があるのだから、頭の中を整理して君の結論を述べなさい」と言われ、はたと気がついた。

 それからは、作成に時間をかける資料、例えばパワーポイントなどでは、一枚一枚のページに自分が伝えたいこと(メッセージ)や、章立て毎に結論を必ず設けるようにした。資料作成は多少なりとも時間をかけられるので、実際に手を動かしてスライドを作成する前に、そのページのメッセージを明らかにしておくようにした。

 例えばパワーポイントに売上高推移のグラフを掲載するとしよう。この場合、「2001年から2016年までの売上高の推移は以下の通り」とメッセージに書いてしまうと、何の付加価値もないページになってしまう。

 ところが「売上高は2009年にリセッションによる影響で減少したが、その後の伸び率はリセッション以前を上回る」とすれば、自分なりの見方が加わったページになるし、『なぜ、上回ることができるようになったのか?』という新たな目線も生まれるというわけだ。

相手を取り込むコミュニケーションとは

 このように、コンサルタントは常に自分なりの結論をもって話をするように鍛えられる。もっとも、時に「結論を先に言え」とするビジネス書を見かけるが、この点に関して言えば私は懐疑的だ。もう少し汎用的かつ実践的に言うならば、「相手が知りたいことを早めに述べる」が正しい。

 つまり、相手が結論を知りたがっているならば結論を先に述べるべきだし、自分たちが置かれた環境について詳しく知りたいと思っていれば、その説明をじっくりすべきなのである。こうやって言葉にしてしまうと、極めて当たり前のことのように思えるが、実際のコミュニケーションの場ではなかなか難しい。特に、相手が初対面であったり、我々の知らないところでトラブルを抱えており、虫の居所が悪かったりするとなおさらだ。

 それでも、今日、自分がなぜこの場に居て打ち合わせの時間をもらっているのか、どのようなことを伝えたいと思っているのかを冒頭で簡潔に伝えることは重要だ。目安としては、アイスブレークのあと、1分間ぐらいで伝えられるようにすることを目指したい。

 また、会話が始まった時に、相手の意図を正しく汲み取りながら話を進めることも大切だ。基本的なことは、相手の質問に対して正しく応えるということで、これは内容的に正しく回答することも重要だが、さらに基礎的な対応として、聞かれた形式に則って回答することが円滑なコミュニケーションを進める上では欠かせない。聞かれた形式とは何かというと、回答形式が(1)YES/No、(2)複数選択肢から選択、(3)思うところを自由に述べる、の3つに分類されると思っていればよい。

「この方向性で正しいと思いますか?」と問われたら、最初に自分は「正しい」か「正しくない」のどちらだと思っているかを回答する(「YES/No」のケース)。

「右か左か?」と聞かれれば「右」か「左」もしくは「真ん中」と回答するのである(「複数選択肢から選択」のケース)。ばかばかしいと思われるかもしれないが、打ち合わせの場所で第三者が、何かちぐはぐな回答をしているな、と感じたら、よく聞いて分析してみるといい。多くの場合、回答者は質問されたことに形式として正しい形で回答できていないものだ。

 同様に、いわゆる“5W1H”について聞かれたときには、聞かれたことに対して、「なぜそう思うか」「何をするのか」「誰がするのか」「どのようにするのか」について自分の思うところを回答するのである(「思うところを自由に述べる」のケース」。

コミュニケーションには常に「オチ」を用意しておく

 既にお気づきの方もいると思うが、これは英語における質疑応答の形式と同様である。「Do you~?」と聞かれた時の回答は「Yes/No I do/don't」だし、「Why do you ~?」と聞かれれば、「Because ~」となるような回答方法を日常の日本語のコミュニケーションでも取り入れるだけだ。

 打ち合わせの準備をすればするほど、どうしても自分の話したいことを話したくなってしまう。しかしこれでは相手の知りたいことに真に回答できているとは言えない。また、円滑で気持ちのいいコミュニケーションにはなっていないものだ。

 まとめると、コミュニケーションには常に「オチ」を用意しておく。相手がどのような答えを望んでいるかわからない場合には、オチのネタの準備は多ければ多いに越したことがない。そして、もし、自分のネタに落とせそうなテーマが来た場合には、待ってましたとばかりに自分のストーリーを話す。

 笑いを取ることはできなくても、こうした備えをしておくことが、円滑なコミュニケーションには必要なのである。

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