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プログラミング玩具にサンタが群がる事情 子どもが喜ぶクリスマスプレゼント最新動向

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/12/05 13:00 相川 いずみ
2018年9月5日と6日に東京都立産業貿易センター台東館で開催された「クリスマスおもちゃ見本市2018」(筆者撮影、以下同) © 東洋経済オンライン 2018年9月5日と6日に東京都立産業貿易センター台東館で開催された「クリスマスおもちゃ見本市2018」(筆者撮影、以下同)

 クリスマスまで1カ月を切り、玩具業界は「クリスマス商戦」に突入しつつある。日本玩具協会によると、2017年度の玩具分野の国内市場規模は約8000億円だった。このうち、クリスマスと正月の売り上げが年間売り上げの約4割を占めるだけあり、クリスマス前までに玩具メーカーの「本命」というべき商品が多数投入される。

 玩具業界はトレンドに非常に敏感で、その年の流行や新技術にいち早く着目した商品開発を行っている。たとえば、VRを扱った玩具がその一例だ。「VR元年」と呼ばれたのは2016年だが、その前年である2015年春に開催された「東京おもちゃショー」で、すでに子ども向けにアレンジされたVR商品が出展されていた。

 それでは、2018年はどのようなジャンルに注力しているのか。クリスマス商戦向けに発表された新商品から、今年のおもちゃトレンドを見ていこう。

次期学習指導要領を反映したおもちゃが続々と登場

 2018年の玩具業界において、1つ目のキーワードとなるのが「プログラミング」、そして「STEM」(科学・テクノロジー・工学・数学)だ。これには、2020年度から実施される「次期学習指導要領」によって始まる小学校でのプログラミング必修化の影響が大きい。プログラミング教育の必要性の声が高まるなか、幼児や低学年からでもプログラミングを学べる玩具や知育教材が多数登場した。

 特に、プログラミング教材の低年齢化が進んでいるのが、近年の傾向だ。学研ステイフルが今年発売したSTEM教材「カードでピピッと はじめてのプログラミングカー」は、3歳から楽しめる国内発のプログラミング学習玩具として話題を呼んだ。

 「まえ」「ひだり」「ヘッドライト」「クラクション」といった命令が書かれた「めいれいタグ」を読み込ませると、くるま型ロボットがその命令どおりに動く仕組みだ。付属のマップを使い、目的地まで「くるま」を動かすには、めいれいタグをどのように組み合わせればいいのか考える。パソコンやタブレットは不要な「アンプラグド・プログラミング」と呼ばれる学習方法で、幼児でも課題解決に向けて筋道を立てて論理的に考える力を養うことを目的としている。

 バンダイから発売されている「ドラえもんステップアップパソコン」も同様だ。就学前の準備段階として、小学校で学習する国語や算数、図工・音楽、英語だけでなく、プログラミング学習のコンテンツも収録されている。また、STEM教育の一環として、算数では足し算などの単元だけでなく、図形問題を出題しているほか、電気や色の実験を扱うサイエンスなども用意されているのが特徴だ。

 これらのプログラミング学習は、あくまで「プログラミング的思考」を養うことを目的とし、実際のプログラミング言語を学んでプログラマーとしてのスキルを養う目的の教材とは異なっている。この2つはよく混同されるため、「プログラミング学習=プログラマー育成」と誤解されがちだ。

 文部科学省の「新しい学習指導要領の考え方」の中でも「プログラミング教育は、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての『プログラミング的思考』を育成する」と定義されている。難しいプログラミング言語を習うわけではないので、幼児からでも楽しみながら学習することができるというわけだ。

スマホ全盛時代に見直されるタイピングスキル

 プログラミングを学習できるタブレットや子ども向けパソコンは、今年9月に流通関係者向けに開催された「クリスマスおもちゃ見本市2018」でも多数展示されていた。もともと、子ども向けのパソコンは定番の玩具として毎年登場し、決して目新しいものではなかった。

 ところが、近年になって変化が起きている。これまでは子ども用にアレンジした「ごっこ」遊びできるおもちゃの要素が強かったのに、実際にプログラミングなどを学べる実用的な知育玩具に進化してきたのだ。

 たとえば、セガトイズから発売された「ディズニー&ディズニー/ピクサーキャラクターズ マジカル・ミー・パッド」は、新たに本格的なキーボードがオプション販売される。

 主に女子小学生をターゲットとした可愛らしいデザインはそのままに、「シフト」や「スペース」キーも付いた本格的なコンパクトサイズのキーボードが付いてくる。専用アプリとして、プログラミングや学研の学習アプリのほか、タイピング練習アプリなども用意されている。

 スマートフォンが普及している現在、キーボードは不要になるという説もあるが、大学入試改革による「CBT(Computer Based Testing)」の導入予定によって、逆にタイピングスキルを重要視する教育関係者も多い。

 公教育の現場では、タイピング練習やタイピングテストを導入してタイピングスキルを強化する学校が増え始めている。大学でも学生のタイピングスキルの向上のため、タイピングソフトを同梱した学生向けパソコンを大学の生協で販売するなど、タイピングスキルの必要性が見直されているのだ。

 また、コンテンツも時代とともに変化している。これまでの知育玩具であれば、「算数」や「国語」がメインだったものに新たに「英語」が加わり、ここ1~2年ほどで「プログラミング」というコンテンツがもはや当たり前のように入ってきた。

 さらに、玩具・模型メーカーによるプログラミング教育分野への進出も始まっている。ミニ四駆などで人気のタミヤは、自社の組み立てロボット「カムプログラムロボット」とマイコン「ichigojam」を使ったプログラミング教室を展開している。

 10月に幕張メッセ(千葉市)で開催されたIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC JAPAN 2018」では、バンダイがSTEM教材への取り組みを発表し、先端技術を体験できるSTEM教材「PLAY STEM」のコンセプトモデルを展示した。ものづくりに長け、キャラクターも有している玩具メーカーは子どもを夢中にさせるノウハウを持っているため、教材への親和性も非常に高い。

最新のテクノロジーが搭載された注目の“新感覚"玩具

 2つ目のキーワードは新感覚を体験できる「ハイテク」だ。IoT、AI、ドローンなど、最新のデジタル技術が惜しげもなく新商品に投入されている。

 今年の新製品で例を挙げると、バンダイから10月に発売されたドローン「エアロノヴァ」には、ドローンの前後と左右、下部分の計5カ所にセンサーが搭載され、リモコンがなくても、手をかざすことでさまざまな飛行を可能にした。手の向きによって前後左右に空中を飛び回る様子は、まるで手品か魔法を見ているかのような不思議な光景で、まさに「新感覚」の体験といえるだろう。

 そのほか、ロボットやデジタルペットの分野にもAIやIoTは活用されている。玩具メーカーのなかでも、トイロボットに力を入れているのがタカラトミーだ。「オムニボット」というシリーズで複数のロボットを展開し、6月には手のひらに乗るほどのコンパクトなキューブ型ロボット「ハロー!QB(キュービー)」を発売した。

 小さな本体にはIRセンサーやタッチセンサー、ラインセンサーなどの最新技術が詰め込まれ、紙に書いた線の上をトレースしたり、同梱のカードを読み取ってゲームをしたりすることができる多機能を実現している。

 玩具業界はこうした最新技術とは切っても切れない関係にある。これまでも技術的なトレンドを取り込んできた。それでは、一般的な家庭では、いくらぐらいのクリスマスプレゼントを購入しているのだろうか。

 バンダイが毎年行っている「こどもアンケート」の「今年のクリスマスに関する意識調査」によると、親が子どもに買うクリスマスプレゼントの平均額は7624円(2018年11月調査)で、中には2万円をこえるプレゼントを購入する家庭も増えている。

 今回紹介したプログラミングやSTEMをテーマとした玩具は、プレゼント予算額の7000円半ばより高価な商品が多い。しかし、たんなる玩具としてだけでなく、勉強ができたり、今後必修化になるプログラミングまで学べたりするとあれば、多少高価であっても、親の財布の紐がゆるみやすくなる。

玩具はデジタルとアナログの二極化へ

 今回はデジタルを活用した玩具を中心に紹介してきたが、決してアナログのおもちゃが衰退したわけではない。「人生ゲーム」や「野球盤3Dエース」などのテーブルゲーム、自分の手を使って作品を作り上げていく「メイキング」系玩具など、アナログゲームも依然として根強い人気を持つ。これは、紙の本と電子書籍の共存にも似た関係で、今後は二極化の傾向も強まっていきそうだ。

 子どもや孫へのクリスマスプレゼント選びに困っている方は、「クリスマスおもちゃ見本市2018」で発表された、今年のクリスマス向けの玩具を選ぶ人気投票「おもちゃ屋が選んだクリスマスおもちゃ2018」を参照にしてほしい。

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