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マイクロソフト創業者2人が認知症研究に私財を投じる理由

Forbes Japan のロゴ Forbes Japan 2017/11/14 Arlene Weintraub

© atomixmedia,inc 提供 米マイクロソフトの共同創業者で慈善家のビル・ゲイツは11月13日、認知症研究基金(Dementia Discovery Fund)に私財5000万ドル(約56億8000万円)を投資する考えを明らかにした。2年前に設立された同基金は、アルツハイマー型認知症や、加齢に伴い発症するその他の病気の治療法の開発を目指している。

一方、マイクロソフトのもう一人の創業者、ポール・アレンも15年前に、1億ドルを投じてアルツハイマー型認知症の研究機関、「アレン脳科学研究所(Allen Institute for Brain Science)」を設立している。アルツハイマー型認知症の研究に対する二人の支援はアプローチが異なるものの、この病気が人間を「破壊」していくさまを直接目の当たりにしてきた経験は、二人に共通している。

アルツハイマー型認知症を患っていたアレンの母は、合併症で亡くなった。アレンはこれまでに、母親の病気を通じて神経変性疾患の治療法確立に対する関心が高まったことについて、繰り返し語っている。ゲイツもまた、親族に認知症を患った男性が複数いることを自身のブログで明らかにしており、「愛する人が病気に知性を奪われ、苦しむ姿を見ること、そして自分にはその人に何一つしてあげられないことの恐ろしさを分かっている」とつづっている。

アルツハイマー型認知症の治療薬の開発に取り組んできた製薬大手の取り組みは、これまでのところ失敗に終わっている。一年ほど前には新薬「ソラネズマブ(solanezumab)」の第3段階の臨床試験を始めていた米イーライリリーが、有効な結果を得ることができなかったと発表している。

新たなアプローチが必要

ソラネズマブをはじめ、開発が進められてきた新薬の多くはいずれも、アミロイド班の形成がアルツハイマー型認知症の発症に関連しているとの考えに基づいており、その形成を防ぐことを目指している。だが、ゲイツとアレンはどちらも、この病気の原因に関する理解を深めるためには、アミロイド班の形成以外の側面に目を向けることの必要性を強調している。

認知症研究基金はこれまでに、神経変性疾患の治療法開発に取り組むスタートアップ7社に投資を行っている。いずれも異なるアプローチを通じた開発を目指す企業だ。ゲイツは各社について、「主流派」ではないが、これまで重視されてきたアミロイド班やその他の考え得る原因への対応を目指す製薬各社の努力を補完するものになると指摘している。

そのほかアレンは、型にとらわれない研究の支援を行っている。2015年にはそれぞれ異なるアプローチでアルツハイマー型認知症の謎の解明に取り組む5つの研究チームに総額700万ドルを出資した。アレン脳科学研究所を設立して以降も、人間の脳とその機能不全に関する研究のために、さらに4億ドル以上を投資している。

ゲイツは以前、学者や研究者、その他の専門家たちと話し合ってきたことを通じて、アルツハイマー型認知症については発症のメカニズムに関する理解を深めることや新たな研究への投資に加えて、次の3つの分野における前進が必要であるとの考えに至ったと述べている。

それは、「早期診断を実現するための能力を向上させる」「患者の臨床試験への参加を容易にする」「全く異なる研究から得られたデータの活用を可能にし、画期的な治療法の特定を容易にする」ことの3つだ。

ゲイツはビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じ、ワクチン接種や治療で容易に治せる病気に苦しめられてきた世界中の人々を支援してきた。だが、アルツハイマー型認知症の治療法開発はそうした過去の挑戦とは全く異なるものであり、問題の解決には資金を提供する以上の支援が必要だ。ゲイツはそれを、明確に認識している。

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