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マツダ:画期的技術でガソリン車に活路 独自戦略の成算は

毎日新聞 のロゴ 毎日新聞 2017/10/12

 マツダは山口県美祢市の自動車試験場で、新開発のガソリンエンジン「スカイアクティブ-X(エックス)」を搭載した試作車を国内で初めて報道機関に公開した。世界的な電気自動車(EV)ブームで内燃機関には逆風が吹くが、独自のエンジン技術に磨きをかけて生き残りを図る戦略を鮮明にしている。

 新エンジンは、ガソリンをディーゼルエンジンのように燃やし、力強い加速と省燃費、クリーンな排気を両立させる新技術を採用。「究極の燃焼方式」として世界中の企業や大学などが注目し、実用化に向けて長年研究を重ねてきたが、燃え方を制御するのが極めて難しく、これまで実現されていなかった。

 マツダもガソリン、ディーゼルそれぞれのエンジンの改善と並行して10年以上前から開発を続けてきた。「初期の試作エンジンはガタガタ。試作車に乗せてみると走りながら壊れそうだった」(人見光夫常務)というが、地道な改良を重ねて実用化にメドをつけた。

新開発エンジン「スカイアクティブ-X」について説明するマツダの小飼雅道社長=山口県美祢市の同社自動車試験場で、2017年10月10日、和田憲二撮影 © 毎日新聞 新開発エンジン「スカイアクティブ-X」について説明するマツダの小飼雅道社長=山口県美祢市の同社自動車試験場で、2017年10月10日、和田憲二撮影

 エンジンに詳しい早大理工学術院の大聖泰弘教授は「燃料の燃え方を完全に制御できており、エンジン技術の歴史の中でも画期的。(50年前にマツダが世界で初めて量産化に成功した)ロータリーエンジンにも通じる、しつこい研究精神の成果だろう」と評価する。

 一方、15年に独フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が発覚。欧州でエコカーの主流に位置づけられていたディーゼル車の販売にブレーキがかかった。フランス、英国は今夏、相次いで40年にガソリン、ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した。世界最大の自動車市場の中国のほか、インドなども追随する構えだ。こうした流れを受け、各国の自動車メーカーも競い合うようにEVの事業強化に乗り出している。

 そんな中、マツダは「35年時点で世界新車販売の84%はハイブリッド車(HV)などを含む内燃機関車が占める」としている国際エネルギー機関の予測なども踏まえ、得意とするエンジン技術をベースに、必要に応じて電動化技術も織り交ぜて環境規制に対応していく考え。

 小飼雅道社長は試験場で記者団の取材に応じ、「ただ燃費が良いだけでなく動力性能も高めた。必要なときに必要な加速がすぐに出せる」と新エンジンの性能をアピール。その上で、30年に二酸化炭素(CO2)排出量を企業平均で10年比半減させる目標の達成に向けて「お客様の求めやすい価格で(EVと)同程度の環境性能の車を提供できる。それが我々の基本ポリシーだ」と強調した。

 マツダは「スカイアクティブ-X」を搭載した市販車を19年に発売する計画だ。「マツダの技術力の高さを世界に示したロータリーエンジンは、燃費の悪さなどが時代に合わなくなってしぼんだ。新エンジンも今後、市場の評価を受けることになる」(大聖教授)。マツダ独自の戦略の正否が問われるのはこれからだ。【和田憲二】

キーワード スカイアクティブ-X

 ディーゼルとガソリン双方のエンジンの特徴を取り入れながら、それらをエンジンの回転数や負荷に応じてスムーズに切り替える世界初の技術を採用。気筒内を高圧にして軽油を噴射し自然着火させる「圧縮着火」と呼ばれるディーゼルエンジンの手法でガソリンを燃やす。本来、燃えやすい軽油に適した燃焼方式であるため、ガソリンで代用すると燃え方が不安定になるのが最大の課題だったが、気筒内で火花を起こして燃やすガソリンエンジンの方式もうまく併用することで乗り切った。噴射するガソリンの濃さが通常のエンジンの半分で済むため燃料を節約でき、燃費が従来比20~30%改善。ガソリンエンジンでは「世界一の水準」(マツダ)という。アクセルを踏んだ際の反応もディーゼル車並みによくなり、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)も少ない。

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