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メールより2メートル!2メートル以内に近づけばなんでも解決する理由

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2018/09/13 06:00 唐池 恒二
メールより2メートル!2メートル以内に近づけばなんでも解決する理由 © 画像提供元 メールより2メートル!2メートル以内に近づけばなんでも解決する理由

非常に高額なのに、最高競争率316倍!いま、宝くじに当たるより難しい?サービスを、あなたはご存じだろうか?JR九州。正式名「九州旅客鉄道株式会社」。名前だけ聞くと、旧態依然の鉄道会社のイメージを持つかもしれない。だが、この会社の「あるサービス」が、ひそかに感動の輪を広げている。九州以外で暮らしているとわからない。でも、九州に行くと景色は一変する。その名は、クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」(以下、ななつ星)。いまや「世界一の豪華列車」と称され、高額にもかかわらず、2013年の運行開始以来、予約数が定員をはるかに上回る状態が続いている。DX(デラックス)スイート(7号車の最高客室)の過去最高競争率が316倍、昨年11月の『日経MJ』には「ブランド作りとは世界の王でも断る覚悟」と題して、そのフェアな抽選システムが新聞一面に紹介された。だが、驚くべきは、「ななつ星」だけではない。この会社、バリバリの鉄道会社なのに、売上の6割は鉄道以外の収入で、8年連続増収なのだ。JR九州を率いるのは唐池恒二氏。8月27日、韓国と九州を結ぶ真っ赤な新型高速船「クイーンビートル」を2020年8月に就航すると発表。さらに、7月には、中国・アリババグループとの戦略的資本提携を発表。2020年の東京オリンピックを控え、ますます九州が熱くなりそうだ。記者は、この20年、数々の経営者を見てきたが、これほどスケールの大きい経営者は記憶がない。1987年の国鉄分割民営化の会社スタート時、JR九州は、JR北海道、JR四国とともに「三島(さんとう)JR」と称され、300億円の赤字。中央から完全に見放されていた。それが今はどうだろう。高速船、外食、不動産、建設、農業、ホテル、流通、ドラッグストアなど、売上の6割を鉄道以外の収入にして8年連続増収。2016年に東証一部上場、2017年に黒字500億円を達成。今年3月1日の『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)でも、逆境と屈辱から這い上がってきた姿が紹介された。今回、再現性のあるノウハウ、熱きマインド、破天荒なエピソードを一冊に凝縮した、唐池恒二氏の著書『感動経営――世界一の豪華列車「ななつ星」トップが明かす49の心得』が、いよいよ本日9月13日に発売される。今回、著者の唐池氏に「感動経営」の秘訣を語っていただこう。(構成:寺田庸二)

半径2メートルの男

 なんでもメールですませる時代になった。

 最近では同じ職場にいても、メールで要件を回す時代だという。

 しかし、私はずっと“メールより2メートル”である。

「半径2メートルの男」と呼ばれる政治家がいる。

 このひと、メディアからたいそう非難を浴びることもある。 テレビなどを通じて観ると、いつも苦虫を嚙み潰したような顔をして、しわがれ声のべらんめえ調。露骨な発言もあり、ただの口の悪い、冗談のすぎるおっさんにしか見えなくもない。

 だが、実際に会うと、これがまったく違う。

 あたたかなひとあたり、ユーモアに富んだ話しぶり。 誰もが会ってすぐに虜(とりこ)になってしまう。 私が長年信頼を寄せている財界の知己(ちき)も、この人物の長年のファンで、いつもニコニコと最新のエピソードを知らせてくれる。

 ひとは、会ってみないとわからない。 何かしら困難が生じたときには背中を向けたり、斜(しゃ)に構えたりせずに、大波に向かう船のごとく正面からぶつかっていくと転覆しない、難局は必ず打開できるというのが私の長年のモットーだが、もっというと、堂々と近寄っていくといい。

 相手がひとならば、正面きって2メートル以内の距離まで近づいて、ひざ詰めで話せば、たいていの困難を取り除くことができる。

2メートル以内まで近づくと学びが多い

 私が当社のサービス改革に乗り出した折には、多くの企業で4S運動として取り入れられている「整理・整頓・清掃・清潔」に「接遇」という項目を加えて、「5S」として社内の徹底を図った。

「接遇」には言葉遣いと身だしなみ・姿勢・表情についてこまかな項目を設け、社員に配布した。一部を抜粋する。

 素直な気持ちで、まず「ハイ」と返事しよう。

 相手の話は最後までしっかり聞き、相づち、復唱をしっかりしよう。

 お願いやお断りをするときは、クッション言葉を使おう。

 すべてのひとに好感を与える清潔な身だしなみに整えよう。

 背筋をピンと伸ばして、よい姿勢をキープしよう。

 手や腕を後ろに回したり、腕組みしたりせずに、手は体側に添わせるか前で組もう。

 最初と最後は、必ずアイコンタクトをとろう。

 これらは駅や当社の施設を訪れるお客さまへの応対を想定した訓示であったが、よく考えてみると、2メートル以内のコミュニケーションのなかで私が心得たことばかりだった。

 2メートル以内まで近づくと、学びや気づきもまた多い。 面会や電話よりもメールでなんでもすませようという風潮がある。だが、やはり直接顔を見て、声を聞いてもらうことにかなうものはないのではないか。

 メールでは“見られる化”は実現できないし、何より私が大切にしている「氣」を伝えようがない。

 メールより2メートルである。

☆ps. 今回、過去最高競争率が316倍となった「ななつ星」のDX(デラックス)スイート(7号車の最高客車)ほか、「ななつ星」の客車風景を公開しました。 ななつ星の外観やプレミアムな内装の雰囲気など、ほんの少し覗いてみたい方は、ぜひ第1回連載記事をご覧いただければと思います。

唐池 恒二(からいけ・こうじ)九州旅客鉄道株式会社 代表取締役会長。「三島JR」と称され、300億円の赤字というどん底のスタートを切った同社にあって、全社員と共に逆境と屈辱から這い上がり、500億円の黒字(2017年度)に導いた立役者。同社は現在、売上の6割を鉄道以外の収入にして8年連続増収中。高速船、外食、不動産、建設、農業、ホテル、流通など37のグループ会社を伴い、連結の売上額は4133億円、経常利益670億円(2017年度)を計上。1953年4月2日生まれ。1977年、京都大学法学部(柔道部)を卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。1987年、国鉄分割民営化に伴い、新たにスタートした九州旅客鉄道(JR九州)において、人気温泉地・由布院の魅力を凝縮した「ゆふいんの森」や、浦島太郎の竜宮伝説をテーマにした「指宿のたまて箱」など、11種類のD&S(デザイン&ストーリー)列車をつくり、次々大ヒット。列車を「移動手段」から「観光資源」へと昇華させた。1991年に博多~韓国・釜山間にデビューした高速船「ビートル」就航に尽力。さらに、大幅な赤字を計上していた外食事業を黒字に転換させ、別会社化したJR九州フードサービスの社長に就任。2002年には、同社でみずからプロデュースした料理店「うまや」の東京(赤坂)進出をはたし、大きな話題に。2009年6月、同社代表取締役社長。2011年には、九州新幹線全線開業、国内最大級の駅ビル型複合施設「JR博多シティ」をオープン。2011年に制作指揮した「祝!九州」のテレビCMは「カンヌ国際広告祭」アウトドア部門金賞受賞。2013年10月に運行を開始し、総工費30億円をかけ世界一の豪華列車とも称される「ななつ星 in 九州」では、企画立案からデザイン、マーケティングまで陣頭指揮を執り、大人気となる。2014年6月、同社代表取締役会長。2016年には、長年の悲願であった東証一部上場を実現。2018年7月には、中国・アリババグループとの戦略的提携を発表。今後の動向にさらなる注目が集まっている。【JR九州HP】https://www.jrkyushu.co.jp

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