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ルンバの半額!「中国IoT家電」急成長のワケ シャオミが掃除・炊飯の常識を変える

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2019/10/21 07:45 王沁
スマホ世界4位の小米集団(シャオミ)は、IoT家電のプラットフォーマーを目指す(編集部撮影) © 東洋経済オンライン スマホ世界4位の小米集団(シャオミ)は、IoT家電のプラットフォーマーを目指す(編集部撮影)

 スマートフォンアプリで遠隔操作でき、米の品種やブランドごとに最適な加熱方法を自動で選択する炊飯器。アプリに表示されるマップ上でユーザーが指定した部分だけをきれいにするロボット掃除機――。

 これらはすべて、中国の小米集団(シャオミ)が手がけるIoT家電だ。シャオミといえば、サムスンやファーウェイ、アップルに次ぐ世界シェア4位のスマートフォン事業を想起する人が多いかもしれない。だが、同社はすでにIoT家電のプラットフォーマーとして、中国市場だけでなく世界各国で、急速に頭角を現しつつある。

 IoTとは、さまざまなデバイス(端末)をインターネットでつなぐこと。家電や産業ロボット、自動運転車など関連するジャンルは広範だ。アメリカの調査会社IDCの推計によると、2019年の世界IoT市場は前年比15.4%増の7450億ドル(約80兆円)に達するという。うち中国市場は1820億ドルで世界の4分の1を占め、アメリカに次ぐ2位の規模だ(日本は4位で654億ドル)。

創業から7年で年商1.5兆円を突破

 シャオミが誕生したのは2010年4月。「廉価版iPhone」と呼ばれた格安スマホを武器に急成長を遂げ、創業から7年で売上高は1000億元(約1.5兆円)を突破。2018年7月に香港上場を果たした。今や世界80以上の国と地域で展開するグローバル企業だ。人口増加が続き、スマホ市場の拡大が期待されるインドではトップシェアを誇る。

 ただ、アップル「iPhone」の苦戦に象徴されるように、スマホ市場の競争は激化の一途をたどる。シャオミはスマホ一本足からの脱却を目指し、2015年ごろからIoT家電事業に取り組んでいる。ベンチャー企業を中心に100社近いメーカーと手を結び、彼らが製造するテレビやエアコン、浄水器などをシャオミブランドで展開。IoT家電のプラットフォーマーとして、独自のエコシステムを築こうとしている。

 2019年度上半期時点で、同社が手がけるIoTデバイス数は前年同期比69.5%増の1.9億台(スマホとノートPCを除く)に到達。関連売上高は全体の3割近くを占めるまでに育った。中でもIoTテレビのシェアは中国トップ(出荷台数ベース)だ。インドでもトップで、世界全体では5番手に位置する。

 冒頭のIoT炊飯器は、米のパッケージに記載されたバーコードをスマホアプリで読み取るだけで、品種やブランドなどに応じて最適な加熱方法を選べる。ユーザーの好みに合わせて炊き上がりの硬さを調整できるほか、スマホで遠隔操作すれば、自宅に帰るやいなや炊きたての白米にありつけるのだ。

 シャオミの掃除ロボットは一見すると、イギリスiRobot社の「ルンバ」のようだ。多くのセンサーがついており、自宅の構造を正確に把握してスマホアプリ上にマップを表示。ユーザーが指定した部分だけを掃除する。稼働中にバッテリー残量が20%を下回ると自動で充電器まで戻る。バッテリーが80%まで回復すると、先ほどの地点に戻って稼働し続ける。稼働状況はアプリ上でリアルタイムに確認でき、外出中に充電や稼働を指示することもできる。

 掃除ロボットの価格は1499元(約2.2万円)。iRobot社のルンバの中で、アプリでの操作に対応する機種として最も安価なものが5万円以上であることを考えると、シャオミ製品は非常に手頃であるといえる。炊飯器も最高級モデルのIH圧力炊飯器で1099元(約1.6万円)。廉価版はたったの199元(約3000円)だ。技術力は高いが知名度の低いベンチャーメーカーを多く囲い込むことで、圧倒的な低価格を実現。さらに、ECや広告など収益性の高いインターネット事業で全体の利益を下支えする構造だ。

AIの名は「シャオアイトンシュエ」

 こうした最先端のIoT家電の屋台骨となっているのが、自社開発のAI「小愛同学(シャオアイトンシュエ)」である。デバイスを直接操作したり、スマホアプリで指示したりせずとも、AIスマートスピーカーに話しかけるだけで、あらゆるIoT家電を自在に動かせる。2019年度上半期の小愛同学の月間アクティブユーザーは、前年同期比88.3%増の4990万人に達した。

 8月末、シャオミは中国の科学技術部によって、IoT家電に関するAI開発の重点育成企業に選出された。重点企業にはほかにも、中国ITを代表するBAT(バイドゥ、アリババグループ、テンセント)や通信機器最大手のファーウェイらが選ばれている。シャオミのIoT家電は今後、政府による補助金など全面的なバックアップの下、”国策事業”としてさらなる成長が見込まれる。

 世界シェア2位のファーウェイを筆頭に、OPPOやVivo、トランシオンなど多くの中国メーカーが台頭する中、シャオミの祖業であるスマホ事業は前途洋々とはいえない。だが、彼らのIoT家電プラットフォーマーへの進化は着実に進んでいる。

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