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三井や東急はなぜ「学生寮」を建て始めるのか 新収益源へ大手デベロッパーが相次いで参入

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 6日前 真城 愛弓
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 練馬区の平和台駅から徒歩6分、環八通り沿いにこの3月完成した「カレッジコート平和台」。一見、普通の新築賃貸マンションに見えるが、実は住宅開発大手の三井不動産レジデンシャルが初めて手掛けた学生寮だ。

 7階建て178室の寮で、15平方メートルほどの各室にはユニットバス・トイレが付く。

 寮に入って目を引くのが、90席分が用意された広い共用食堂だ。木製の長テーブルといすが配置され、窓際には畳が敷かれた小上がりスペースがある。ここでは日曜、祝日を除いた月~土曜日、寮内の厨房で作られた日替わりメニューが朝晩に提供される。

家賃は食費など含めて10万円超

 学生側が払う月額家賃は6万9900円~8万4400円と周辺の相場と同水準。ただ、住み込みの管理人による24時間管理体制のため、管理費は月額1万7500円とほかのマンションよりも高めだ。食費1万8000円を合わせると、月10万5000円以上になる。

 それでも防犯性や栄養士が考案した食事の提供などから、保護者が安心して子どもを住まわせられると、4月の入居開始から満室で稼働する大盛況ぶりだ。

 三井不動産はさらに豊島区でも500居室に及ぶ大規模な学生寮を建設中で、毎年、数棟ずつ開発していく計画だという。

 学生寮事業に乗り出すデベロッパーは三井不動産だけではない。東急不動産も2018年1月の完成に向けて、東長崎駅(豊島区)の近くに初の学生寮(167室)の開発を進めている。

 「女性の大学進学率が上がり、留学生も増え、学生向けのマーケットは少しずつ右上がりになっている」と、東急不動産ホールディングスの大隈郁仁社長は背景を説明する。

 同社は昨年11月に学生向け住宅を運営する学生情報センターを買収し、土地の仕込みと開発に加え、寮の管理・運営まで一貫して行える体制を整えた。

 「学生情報センターは大学とのコネクションが強い。今後は(東急ハンズなど)グループ会社のコンテンツとからめていきたい」と大隈社長は狙いを話す。

 東急不動産は2020年度までに、学生向けレジデンス事業として年間売上高で約100億円を目標に育成する方針だ。

 ほかにも、伊藤忠都市開発が今年3月に武蔵小杉で初の学生寮(390室)をオープンするなど、学生寮ビジネスへ参入する大手デベロッパーは後を絶たない。

 では、なぜ学生寮なのだろうか。理由の一つとして挙げられるのは、デベロッパーにとって、一般的な賃貸マンションよりも、収益が安定している点だ。

 学生寮の家賃は保護者が支払うことが多く、滞納率は低い。また、卒業時期が決まれば退去日を事前に把握でき、計画的に次の入居者の募集を進められるため、空室となる期間を減らしやすい。

 土地の仕入れでのメリットも大きい。首都圏のマンションはここ数年、都心の駅近で利便性の高い場所でないと借り手や買い手が見つからないケースが増えている。こうした土地は高騰しているうえ、入札競争も厳しく、用地の仕入れが思うように進まない。

駅近でなくても需要がある

 学生寮は大学や専門学校などへのアクセスがよければ、都心や駅近でなくても一定の需要が見込める。マンションでの開発が難しい不便な立地や、南向きではない土地も活用しやすいため、相対的に安い価格で仕込むことができる。

 一人暮らしの学生はワンルームマンションやアパートを借りているケースがほとんど。今後の課題は、どれだけ学生を取り込んでいけるかだ。

 「(大手デベロッパーは)100戸以上の大規模な開発ができるのが強み。共用キッチンや、歓迎会などのイベントを開催できるような共用部を充実させれば、ワンルームマンションと差別化できる」と東急不動産・住宅ソリューション部の担当者は自信をみせる。

 目算どおり学生寮という新分野を育成できるか。デベロッパーが持つノウハウを生かして、ハード・ソフト両面で学生のニーズに沿った独自の付加価値を打ち出していけるかがカギを握る。

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