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中国、「2つの債務サイクル」に潜む危険性

The Wall Street Journal. のロゴ The Wall Street Journal. 2017/04/19 Anjani Trivedi

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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武漢鋼鉄集団の背後には中国政府がついている © Provided by The Wall Street Journal.

 企業の債務サイクルを予想するのはいつも難しいが、中国の場合、2つのサイクルが並行しているためその難しさも2倍になる。

 中国経済全体で見られる融資の急増に対しては懸念が高まっているが、そこで注目されているのは、すでに国内総生産(GDP)の166%近くに達している企業債務の規模ばかりだ。国有と民間の両セクターで2つの債務サイクルがそれぞれ異なるスピードで進行しているという事実にはあまり目が向けられていない。

 つまり、中国政府が借り入れコストを引き上げて膨張するリスクを抑制しようとすれば、2つのバランスシートに対処する必要があるということだ。1つは国有企業に対する融資で、システム全体の半分以上を占める。もう一方の民間企業向け融資は全体の約25%を占めている。ドイツ銀行のデータによると、民間企業の債務の方がより速いペースで処理されている。過去5年間で処理された民間企業の不良債権は債務全体の約13%だが、国有企業の場合は1.3%にすぎない。

 こうした2車線のサイクルを作り出したのは中国政府自身だ。経営不振の国有企業は、同じく国有の銀行が延命措置を施す一方、弱い民間企業の場合は高金利での借り換えを強いられてきた。民間企業の中には「影の銀行(シャドーバンキング)」に手を出すところもあれば、事業を完全にたたんでしまった企業もある。この結果残されたのは、非生産的な負債の積み上がりだった。ドイツ銀行によると、主に国有企業向けの「エバーグリーン信用供与」(利息だけ払って元本を借り換え続ける融資)は、今や融資全体の約9%にも達している。

 この種の融資を一掃すれば金融システムは混乱に陥るだろう。エバーグリーン信用供与の主な提供者は中国の銀行であり、今後、銀行の痛みがさらに大きくなるのは確実だ。それだけでなく、間接的にはこうした負担の多くが一般の消費者を圧迫する恐れもある。

 こうした信用供与の増加の中には、インターネットを介して借り手と貸し手を結びつけるピアツーピア(P2P)ローンや他の理財商品に内包された形の理財商品といった、急拡大する新手の金融商品を通じてシャドーバンキングが供給している部分もある。これらの金融商品は、家計の貯蓄のため高い利回りを求める個人投資家に販売されている。

 国有の武漢鋼鉄集団が債務株式化による再編を行った際、このような理財商品と全国社会保障基金(NSSF)から資金の約8割が供給された。中国が債務問題への対応を進めていく中、こうした事例は今後もさらに発生するだろう。プロセスにきしみが生じれば、中国政府の政策によるしわ寄せは再び国民に及ぶだろう。

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