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仕事の判断に迷う人は基準を整理できてない どのように評価したのかの「透明性」も大事だ

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2017/09/14 岡 重文
基準をしっかりと把握しておくことが必要です(写真: プラナ / PIXTA) © 東洋経済オンライン 基準をしっかりと把握しておくことが必要です(写真: プラナ / PIXTA)

リーダーは、突き詰めたあとに選択せよ

 唐突ですが、東京から福岡へ出張で移動するとして、新幹線と飛行機のどちらを利用しますか?

 東京のどこにいて、福岡のどこに向かうのかによっても変わってくるのですが、東京駅までのアクセスと羽田空港までのアクセスは変わらないと仮定します。すると、

 「新幹線5時間」vs.「飛行機2時間」

 となり、新幹線と飛行機の差は、大きくとらえれば「時間はかかるが安い」「早く移動できるが高い」という、「おカネか」「時間か」という選択に帰結するといえます。

 グロービス著で私が執筆を担当した『[ポケットMBA]ロジカル・シンキング』でも詳しく解説していますが、突き詰めて考えると、何か判断に迷う事項が出てきた場合、基準Xと基準Yと結局どちらを優先するかという構図になっていることも往々にしてあります。

 「安全という基準を重視するのであればA」、「リターンの最大化を重視するのであればB」、「万人受けを重視してA」、「特色を出すことを重視してB」「実績を重視するのであればA」、「新規性を重視するのであればB」

 複数の判断基準を出したうえで、結局のところ、「どの基準」対「どの基準」が選択の分かれ目になるのかをしっかり見定めるレベルまで、考えておくことが重要です。さらに、その一歩先、突き詰めた2つの基準のどちらを優先すべきか、自分なりの理由をつけて結論を出せるかどうかが重要なのです。

 これは、判断基準のどちらを優先させるかという「判断基準の選択」が求められていることになり、その選択のためには、「『判断基準の選択』をするための判断基準」というように、もう1つ上位の基準が求められていることになります。

 判断軸をさらに加える必要があるので、難易度がもう1つ上がりますが、この判断基準の選択、まさに、最後は決めの問題という状況で、納得のいく理由とともに選択できるかどうかが、より上位職に求められる選択であり、ここで理由をつけられるようになると、思考は一気に強くなります。突き詰めたうえでどちらを選択するのか、リーダーには、その理由づけが求められているのです。

総合評価は見える化がカギ

 結局どの基準を重視するのかを突き詰めて選択をしていく場合がある一方で、複数の判断基準のバランスを加味して、単純に1つの要素だけに着目した選択ができないケースもあります。

 そのような場合、それぞれの判断基準ごとに3点満点や5点満点で評価し、合計点で評価するというやり方もあります。ただ、この方式の留意点は、「重みづけ」です。

 たとえば、基準1の重みのつけ方を2倍にすると、結論が変わってきます。

 総合評価という営みにおいては、「重みづけの妥当性」と「評価そのものの値の妥当性」の2つに対して納得感がないと、周囲から「恣意的ではないか」「どのようにでも判断が変わってしまうではないか」と思われるという難しさが残ります。

 では総合評価が行われることはないのか、というとそんなことはありません。逆のケースをイメージしてみるといいでしょう。

 たとえば、「複数の判断軸は出してみましたが、結局重要視すべきは基準1なので、基準1だけに照らし、どれが最適かを考えた結果、案Aにするのがよいと考えます」と結論づけられたとしましょう。聞き手の頭の中には、「基準1だけでいいのか」という考えが間違いなく頭をよぎることになるでしょう。

 また、重要な選択であればあるほど、単一の基準に基づいて選択することの怖さを感じるのも事実です。また、単一の基準のみにしてしまうと、一般的に相反すると目される「コスト」と「品質」、「機能性」と「デザイン」などの要素について、どちらか一方を犠牲にするような選択肢が出てこないとも限りません。

総合的な評価が適しているのは

 となると、総合的な評価とは、「選択肢が出そろったところで後から評価する」というよりも、あらかじめ重要視したい判断基準が提示されているシーンに、より適しているかもしれません。たとえば、大規模なコンペなどは、提案を募集する要項にどういった視点で評価するのかの基準が示されているケースもあります。

 つまり、どういった要素で評価するかを事前に示すこと=何を大切にしてほしいかを伝えるというプロセスが踏まれていると考えられます。総合評価のための基準は、選択のためというよりは、事前の牽制という意味合いに使える場合もあると考えてもいいかもしれません。

 そして、加えて大切なことは、どのように評価したのかの「透明性」です。どの項目に何倍の重みをつけるかは、それこそ「決め」の問題になってきますが、重みづけについて「理由づけ」ができるようしっかりとその根拠を持つこと、そして、実際にどのように評価したのかがわかる形で見える化していくことが大切です。

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