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仕事は、「5-4-3のダブルプレー」

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2018/09/13 06:00 山本 昌作

鉄工所なのに、「量産ものはやらない」「ルーティン作業はやらない」「職人はつくらない」!なのに、ここ10年、売上、社員数、取引社数、すべて右肩上がり。そんな会社をご存じだろうか?その名は、「HILLTOP株式会社」。京都府宇治市に本社がある。今、この会社に、全国から入社希望者が殺到しているという。その謎を解きに、記者は現地に飛んだ。京都駅から近鉄・大久保駅で下車。タクシーで本社まで約5分。車を降り、本社を見上げた瞬間、度肝を抜かれた。「ぴ、ピンク?こんな社屋、見たことない!」とても鉄工所に思えない。以前は、油まみれの“見るも無残な”鉄工所だったが、今や、宇宙・ロボット、医療・バイオの部品まで手がける「24時間無人加工の夢工場」へ変身。取引先はディズニー、NASAから一部上場のスーパーゼネコンまで今年度末に3000社超。社員食堂・浴室・筋トレルームがあり、「利益率20%を超えるIT鉄工所」とテレビで紹介され、年間2000人超が本社見学に訪れるという。そして、最も注目されているのは、山本昌作代表取締役副社長の生産性追求と監視・管理型の指導を徹底排除した「人材育成」。「ものづくりの前に人づくり」「利益より人の成長を追いかける」「社員のモチベーションが自動的に上がる5%理論」を実践。入社半年の社員でも、ディズニーやNASAのプログラムが組めるしくみや、新しいこと・面白いことにチャレンジできる風土で、やる気あふれる社員が続出。しかも、この経営者、鉄工所の火事で瀕死の大やけどを負い、1ヵ月間意識を喪失。3度の臨死体験。売上の8割の大量生産を捨て、味噌も買えない極貧生活をしたというから、まさに、個人も会社もどん底からのV字回復だ。この20年、数々のカリスマ経営者を取材し続けてきた記者も、こんな面白い会社は見たことがない。今回、初の著書『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』が発売たちまち第4刷、8/4に朝日新聞にも書評が掲載、8/22にはBSフジ「プライムニュース」に生出演した山本昌作氏を直撃。人が採れない時代に、なぜ、京都の鉄工所が世界最先端のVIP企業から重宝され、日本中、いや世界中から入社希望者と見学者が殺到しているのか?社員がイキイキ働きながら、がっちり儲かっている秘密を、HILLTOPの山本昌作副社長に語っていただこう。(構成:寺田庸二)

ヒルトップで営業と製造が対立しない理由

「営業部門と製造部門の仲の悪さ」は、どこの会社にもあることです。

 両者は仕事上、切っても切れない関係ですが、時として深い溝ができ、トラブルが勃発することがあります。対立が起きるのは、相手のことを考えていないからです。

●営業と製造のよくある対立

製造「こんなにクソ安い仕事を取ってきたんか。しかも、こんな短い納期でできるわけないやろ」営業「そうやけどおまえ、イマドキ、こんなご時世なんやから、安い仕事でもやらなければしゃあないやろう」

 ですが、ヒルトップには、製造や営業といった部門間の隔たりがありません。ヒルトップに営業と製造の対立がないのは、

・ジョブ・ローテーションを行っているので、営業が製造の現場を理解している・朝礼や全体ミーティングを行って、何か問題がある場合は、その都度、話し合う・垣根のない円形のオフィスや各フロアに設置した通信システムなど、連係プレーを生み出すしくみがあるからです。

会社は野球チームそのもの

 私は、当社の社員のことを「従業員」と呼びません。「従業員」という言葉は「業(ごう)に従う人」と書きます。 つまり、業務に従わせる構成員の略称が、「従業員」です。

 けれど、社員は、業務に支配されているわけではありません。

 私が社員に対して、「会社に従いなさい」「業務指示に従いなさい」と強制しないのは、私自身もこの会社の社員であり、「社員はみんな、同じ立場」だと思っているからです。

「会社は、野球のチームに似ている」。 これが私の持論です。

「社長=監督、経営幹部=コーチ、社員=選手」です。

 そして、お客様が打ったボール(お客様からの発注)を連係プレーで処理するのが、仕事です。

 ワンプレーで2つのアウトを奪う「ゲッツー」(ダブルプレー)には、あざやかなコンビネーションと華麗なテクニックがあります。

「相手の投げやすい位置に投げる」「相手の捕りやすい球を投げる」という意識がなければゲッツーは完成しません。

 仕事にも、コンビネーションと連係プレーが必要です。「自分の担当が終われば、それで終わり」「与えられた業務だけをやればいい」と個人プレーに走るのではなく、「チーム全体」のことを考えて仕事をすることが大切です。

「次工程」で仕事をする人の立場と気持ちを想像しながら仕事をする。

 次の人が仕事をしやすいように考えて仕事をする。

 その結果、流れるような「5-4-3のダブルプレー」(5…サード/4…セカンド/3…ファースト)が完成するのです。

 今回、年間2000人の見学者が訪れる、鉄工所なのに鉄工所らしくない「HILLTOP」の本社屋や工場、社内の雰囲気を初めて公開しました。ピンクの本社屋、オレンジのエレベータ、カフェテリア風の社員食堂など、ほんの少し覗いてみたい方は、ぜひ第1回連載記事をご覧いただければと思います。

山本昌作(やまもと・しょうさく)HILLTOP株式会社代表取締役副社長自動車メーカーの孫請だった油まみれの鉄工所を、「“白衣を着て働く工場”にする」と、多品種単品のアルミ加工メーカーに脱皮させる。鉄工所でありながら、「量産ものはやらない」「ルーティン作業はやらない」「職人はつくらない」という型破りな発想で改革を断行。毎日同じ部品を大量生産していた鉄工所は、今や、宇宙やロボット、医療やバイオの部品まで手がける「24時間無人加工の夢工場」へ変身。取引先は、2018年度末で世界中に3000社超になる見込。中には、東証一部上場のスーパーゼネコンから、ウォルト・ディズニー・カンパニー、NASA(アメリカ航空宇宙局)まで世界トップ企業も含まれる。鉄工所の平均利益率3~8%を大きく凌ぐ「利益率20%を超えるIT鉄工所」としてテレビなどにも取り上げられ、年間2000人超が見学に訪れる。生産性追求と監視・管理型の指導を徹底排除。「ものづくりの前に人づくり」「利益より人の成長を追いかける」「社員のモチベーションが上がる5%理論」を実践。入社半年の社員でもプログラムが組めるしくみや、新しいこと・面白いことにどんどんチャレンジできる風土で、やる気あふれる社員が続出。人間本来の「合理性」に根ざした経営で、全国から応募者が殺到中。「楽しくなければ仕事じゃない」がモットー。本書が初の著書。【HILLTOP株式会社HP】

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