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個性派新車で市場縮小を阻止 各社、ファン裾野拡大へ消費者目線の開発

SankeiBiz のロゴ SankeiBiz 2019/02/11 08:35 株式会社 産経デジタル
個性派新車で市場縮小を阻止 各社、ファン裾野拡大へ消費者目線の開発: 東京オートサロンで展示されたトヨタの「GRスープラ スーパーGTコンセプト」=1月11日、千葉市美浜区の幕張メッセ © SankeiBiz 提供 東京オートサロンで展示されたトヨタの「GRスープラ スーパーGTコンセプト」=1月11日、千葉市美浜区の幕張メッセ

 個性をとがらせた車が国内外の自動車イベントで存在感を発揮している。1月に開かれた改造車の祭典「東京オートサロン」は、スポーツカーブランドの競演も原動力となって、過去最多の来場者を獲得。米ミシガン州デトロイトで同月に開かれた北米国際自動車ショーでは、トヨタ自動車が17年ぶりに復活させたスポーツカー「スープラ」が話題を呼んだ。そこには、車ファンの裾野を広げるヒントが隠されている。

盛況のオートサロン

 1月11日に千葉市の幕張メッセで開幕した東京オートサロン。3日間の開催期間中に過去最多の33万人が来場し、東京モーターショーをしのぐ人気の高さを示した。

 426社が参加した会場で、ひときわ大きな人だかりができていたのがトヨタのブースだ。トヨタは14日からの北米自動車ショーで、独BMWと共同開発した新型スープラを世界初公開するのに先立ち、オートサロンでスープラをベースにしたレース仕様車「GRスープラ スーパーGTコンセプト」を披露。2002年に惜しまれて生産を終了したスープラの復活に向けた前哨戦となった。

 車名に冠された「GR」は、トヨタが17年に立ち上げたスポーツカーブランド「GAZOO Racing(ガズーレーシング)」の頭文字で、ドイツのニュルブルクリンク24時間耐久レースや世界ラリー選手権(WRC)などへの参戦で培った技術や情熱が注ぎ込まれている。5代目となるスープラはGRブランドから各国で発売。日本には今春にも投入される予定だ。

 トヨタ以外のメーカー各社がオートサロンに注ぎ込む熱量も高い。SUBARU(スバル)は今回、スバルのモータースポーツ活動を統括するスバルテクニカインターナショナル(STI)と共同で、先進的な走りを予感させるスポーツ用多目的車(SUV)「フォレスター」のコンセプトモデルなどを出展した。

 プレスカンファレンスに登壇したSTIの平川良夫社長は「リアルな空間でお客さまと直接対話する場を積極的につくる」と強調。これを、新車製造の最終工程「完成検査」をめぐる相次ぐ不正で揺らいだ信頼の回復につなげる決意も示した。既に、レース参戦車が活躍した歴史などを紹介するSTIギャラリー(東京都三鷹市)を改装し1月6日にリニューアルオープン。3月には、静岡県の富士スピードウェイで初のファンイベントを開く予定だ。

 扇の要だった前会長、カルロス・ゴーン被告の退場で経営基盤が揺らぐ日産自動車も存在感を発揮し、商品担当者が「騒動」を尻目に熱がこもったアピールを展開。日産が日系メーカーとして初めて参戦したEVレース「フォーミュラE」で戦う新型マシンのほか、レースで培ったノウハウをつぎ込んだスポーツカーブランド「NISMO(ニスモ)」のEVレーシングカーなどがブースに並んだ。

レース技術つぎ込み

 オートサロンでのトークショーで、日産商品企画本部の田村宏志チーフ・プロダクト・スペシャリストはスポーツカー「GT-R」と電動車に共通する力強い走りの演出について力説。「GT-Rでずっと技術を追求してきたから、EV『リーフ』や(エンジンで発電しモーターだけで駆動する)『eパワー』の搭載車が実現できた」と強調した。その上で、EVスポーツカーの市販化を期待するファンの声に応えるように「将来、GT-Rを電気にすればいいじゃない」と聴衆に語りかけた。

 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会によると、18年の国内新車販売台数(軽を含む)は前年比0.7%増の527万2067台と2年連続で増加した。ただ、ピークだった1990年の約780万台と比べると、7割近くの水準に落ち込んでいる。

 今後とも人口の減少や若者を中心に進む車離れを背景に市場が伸び悩む可能性が高いだけに、メーカー各社は「購入して走りたくなる車」を消費者目線で開発する努力が一段と求められつつある。スバルの中村知美社長は「(メーカーからの)価値の押し売りではいけない」と指摘。トヨタの友山茂樹副社長も「人が車に寄せる温かい感情を失えば、車が無味乾燥なつまらない存在となる。それを呼び覚ますことが使命だ」と気を引き締める。

「マイカー文化」根強く残る見込み

 自動車業界に自動運転やシェアリングに象徴される「100年に一度」の大変革の波が押し寄せる中、各社は事業内容の転換を迫られている。一方で、メーカーの存在価値を維持すべく本業で、車ファンの関心をつなぎ留める課題も無視できない。

 KPMGモビリティ研究所(東京都千代田区)によると、同業界で経営や事業に携わる幹部は自動運転が広がる2040年時点でも世界の自動車生産台数の約30%を「自家用車向け」が占めると予測。これに「移動サービス用自動運転車」(24%)と「自家用自動運転車」(23%)、「移動サービス」(22%)が続く。自家用車の比率は20年の40%から低下するものの、長期的にも「マイカー文化」が根強く残るとの見方だ。

 小見門(こみかど)恵所長は「『顧客第一』といいながら自社の技術力のアピールにとどまるメーカーが少なくない」と指摘。車の利用形態が変わっても消費者から選ばれ続けるためにも「顧客と事業者の間にあるギャップを埋めてブランド力を高めるべきだ」と課題を投げかける。(臼井慎太郎)

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