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女性部下を忘年会で傷つけヤル気を失わせた46歳マネジャーの失敗

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2018/12/07 06:00 宮本実果
女性部下を忘年会で傷つけヤル気を失わせた46歳マネジャーの失敗: 写真はイメージです Photo:PIXTA © 画像提供元 写真はイメージです Photo:PIXTA

12月は忘年会のシーズン。ですが、飲み会の席などで、管理職の方々に気をつけてほしいことがあります。部下を思って発した言葉が部下を傷つけ、やる気をなくさせてしまうことになりかねないからです。管理職養成講座24回目では、そんな過ちを犯してしまったマネジャーの事例を紹介します。(MICA COCORO代表 産業カウンセラー 宮本実果)

忘年会の席での会話以降急に元気がなくなった独身の部下

 国内メーカー企業に勤めるTさん(男性・46歳)は、総務部において課長職に就いています。総務部には、派遣社員も多く勤めているため、部内の飲み会などでは積極的にメンバーとコミュニケーションをとっています。

 現在、直属の部下が男女合わせて8人いますが、新入社員1人とAさん(女性・34歳)以外は全員既婚者で、小さな子どもがいます。T課長にも中学生の息子がおり、飲み会の席ではいつも子どもや奥さんの話題で盛り上がります。

 しかし、先日開かれた忘年会の席で、Aさんと話をして以降、元気があまりありません。忘年会で、どんな会話があったのでしょうか。そのときの会話をご覧ください。

T課長 「あっという間の1年だったね。優秀なB君が転職して、いろいろあったけれど、何とか乗り越えられてよかったよ。みんなの残業を増やすわけにはいかないし、帰りが遅くなってしまって、妻には文句を言われる日々だけどね」Aさん 「結局、人員は補てんされず、増えないままでしたね」T課長 「人事に要請はしているんだけれどね。そういえば、みんなも家庭があるから、いろいろ大変だっただろう」Cさん 「僕は、まだ子どもが生まれたばかりで妻が“ワンオペ育児”にイライラしていて大変なんです」Dさん 「僕も、残業が続くと妻の機嫌が悪くて大変ですね」Eさん 「私は、近所に住む夫の両親に子どもの面倒を見てもらっているので、肩身が狭いです」T課長 「Aさんと新入社員のN君は独身だから、家に帰っても文句を言う人はいないからいいね」Aさん 「そうですね…」

問題視している内容と元気をなくした原因がずれている

 忘年会以来、元気のないAさんに、T課長は「仕事で負担になっていることがないか」と尋ねましたが、Aさんは「それはありません」と答えるだけでした。

 T課長としては、転職したB君の業務がAさんに降りかかって負担になっていると考え、それが原因で元気がないのだと心配していました。しかし、どうもそれは違うようで、どうすればいいのか悩んでいます。

 今回の事例の問題点はいったい何だったんでしょうか。それは、T課長が問題視している内容と、Aさんが元気をなくしている原因が違うということに、T課長が気づいていないということにありました。

自分の価値観で問題点を探るのは間違い

 筆者が産業カウンセラーとしてカウンセリングをする際に、「カウンセラーの基本的態度」で注意している点がいくつかあります。今回の事例でいえば、その中の1つである「共感的理解」についてご説明しましょう。

「共感的理解」とは、相手の主観的な見方、感じ方、考え方を、その人の立場に立って見たり、感じたり、考えたりするということです。「相手が何を言っているのか」という“内容そのもの”にフォーカスして理解するのではなく、「相手が何を言いたいのか」「相手が何を感じているのか」を理解する必要があります。

 T課長は、飲み会の席とはいえ、自分の価値観に当てはめて、家庭があると残業が後ろめたいという話をしてしまっています。これでは、Aさんの考えや感じていることを受け止めるどころか、独身のAさんが引け目や孤独を感じてしまいかねません。

 今回の場合、Aさんは最初に、「退職者の補てんがなかった」ということを言っていたことに気がついたでしょうか。実は、ここに焦点を当てた会話を展開すると、今回のような状況を防ぐことができたと考えられます。では、どうすればよかったのでしょうか。会話から学んでいきましょう。

T課長 「あっという間の1年だったね。優秀なB君が転職して、いろいろあったけれど、何とか乗り越えられてよかったよ。みんなの残業を増やすわけにはいかないし、帰りが遅くなってしまって妻には文句を言われる日々だけどね」Aさん 「結局、人員は補てんされず、増えないままでしたね」T課長 「人事に人員追加の要請はしているんだけれどね。Aさんは人員不足を感じている?」Aさん 「人員不足というか、B君は業務の処理能力も高かったですし、冷静な判断はメンバーの中でダントツだったので、効率よく仕事ができていたと思います。そのB君が転職した今、単に人数を増やそうという考えだけではなく、もう一度、チーム内での業務の見直しや問題点を見つめる作業も必要だと思っています」

T課長 「なるほど、Aさんが感じている問題点は、人数の補てんという単純な解決法ではなく、もう一度業務を見つめなおす機会が必要だということだね」Aさん 「はい、その通りです。一度、メンバー間で、業務の効率化や見直しを考える時間を設けてほしいと思います」

 このように、T課長が「共感的理解」の姿勢でAさんの話を受け止めることによって、Aさんが感じている問題解決の案を引き出すことができました。

共感的理解の姿勢はチームの問題解決への近道

 人にはそれぞれの生き方や考え方があります。それは、部下に対しても当てはまることです。今回のように、「独身だから気楽」という論理や、独身である人を孤独に感じさせるような事態にしてしまったことは、自分の価値観から発生した会話に原因があります。

 部下に対して気遣いばかりしていると、「自分が疲れてしまうからそんなに配慮できない」と考える管理職の方もいらっしゃるかもしれませんが、「共感的理解の姿勢」は問題解決のためにも重要な心構えです。

 結果的に、チームの問題解決に結びつくことだと考えて、ぜひ実践を心がけてみましょう。

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