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学生が選ぶ「優秀でないと内定取れない」20社 就活生はなぜ1位にあの電通を選んだのか?

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2017/04/19 佃 光博
千葉・幕張メッセで3月に開催された、リクナビ「就活開幕LIVE」に出展した電通ブース。就職人気ランキングは低調だったが、訪れる学生は多かった (撮影:尾形文繁) © 東洋経済オンライン 千葉・幕張メッセで3月に開催された、リクナビ「就活開幕LIVE」に出展した電通ブース。就職人気ランキングは低調だったが、訪れる学生は多かった (撮影:尾形文繁)  

 恒例の「就職人気企業ランキング」が発表されるシーズンがやってきた(「)。各社がこぞってランキングを発表しているが、それらは学生の「こんな会社がいい」「できれば入社したい」という評価を示しており、学生の志望を示すわかりやすい指標といえる。

 今回、別の指標で、学生による企業評価を調べてみた。それは自分自身ではなく、「あなたの志望の有無に関わらず、優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業」、という問いに対する答えを集計したものだ。その結果、人気企業と異なるランキング結果となった。

1位は電通、2位伊藤忠商事、3位三菱商事​​​​

 今回のアンケート調査は、楽天「みんなの就職活動日記」の会員を対象に、HR総研が3月に実施したもので、約1000人から回答を得ている。いくつかの設問の中に「あなたの志望の有無に関わらず、優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業を1社お選びください」というのがある。就職人気ランキング調査では学生自身の志望を聞いているが、今回の調査では「あなた自身の志望の有無に関わらず」としている。つまり就活生から見て「優秀な学生でなければ内定を取れない企業」を選んだということになる(詳細データはこちら)。

 その結果、トップとなったのが、電通だった。文理別でも文系661人中100人、理系365人中45人が、電通と回答。文系でも理系でも7~8人に1人の学生が電通を選んだことになる。

 就職人気ランキングでは、電通は過去ずっと上位にランクインされていたが、今年は急落している。たとえば、「みんなの就職活動日記」の新卒就職人気企業ランキングでは、昨年(2017年卒)、一昨年(2016年卒)と、2年連続で1位となっていた。しかし、今年の2018年卒人気ランキングで、23位へ急降下した。その理由は電通の過労死事件がマスコミで大きく報じられたことにある。

 電通過労死事件とは、2015年春に東京大学を卒業して電通に入社した高橋まつりさんが、その年の12月に他界した事件である。報道によれば、高橋さんの残業は100時間を超え、上司からパワハラも受けていたという。「ブラック企業」を許さないという社会的コンセンサスもあり、報道をきっかけに「電通=ブラック企業」というイメージが広まっていった。

 学生は志望企業がブラック企業かどうかということを非常に気にしている。同じ調査で、「志望先企業がブラック企業か気になりますか」という設問を設けているが、65%が「かなり気になる」と回答し、「少し気になる」が28%、「あまり気にならない」が5%で、「全く気にならない」は2%にとどまった。文系・理系ともに同じ傾向であり、「気になる」比率は合計で9割以上となっている。志望企業の選定では、ブラック企業かどうかは、重要ファクターだ。

 それにもかかわらず、同じ「みんなの就職活動日記」の調査(「あなたの志望の有無に関わらず、優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業を1社お選びください」)で、電通は1位なのだ。

ブラック企業かどうか9割が気にする

 ポイントは「あなた自身の志望の有無に関わらず」という設問にある。

 「優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業」として電通を上げた学生を調べると、電通と回答した学生145人のうち、志望業界として「広告」を挙げた学生は15人しかいなかった。他はまったく関係のない業界を挙げている。「志望の有無に関わらず」という前提に、学生が忠実に回答しているといえる。

 電通を選んだ理由を読むと、「東大」や「社員の優秀さ」について触れている記述が多い。「社員の出身校が有名大学だったから」(大阪大学、文系)、「東大卒の女性が就職という報道があったから」(熊本大学、理系)、「入社が難しい日本でも有名な広告会社と認識しています」(共立女子大学、文系)、「激務」(横浜国立大学、文系)、「東大卒の人が多いイメージ」(長崎大学、文系)など。

 これらの記述を読むと「東大=エリート」で、その東大生が多く入る「電通=超エリート企業」という連想が働いているように思える。

 2位以下も見ていこう。今回の「優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業」調査で、電通と並んで100人以上の学生が挙げたのが、伊藤忠商事だ。文理合わせると2位だが、文系に限れば1位となっている。

 伊藤忠商事が評価される理由はシンプル。日本一の商社だからだ。「売上高業界一位を獲得できた、非財閥系の総合商社であるため」(同志社大学、文系)、「総合商社ということで早い頭の回転と言語能力の高さが求められるため」(首都大学東京、文系)、「総合商社は特に優秀な学生が多く応募するイメージ」(筑波大学、理系)、「総合商社のトップであり、高い能力が求められるから」(一橋大学、文系)、「高い学力に加え、海外経験や体育会系の部活をやっていないと厳しそうだから」(広島大学、文系)、「商社の中でも一流中の一流なので」(桐朋学園大学、文系)なのである。

 3位に表された三菱商事は、「財閥系」であることが評価されている。三菱グループという企業集団の中核企業であることに加え、長い歴史を持っていることが好感されている。

 「五大商社、財閥系の中でも、三菱ブランドが大きいと感じたから」(大阪大学、文系)、「天下の三菱財閥の主要企業だから、優秀な人も集まってくる」(小樽商科大学、文系)、「財閥の中でもトップの地位と商社という高学歴でエリートがよく行きそうな業界だから」(立命館大学、文系)、「三菱グループの中核企業であり、就活生あこがれの商社だから」(小樽商科大学、文系)、「総合商社は人気であるイメージがあるため、その中でもとりわけ歴史が深く名が知れていると感じるため」(法政大学、文系)。

 4位の全日本空輸(ANA)に対するコメントを読むと、他の企業の理由とニュアンスが異なる。まじめな意見もあるが、イメージ先行で、「何となく」書いた人が多いように思える。キャビンアテンダント(CA)を志望する女性が多いようだ。

学生から見た企業のイメージとは?​​​​

 「航空は空と人に関わる仕事で、高いコミュニケーションスキルと、突然の事故などに対する臨機応変な対応が必要になるから」(淑徳大学、文系)、「航空業界では業績トップで、英語や振る舞いが重要視されると感じるからです」(近畿大学、文系)、「大手の航空会社でキャビンアテンダントの華の会社だと思うから」(三重大学、理系)、「倍率が高そうだから」(聖心女子大学、文系)、「広告でのイメージ」(福井大学、理系)、「自分の友人がCAでANAを目指しているから」(共立女子大学、文系)、「テレビでよく宣伝しているから」(福井大学、理系)、「何となく大手だから」(鎌倉女子大学、文系)。

 5位のトヨタ自動車の得票数は43人だが、理由を読むと、学生は本当にトヨタを高く評価していることがわかる。他の企業では理由の中に、「優秀な学生が集まる」という噂話、「高い給料」というおカネ目当て、「業界一位」という国内シェアなどがあるが、トヨタの理由では皆無だ。

 以下に紹介する理由で、共通している単語がある。それは「世界」。エリート企業はたくさんあるものの、あくまでも国内での話。トヨタ自動車だけは「世界企業」として認知されている。

 「世界でも技術力はトップクラスで、優秀な自動車メーカーであり、優秀な学生以外はとらないというイメージがあるため」(大妻女子大学、文系)、「国内だけでなく、世界で有名」(愛知淑徳大学、文系)、「世界的にも有名で名をとどろかせているから」(岐阜経済大学、文系)、「倍率が高い、世界トップ企業」(筑波大学、理系)、「最も世界に通用しそうなイメージなので」(東京農工大学、理系)、「トヨタが世界的にも大きい企業だから」(名古屋大学、理系)、「世界にも名が通る超有名企業だから」(三重大学、文系)

 世界企業として評価されているトヨタ自動車だが、投票者の大学分布をみると、東海地区の学生の割合が多いのが気になる。世界企業にもかかわらず、日本国内ではまだまだ「全国区」になりきれていないようである。

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