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富士通が組み合わせ最適化問題を高速で解く「デジタルアニーラ クラウドサービス」を開始

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2018/05/17 08:43
デジタルアニーラ専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」 © ITmedia エンタープライズ デジタルアニーラ専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」

 富士通は2018年5月15日、組み合わせ最適化問題を高速に解くクラウドサービス「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer(デジタルアニーラ クラウドサービス)」の提供を開始した。国内での提供を皮切りに、2018年度中に北米、欧州、アジアに順次展開する。

 例えば「がんの放射線治療の際、どの角度と照射量ならば、他の臓器にダメージを与えずに済むか」といった、実社会のさまざまな要因の組み合わせを考慮しながら最適解を見つけ出す「組み合わせ最適化問題」を高速で解くには、従来の汎用コンピューティングではプロセッサの計算能力に限界がある。また、現行の量子コンピュータ(量子アニーリングマシン)では「物理的に近接した素子同士しか接続できない」というハードウェア面での制約があるため、実用規模の問題を扱うには技術的課題が多いとされている。

 富士通研究所では、「高い設計自由度」や「ノイズ耐性」というデジタル回路の利点と、量子現象に着想を得た高速性を併せ持つ、組み合わせ最適化問題専用のアーキテクチャ「デジタルアニーラ」を2016年10月に発表。富士通とともに開発を進めてきた。

 デジタルアニーラでは、コンピュータ内部で素子同士が自由に信号をやりとりできる全結合型の設計を採用し、1024個のビット値を全結合で相互接続。ビット間の結合の強さを65536階調で細かく表現できるため、現行の量子アニーリングマシンでは扱いが難しい、膨大な計算を要する複雑な問題も高速に解けるという。デジタル回路を使うため、ノイズの影響を受けにくく、特別な冷却装置がなくても室温で安定動作させられる。

 富士通は、デジタルアニーラの実行基盤を活用すれば「創薬における分子類似性検索の高速化」「金融におけるポートフォリオの最適化」「デジタルマーケティングのパーソナライズ広告」「工場・物流における倉庫部品の最適化配置」など、さまざまな課題の最適解を高速で導き出せるとしている。

 サーバなどの製造を行う富士通ITプロダクツでは、デジタルアニーラを導入することで、倉庫内でのピッキング計画に最適な作業動線を導き出し、最大45%の移動距離を削減したという。

 今回、富士通は、クラウドサービスの提供に合わせ、同社の専門技術者がユーザーの課題定義や数式モデル構築、数式モデルを活用するためのアプリケーション開発を支援する「FUJITSU Digital Annealerテクニカルサービス(デジタルアニーラ テクニカルサービス)」の提供を開始する。

 販売価格は、デジタルアニーラ クラウドサービス、デジタルアニーラ テクニカルサービスともに、個別で見積もるという。

 同社は今後、さらに大規模な問題への適用を目指し、デジタルアニーラ専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」を新たに開発する他、ビット間全結合の規模を現在の1024bitから8192bitへ、結合精度を16bitから最大64bitの1845京階調まで拡張する計画だ。交通渋滞や災害時の復旧計画などの複雑な社会課題の計算も可能になるという。将来的には、100万bit規模への拡大を視野に入れている。

 2018年度中には、専用プロセッサDAUを実装したクラウドサービスの他、高頻度でデジタルアニーラを使いたい顧客向けに、企業のデータセンターに設置できるオンプレミス製品の販売も予定している。

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