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左傾化する米ミレニアル、資本主義の捉え方に変化

The Wall Street Journal のロゴ The Wall Street Journal 3日前 Eli Stokols

 【イーロン(ノースカロライナ州)】ミレニアル世代を対象にした世論調査を17年間手がけてきたジョン・デラ・ボルプ氏は今秋、ノースカロライナ州にあるイーロン大学の真新しいセンターで約150人の学生の前に登壇した。

 ハーバード大学公共政策大学院の政治研究所(IOP)で同氏が2016年に行った調査では、回答した若者の42%が資本主義に賛成すると答えた。ただ、自らを資本主義者だと考える若者は19%にとどまった。同氏が新たに設けた質問だったが、資本主義を受け入れる若者の比率の低さに驚いた。イーロン大学を訪ねた目的の一つはその訳を理解することだった。

 「おそらく『アメリカンドリーム』に関係していたと思う。資本主義がそれとどう結びついていたかに。でも多くの若者はもうそれを信じていない」とイベントに参加していた3年生のアナ・ガルシアさんは語った。「私たちは資本主義を信用しない。私たち自身がうまく行っていると思えないから」

 1980年代~1990年代に生まれたミレニアル世代のこうした変化により、東西冷戦の連想からかつてはタブー視された社会主義が、他の世代に比べて特に若年層で支持されている。

 1年生のグレース・マグネスさんは身をもって変化を感じたという。彼女の曽祖父は、20世紀初頭に社会党から5度も米大統領選に立候補した労働運動活動家にちなんでユージン・デブスと名づけられた。「曽祖父は大人になるとこの名前を恥ずかしく思い、決してフルネームで自己紹介しなかった」

 だが彼女にとって「社会主義はそれほど不気味ではない」という。むしろ「資本主義のほうが腐敗する可能性が高いと思える」

 若年層はその上の世代よりも左傾化していると見られることが多い。ミレニアル世代が左寄りの考えを持つのは、将来に対する不安が根底にあるとデラ・ボルプ氏は指摘する。5日公表されたハーバード大の最新調査では、回答者の67%が国の進む方向性について期待よりも懸念を抱いていると答えた。今秋18~29歳の2037人を対象に面接調査を行った。

 「こうした若者が何かでまとまるとしたら、それは不安感だ」とデラ・ボルプ氏は言う。経済チャンスが限定的で、社会全体の格差が広がっているという感覚が彼らの不安をかき立てるからだ。

トランプ政権への抗議デモに参加する若者(ニューヨーク、11月4日) © Provided by The Wall Street Journal.

 2016年の調査でもう一つ分かったのは、ミレニアル世代が親世代に比べて宗教心が乏しく、制度への信頼を失っていることだ。これは2008年以降の深刻なリセッション(景気後退)で失われた自信について調べた他の調査結果とも一致している。

 「新たに有権者の仲間入りを果たすグループは一概に、彼らの成長期に顕著だった傾向に大きく左右される」と民主党の世論調査専門家を長年務めるセリンダ・レイク氏は指摘。「従ってこのグループは軍や政府などの制度に対して皮肉っぽい態度を取る」

 共和党の世論調査専門家でミレニアル世代についての著書があるクリステン・ソルティス・アンダーソン氏によると「最年長のミレニアル世代が最も左傾化している」という。「成人し、大学を卒業し、職探しをしたのが金融危機の時期だから、自由市場は何をしてくれたのかと問いかけるだろう。市場が悪い、政府が悪いという分かりやすい主張が響くはずだ」

 ハーバード大の調査は18~29歳の約1000人を対象に2001年から毎年行われてきた。規模は次第に大きくなり、16年春の調査では3200人近くに達した。

政府の役割求める

 一方でミレニアル世代の回答者は、自分たちの将来を良くするために政府がより大きな役割を果たすべきだと答えた。足元では堅調に推移する米経済だが、成長に拍車をかけるために減税が有効だと考える若者は、2016年のハーバード大の調査で2年間に7ポイント低下した。

 これは税制改革案の実現に近づく共和党にとって不吉な兆候だ。ハーバード大の5日公表の最新調査では、67%がドナルド・トランプ米大統領の進める税制見直しに反対すると答えた。やはり5日に公表されたキニピアック大学の調査でも、ミレニアル世代(ここでは18~34歳と定義)の78%が共和党の税制改革で主に恩恵を受けるのは富裕層だと答えた。

 「ミレニアル主導で非常に重大な政治運動が今まさに起きようとしている」。デラ・ボルプ氏はこう指摘する。「この世代はトリクルダウンの経済効果を信じていない」

 民主党は来年の中間選挙や2020年の大統領選挙にこの傾向を生かすチャンスがあると思われる。だがデラ・ボルプ氏は「こうした有権者が民主党を支持するのは当然だと思うべきでない」と述べた。「この世代に力を注ぐ時間がまだ1年ある。仮に18年の選挙で失敗すれば、20年には別の勢力が取って代わるだろう」

働き方にも変化

 ミレニアル世代は社会的意識が高いことを自覚している。それは将来の雇用主にとって予期せぬ影響をもたらす。

 「彼らは自分が働く場所を、自分がどういう人間で何に価値を置くかの延長線上にあると考えている」。企業の社会責任戦略について助言するコーン・コミュニケーションズのマーケティング調査責任者、ホイットニー・デイリー氏はこう指摘する。

 2016年に大企業で働く1000人余りを対象に実施したコーンのミレニアル雇用調査によると、20~35歳の回答者の76%が職探しのときにその企業のソーシャルコミットメント(社会への関与)を考慮すると答えた。また自分の価値観に合う会社で働くためなら給料が下がってもよいとの答えは75%に上った。

 金融大手シティグループは2008年の金融危機後、採用方針を変更してワークライフバランスを見直した。新しいプログラムの下では、従業員が1年間就業を延期して慈善活動やボランティアに従事し、その間は給料の60%を受け取れるようにするなどした。若い世代の社会意識の高まりに対応したものだ。

 「大学キャンパスを訪ねるときは学生に対し、当社が目的を持ち、社会に貢献しようとしていることを伝える」とシティグループのジェイミー・フォレス社長は話す。「学生は謝罪や弁解よりも、未来に向けた計画を聞きたがっている」

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