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年金、受給開始は65歳 遅らせるほど増額に

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2019/12/03 11:00
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20歳の君たちが国民年金や厚生年金を受け取れるのは、現在の制度が続くなら原則65歳から。45年後なんて想像できないぐらい先のことに思えるだろう。

国民年金の受給開始年齢は制度発足当初から65歳だ。主に会社員らが加入する厚生年金は当初55歳だったが、何度かの改正で引き上げられてきた。男性は2025年度、女性は30年度に全員が65歳からとなる。

■長生きするほど「お得」に

現状では60歳を定年とする企業が依然多い。年金がない60歳代前半は雇用継続や再就職で収入を得たり、貯蓄を取り崩したりして生活する必要がある。

年金の受け取り方で知っておきたいのが繰り上げや繰り下げだ。現行制度では年金をもらう年齢を60~64歳に早めたり、66~70歳に遅らせたりできる。

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ただし、もらう年齢を早めると年金額は1カ月ごとに0.5%減る。60歳0カ月まで早めると30%の減額だ。基礎年金の満額は19年度は月6万5000円なので月4万5500円に減る。一方、繰り下げると1カ月ごとに0.7%増額になる。70歳0カ月まで遅らせると42%の増額だ。それぞれその年金額が一生続く。

60歳からもらい始めると、75歳まではその方が受給総額が大きいが、76歳で逆転する。逆に受給を70歳まで遅らせると、82歳近くで元が取れる。受給を繰り下げれば、長生きするほど「お得」になる計算だ。

日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳。内閣府によると60~64歳の就業率は17年に男性79%、女性54%、65~69歳は男性55%、女性34%で、いずれも上昇傾向にある。繰り下げ受給が増える下地は整っていそうだが、足元の状況は異なる。

厚生労働省によると17年度に繰り上げ受給した人の割合は約2割だったが、繰り下げはわずか1.5%。目先の利益が優先されがちなほか、年金財政への不安も背景にあるようだ。

■働きながら受給額を増やすこと大事

年金制度改革の議論の中では受給開始年齢の幅を拡大する案が出ている。厚労省は10月、繰り下げの上限年齢を70歳から75歳に引き上げる案を示した。来年の通常国会で法案が提出される見込みだ。

世界的にも受給開始年齢は引き上げられる趨勢にある。米国では27年までに67歳、英国では46年までに68歳となる見通しだ。日本でも将来、65歳から引き上げられるかもしれない。

国が掲げる「全世代型の社会保障制度」では年金と並び、70歳の就業機会の確保など雇用制度も改革の対象だ。大和総研の鈴木準政策調査部長は、「収入がないまま年金受給を遅らせるのは現実的に難しい。雇用改革と両輪で進める必要がある」と指摘する。

いま20歳代の人の寿命はさらに伸びるだろう。できるだけ長く働きながら年金の受給額を増やすことは一段と重要な選択肢となる。

(成瀬美和)

=おわり

[日本経済新聞朝刊2019年11月30日付]

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