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明治が高価格チョコの増産に踏み切る理由 カールおじさんは「リストラ」、チョコに注力

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/02/14 08:00 石阪 友貴
© 東洋経済オンライン

 2月14日はバレンタインデー。市場規模が1300億円を超えるともいわれるこの1年に1度の商機を逃すまいと、菓子メーカー各社はバレンタイン商戦に毎年知恵を絞っている。

 明治ホールディングス傘下で、国内チョコレート市場でシェア首位の明治は1月15日、チョコレートの製造能力を強化すると発表した。

高カカオブームで、市場が急拡大

 坂戸工場(埼玉県坂戸市)で新製造棟を建設するほか、大阪工場(大阪府高槻市)でも設備の増強を行う。総投資額は約270億円に上り、製造能力は坂戸で6割、大阪で2割アップする。

 背景にあるのは、ここ数年続くチョコレート市場の拡大だ。血圧低下や便通改善など、カカオに含まれるポリフェノールの健康効果がたびたびメディアで取り上げられたこともあり、2017年の市場規模は5550億円と5年前に比べ3割伸びた(英調査会社ユーロモニター調べ)。

 国内首位の明治も市場拡大の追い風を受けている。「季節によって変動はあるものの、チョコレートの需要期である冬の間の製造能力はもう限界に近かった」(会社側)ため、製造能力の強化に踏み切った。

 明治の製品群で成長を牽引するのは高カカオ(カカオ分60%以上)を訴求する「チョコレート効果」と「ザ・チョコレート」。明治の推計によれば、高カカオの市場は2014年からの3年間で3倍の115億円になったという。

 特に、2016年9月に発売したザ・チョコレートは高カカオに加え高級感を訴求したところ「想定をはるかに超える大ヒットになった」(明治・菓子マーケティング部長の萩原秀和氏)。

 同製品は発売から1年ほどで累計販売数4000万枚を達成。一時は原料のカカオ豆の調達が間に合わなくなり一部のアイテムを休売にしたほどだ。

 国産チョコレートの原料になるカカオ豆の多くはアフリカのガーナ産だが、ザ・チョコレートでは風味の違いを打ち出すためにブラジルなど南米のカカオ豆農家から直接原料を仕入れている。

 萩原部長は「原料の産地が違えば味も変わる。ビーン・トゥ・バー(カカオ豆の選定からチョコレートに加工するまで)にこだわる消費者が増えている中で、原料選びからかかわることで今までの製品と差別化した」と語る。

「選択と集中」戦略が奏功

 原料の調達から手掛けたザ・チョコレートの小売価格は200円以上。一般的なチョコレートが100円前後で売られていることを考えれば強気の価格設定だが、1000円以上する高級チョコレートに比べれば手が出ない価格帯でもない。100円以下のものと高級チョコレートの間に空いていた価格帯の需要をつかんだ。

 こうした従来よりも高単価の製品を投入するのは、明治が進めている「選択と集中」戦略の一環でもある。

 以前は多いときで菓子事業全体で1200の製品数があり、うち期間限定品は年間400品目にも及んでいたという。工場内の限られた設備で複数の製品を切り替えて造っていたため生産効率が悪いうえ、特定の製品の販売に力を集中しづらい状況だった。

 そこで、2012年ごろから期間限定品などの発売を抑制。2017年度は200品目以下に抑えている。それから、売れ行きがよくなかったり販売にコストがかかったりする製品の終売も進めた。2014年度からの3年間では、アイテム数を3割ほど減らしたという。

 象徴的なのが、往年の人気製品「サイコロキャラメル」の2016年3月の終売(子会社が北海道限定で販売を再開)や、スナック菓子「カール」の、物流費がかさむ東日本での販売中止(2017年8月)など。アイテム数の削減に大ナタを振るい、主力製品のマーケティングにより注力することでチョコレートの販売を伸ばしてきたのだ。

 萩原氏は、「人口が減少し少子高齢化が進む国内では、お菓子の中でも伸びるものと縮小するものが分かれる。高齢化が進めば健康志向も強まるため、健康イメージが定着しつつある高カカオを訴求したチョコレートはしばらく伸び続けるはず」と話す。アイテム数を削った分、チョコレート販売に今後も重きを置く考えだ。

 採算がよい製品に注力することで、明治の菓子事業の利益率は向上の一途だ。2013年度に3%台だった営業利益率は、2017年度の上期には10%台まで上昇、現在のセグメント分けになって以降の過去最高を更新した。利益率10%を超える国内の食品メーカーは多くはない。

 思い切った設備投資が吉と出るか凶と出るか。現在のチョコレート人気を一過性で終わらせず、どれだけ持続させられるかがカギになる。

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