古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

東芝「サザエさん、ラグビーも聖域ではない」 営業益は28年ぶり過去最高の見通しだが…

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2017/11/09 山田 雄大
© 東洋経済オンライン

 絶好調な決算が、逆に前途の厳しさを暗示している。

 東芝は11月9日、2017年4~9月期(上期)決算を発表した。営業利益は2317億円(前年同期は931億円)と、上期として過去最高を記録。何といっても、牽引役は半導体メモリ事業だった。同事業だけで全体の9割にあたる2050億円を稼ぎ出した。

1990年3月期を超え、過去最高を更新へ

 下期も好業績が続きそうだ。東芝は通期の営業利益として4300億円(同2708億円)を予想する。これまでの過去最高は1990年3月期の3159億円だったが、それを軽く上回る水準だ。営業利益だけをみれば、絶好調と言っていい。

 通期でも牽引役はメモリ事業で、同事業の営業利益は4194億円に達する見通し。ちなみに1990年3月期の稼ぎ頭はDRAMだった。現在の中核はフラッシュメモリだが、結局、東芝の好業績は今も昔もメモリ事業が演出していることになる。

 最終損益については、通期で1100億円の赤字を見込む。東芝は9月末、メモリ事業を担う子会社・東芝メモリを、投資ファンドの米ベインキャピタルが主導する「日米韓連合」に2兆円で売却する契約を結んでいる。しかし、2018年3月末までに各国の独占禁止法の認可を得られるかはわからない。このほか、事業パートナーである米ウエスタンデジタル(WD)が契約違反であると反対し、国際仲裁機関で争っている。

 最終損益1100億円の赤字は、期末までに売却できないことを想定したもの。期中に売却が間に合えば、最終損益は9700億円の黒字になる。

 売却が間に合わないと株主資本は7500億円のマイナスとなり、2年連続の債務超過で自動的に上場廃止となる。そうした事態を回避するため、決算会見でCFO(最高財務責任者)の平田政善専務は「ワーキンググループを作っていろんな手法を考えている」と、現在から資本増強策を検討していることを明らかにした。

 それにしても、改めて痛感させられたのは、東芝メモリ売却後の東芝の前途の多難さだ。

 何しろ、全社利益の9割以上をメモリ事業が占める。今期の通期予想4300億円には600億円の構造改革費用が含まれているとはいえ、新生・東芝を支えていく社会インフラ事業(発電機器や公共インフラ、昇降機など)の収益力は、いかにも心もとない。

 東芝メモリについて、東芝は売却後も当面40.2%の議決権を保有し、持分法で利益を取り込む予定。しかし、東芝メモリは早期の株式公開を目指しており、徐々に遠心力が働くことは間違いない。

 さらに、東芝に残された最大のリスクとされる天然ガスの液化役務契約「フリーポート」について、平田専務は「今の目線なら年間100億円の損失は覚悟している。20年間の累計で2000億円になる」と語った。

パソコンとテレビの事業性を見極め

 残された事業の収益力をいかに上げていくか。今後、東芝は構造改革費用の600億円を活用し、インフラ事業を中心に不採算の海外現地法人の整理を進める。依然として赤字が続くパソコン事業とテレビ事業についても、事業性の見極めを行っていく方針だ。

 長寿テレビ番組「サザエさん」のスポンサーや、ラグビーなどスポーツを含めた企業活動全般についても、平田専務は「経費に見合うキャッシュインがあるのか、すべてを洗っている最中。いろんな可能性が出てくる」と言及した。

 東芝の再生のためには、まだ時間がかかりそうだ。

東洋経済オンラインの関連記事

東洋経済オンライン
東洋経済オンライン
image beaconimage beaconimage beacon