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森永卓郎氏が外国人単純労働者受け入れに断固反対のワケ

NEWSポストセブン のロゴ NEWSポストセブン 2018/07/13 07:00
日本は急速に移民大国化している! © SHOGAKUKAN Inc. 提供 日本は急速に移民大国化している!

 少子高齢化による労働力不足が指摘され、それとセットで“移民”受け入れが議論されている。だが、森永卓郎氏は外国人の単純労働者は不要だと断言する。

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 日本という国のかたちが大きく変わる。 

 政府は6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で、外国人労働者の受け入れ拡大を発表した。新たな在留資格を創設し、「建設」「農業」「介護」といった人手不足に悩む5業種を対象に、5年を上限に外国人労働者の在留を認める。2025年頃までに50万人超の外国人を受け入れるという。

 政府は移民政策ではないと強調しているが、既存の技能実習(最長5年)を終えた外国人がこの制度を利用すれば、最長10年日本に在留できる。事実上、“移民”受け入れに舵を切ったに等しい。

 厚労省によると、25年前に約10万人だった外国人労働者は、技能実習生の就労や留学生のアルバイトなどの増加により、2017年10月末時点ですでに約128万人に達している。この状況でさらに外国人労働者に門戸を開放すれば、日本社会は未曽有の大変革を迎えることになる。

 だが、極めて重大な政策変更にもかかわらず、国会ではろくに議論されていない。由々しき事態だ。

 この問題の最大の特徴は、雇い手の企業が労働力確保や人件費抑制といったメリットを即時的に享受する一方、国民全体がデメリットを時間遅れで負担させられることだ。

 まず懸念されるのが賃金の大幅な低下だ。現在は人手不足で建設、宅配便、コンビニなどで賃金が高騰している。少し前まで800円前後だったコンビニの時給が、今では1000円以上だ。

 だが、安価な労働力が大量に流入すれば賃金は一気に下落する。一橋大学経済研究所所長の小塩隆士教授の試算では、単純労働の外国人労働者が100万人流入すれば、賃金は24%下落するという。

 安い労働力が手に入るようになると企業は機械化への投資意欲を失う。設備投資が低迷すれば景気循環が停滞するだろう。

 また、経済の仕組みも変わってしまう。建設現場が外国人だらけになるなど、もはや外国人労働者ぬきには経済が成り立たなくなる。外国人に依存した経済で本当によいのだろうか。

 行政コストの増加も深刻だ。

 低賃金の外国人労働者が増えれば、公的住宅を用意する住宅コストや失業対策コストが跳ね上がる。日本語を喋れない外国人の子供が地元の公立学校に通えば、外国語が話せる職員を用意しなくてはならない。統計はないが、知人の教育関係者たちの話によれば、日本語が話せない児童は日本人児童の5~6倍手がかかるという。

 膨大なコストが発生する一方で、単純労働者は所得が低いため、納めるべき税金や社会保険料が安い。つまり諸々のコストで国や自治体の歳出は増えるが歳入は増えず、途方もない財政赤字が発生するのだ。

【プロフィール】もりなが・たくろう/1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社勤務時代に経済企画庁に出向。UFJ総合研究所などを経て、現在、獨協大学教授。著書に『森卓77言──超格差社会を生き抜くための経済の見方』(プレジデント社刊)などがある。

※SAPIO 2018年7・8月号

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