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米タイム誌を200億円で買収、セールスフォースCEOの野望

Forbes JAPAN のロゴ Forbes JAPAN 2018/09/18 09:00 Madeline Berg

© atomixmedia,inc 提供 セールスフォース・ドットコムのCEOでビリオネアのマーク・ベニオフと、妻のリン・ベニオフらが、米国のニュース雑誌「タイム」を1億9000万ドル(約210億円)でメレディスから買収することが明らかになった。

メレディスが9月16日にアナウンスした今回のディールは、同社がタイムの発行元である「タイム・インク」を28億ドルで買収してから8カ月後のことだった。交渉は今後の30日間で完了し、ベニオフ夫妻は米国で最も高い知名度を誇るニュース誌のオーナーになる。

「タイムは人々に影響を与え、人々をつなぐ役割を果たす人物やトピックを、独自のストリーテリングによって伝えてきた。米国の歴史や文化を象徴する宝といえる」とベニオフはツイッターで述べた。

メレディスのプレスリリースによると、買収後もタイム誌の編集体制に変化はなく、セールスフォースとは別の組織で運営されるという。メレディスはタイム誌だけでなく、タイム・インクが発行する「フォーチュン」や「スポーツ・イラストレーテッド」の売却先を探していたが、ベニオフらはタイム誌のみを買収し、編集業務には関わらないという。

タイム誌のエドワード・フェルゼンタール編集長は声明で、ベニオフらを最高のパートナーとして迎えることに感激していると述べ、今後も最高のジャーナリズムの実現を目指していくと話した。

ベニオフの資産額をフォーブスは67億ドル(約7500億円)と算定しており、彼は収益面で苦戦する伝統的メディアの再生を担う新たなビリオネアとなった。2013年にアマゾン創業者のジェフ・ベゾスは「ワシントン・ポスト」紙を2億5000万ドルで買収していた。ワシントン・ポストは当時、広告収入や購読者数の減少に直面していた。

今年6月には経営が悪化し、人員削減も伝えられた「ロサンゼルス・タイムズ」をバイオテクノロジー分野で成功した医師で実業家のパトリック・スンシオンが5億ドルで買収していた。

近年のメディアをとりまく環境の変化により、タイムも雑誌の売上の低迷や、ネット及び紙の広告収入の低下に直面した。「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事によると、タイム誌は昨年、発行部数の3分の1を削減したという。

当時の親会社だったタイム・インクは2017年に、前年度比8%の売上減を記録し、300名を解雇した

しかし、調査企業「comScore」のデータによると、デジタル動画への注力により、タイムのウェブ版の月間ユニークユーザー数は3000万人以上に増加し、過去3年で15%以上の伸びとなっているという。タイム誌がデジタルへの注力を進め、現在のメディア環境に沿った運営を行えるかどうかは、ベニオフの手腕にかかっている。

メレディスのチーフエグゼクティブのTom Hartyは、「90年以上もの間、タイム誌は世界の主要メディアの一つとして君臨してきた。ベニオフの経営手腕によって、タイムがその栄光を保つことを期待する」と述べた。

セールスフォースの会長兼CEOを務めるベニオフは、10数社の企業に投資を行ってきたが、その大半はテクノロジーやソフトウェア領域の企業だった。その1社であるサイバーセキュリティ企業の「Illumio」の企業価値は10億ドル以上となっており、傘下には不動産アプリの「Compass」やホテル向けソフトウェアの「Duetto」もある。

アリアナ・ハフィントンの新たなメディア企業「Thrive Global」にも出資を行っているベニオフは、「タイム誌は世界の現状を映し出す鏡のようなメディアであり、そのビジネスは変革の時期を迎えている」と述べている。彼は現時点ではフォーブスからのコメントの依頼に応じていない。

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