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脱中国を検討する企業、「タイに照準」も多数

Forbes JAPAN のロゴ Forbes JAPAN 2019/06/12 06:30 Kenneth Rapoza

© atomixmedia,inc 提供 タイ投資委員会(BOI)によると、中国の生産拠点をアジアの別の国に移転させたい企業がタイへの投資を申請するケースが急増している。米国から課される関税を回避するため、タイでの事業開始を検討しているのだ。

BOIニューヨーク事務所のクン・チョークディー事務次長によれば、今年第1四半期に中国にあるBOIの事務所3カ所に相談に訪れた同国の企業は、前年比で40%増加した。「大半は(米中の)貿易戦争が理由だと考えられる」という。

中国では、事業にかかるコストが増加していることや、規制の強化を理由に別の国に拠点を移す企業もある。移転に向けた準備を加速させる企業は昨年から増加しており、アパレル業界など、いくつかの業界では一部の企業がすでに転出している。また、中国に拠点を置く企業の中には、関税の支払いを避けるため、米国向けの輸出には香港の港を利用しているというものもある。

調達先を中国からベトナムに変更した企業もある。スティーブン・ムニューシン米財務長官も先ごろ、自国企業は中国からの調達について再考すべきだろうとの見解を示した。

一方、ドナルド・トランプ米大統領が2020年の大統領選で敗れる可能性もあるとして、「様子見」の姿勢を保つ企業もある。ただ、チャイナウオッチャーらによれば、トランプが再選を果たせば、中国で事業を行う企業がタイなどのへの関心を一層高めるのは確実とみられる。

その他、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP、TPP11)の影響を見定めようとする企業もある。現時点で加盟している11カ国には、自国経済に対する中国の影響が大きいオーストラリアやベトナム、米経済の影響を強く受けるメキシコ、カナダも含まれている。

拡大する関税率引き上げの影響

中国から製品を調達している米国企業に課される関税率は、これまで平均4%だった。だが、現在はそのうち少なくとも半数が、25%の関税を課されている。米国向けに輸出される中国製品全てが関税引き上げの対象となれば、サプライチェーン・モデルを変更しようとする企業は増えるだろう。

英資産運用会社マーティン・カーリー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオ・マネージャーで新興国市場担当チームを率いるキム・カテキスは、「トランプの貿易戦争によって、経済における利害関係が変化している。それが世界のサプライチェーンにどのような影響を及ぼすのか、まだ全体像は明らかになっていない。だが、変化は起きている」と語る。

カテキスはまた、トランプが2020年の大統領選で勝利すれば、「高い関税率は維持されることになる」とみている。つまり、これから数年間、タイに照準を定める外国企業は多くなるということだ。

チョークディー事務次長は、「あるのはチャンスとリスクのどちらかだけだ。現時点では、タイにとっては機会が危険を上回っている」と述べている。

米国からの直接投資が増加

タイはこれまで、高いスキルを必要としない製造業が中心の国だった。中国企業によるタイへの投資は主に、電気製品と自動車部品関連の分野に集中していた。だが、バリュー・チェーンにおけるタイの地位は向上している。国内市場は安定し、輸送インフラも改善している。

世界銀行グループの報告書「ビジネス環境の現状2019」によれば、タイは事業を行いやすい国のランキングで、カンボジアやミャンマー、ベトナムよりも上のランクにつけている。だが、マレーシアやシンガポール、台湾、そしてコストが高額になる韓国よりも下の順位だ。

また、タイへの直接投資(FDI)が最も多いのは日本だ(米中もトップ5には入る)。ただし、昨年は石油大手エクソンモービルが63億ドルを投資したことから、米国の投資額が日本を上回った。

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