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自動車メーカーがオートサロンに本腰のワケ 各社が「一般向け」狙いでカスタムカーを強化

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/01/13 08:00 森川 郁子
「東京オートサロン2018」が開幕。会場となった幕張メッセには880台ものカスタムカーが所狭しと並んだ。メジャー化でオートサロンの性質も変わりつつある(写真:東京オートサロン事務局) © 東洋経済オンライン 「東京オートサロン2018」が開幕。会場となった幕張メッセには880台ものカスタムカーが所狭しと並んだ。メジャー化でオートサロンの性質も変わりつつある(写真:東京オートサロン事務局)

 低い車高に厳ついフロントグリル、派手な塗装に、ぎらぎらと艶やかに光るホイール。幕張メッセにカスタムカーがずらりと並ぶ。1月12日、改造車の祭典「東京オートサロン2018」が開幕。最先端技術を披露するモーターショーとはひと味違い、最高性能を備えたスポーツカーや、こだわりを尽くしたカスタムカー、カスタムパーツが1月14日まで展示される。

 今年の出展社数は422社と2017年を30社あまり下回ったが、展示車両は880台と史上最高規模に。広いブースを求める企業が増え、後から申し込んで出展を断られた企業もあったほどだ。来場者数も近年増加傾向だ。2017年は3日間で32万人あまりが来場した。同年の東京モーターショーの来場者数は10日間で77万人あまり。引けも取らない集客力だが、来場者が増えメジャー化したことで、オートサロンの性質は変化しつつある。

自動車メーカーがカスタムカーを強化

 今年の展示で目立つのは自動車メーカー自らが手掛けるカスタムカーだ。車のユーザーがパーツを1点ずつ買い、カスタマイズするのは手間がかかりハードルも高い。カスタムカーを1台まるごと買う方が手間が減る、というニーズに応えた形だ。一般受けを狙ったデザインの車が増えていると業界関係者は口をそろえるが、カスタムカーの販売を伸ばしたい自動車メーカーの動きが一因にありそうだ。

 ホンダは、国内発売前の「CR-V ハイブリッド」や人気車種「シビック ハッチバック」のカスタムカーを出展。人気車種の走行性を標準車より高めた「モデューロX」シリーズでは「ステップワゴン」や先月発売したばかりの「フリード」がブースに登場。バンパーやエアロパーツ、ドアミラーの色や素材も、標準車と異なる。これらはフロアマットなど純正アクセサリーを扱うホンダアクセスがチューニングしている。

 ホンダアクセスのブースでは、スポーツカー「CR-Z」をアウトドア仕様にした「Re:Z」や、人気キャラクター「バーバパパ」とコラボレーションしてカスタマイズした「N-BOX」など、社員による自由な発想を具現化したコンセプトカーが展示されており、賑わいを見せていた。

 マツダは先月発売した「CX-8」の車高やホイールをアレンジした特別仕様車や人気スポーツカーの「ロードスター」をレース向けにカスタマイズした「NR-A」を展示。マツダで用品企画を担当する山岡聖樹アシスタントマネージャーは「こういった場所で展示することで、カスタムの一案を提案している。ロードスター購入者は、こだわりを尽くしたい人も多い。ユーザーの大半が何かしらのパーツをカスタムしているのでは」と話す。

 会場では、スマート「フォー・ツー」の特別仕様車や、スズキが先月発売したばかりの「クロスビー」をカスタマイズしたコンセプトカーなど、女性受けの良さそうなかわいらしいカスタムカーも目立った。自動車メーカーが発売直後、あるいは発売間近の新型車でカスタムカーを手掛けるのはここ数年の新しい動きとも言える。

アルパインもカスタムカーを独自開発

 オーディオ用品メーカーのアルパインは、各社の主要ミニバンやSUVを買いあげ、独自開発して装備したカスタムカー「アルパインスタイル」を2017年から発表し、好評を得ているという。主力製品であるナビやオーディオ周りのみならずシートやライトなどの内装、エアロパーツ・ホイール・バンパーなどの外装パーツや、リアゲートの自動開閉機能などを、上級グレードではなくても追加できるようにすることが狙いだ。

 「ファミリー層の使い勝手を考えた。アルパインならではの発想で攻める部分もありつつ、下品にならないようなバランスを考えている」(広報)といい、パーツからカスタマイズするのでも、自動車メーカーが販売するカスタムカーでもない、新たな視点を取り入れた第3の選択肢として、提案をしている。今年のコンセプトモデルは、左側のフロントバンパーにカメラを付けて死角の視界を補ったり、スピーカーにライトを付けたりと、新たな試みを追加した。

 自動車メーカーはモータースポーツの発信にもオートサロンを活用する。トヨタはWEC世界耐久選手権で登場する「TS050 HYBRID」とほぼ同じパーツでできている「GRスーパースポーツコンセプト」を世界初披露。GAZOORacingカンパニーの友山茂樹プレジデントは、「現役のスポーツカーを使って市販車を作る新しい時代が始まっている」と、市販化への意気込みを語った。

 オートサロンの何が車ファンを引き付けるのか。来場者は男性が圧倒的に多いが、屈んでホイールの写真を熱心に撮っている女性ファンもおり、年齢層も多岐にわたる。海外からの来場者も目立つ。タイのテレビ局スタッフは、「タイではカスタム文化はあまりないので興味深い」と強い関心を示す。

 出張で来たという中国のホイールメーカー社員は、「オートサロンは中国でも有名。ホイールのデザインや色も豊富で面白い」と話す。実際、会場には数多くのアフターパーツメーカーが出展するが、ひときわ目立つのが、ホイールのブースだ。凝ったデザインや色のホイールが所狭しと並ぶ。

 アルミホイールメーカーのウェッズは、アジアなどに輸出もする日本メーカー。軽自動車から高級車まで、さまざまな車に対応できるよう多ブランドを展開し、価格は1本2万~10万円台が相場だ。目に付くパーツなので個性を出しやすく、がらっと印象を変えることができそうだ。オートサロンはカスタムパーツメーカーにとって海外への発信の場でもある。

"カスタム文化"を新車販売の起爆剤に

 2017年の国内新車販売は523万台あまりと前年を5%上回った。2年ぶりに500万台を超えたとはいえ、人口減少に伴い今後市場は縮小していく。そんな時代を見据え、自動車メーカーはオートサロンに商機を見出している。車を自分好みにアレンジする楽しさを訴求し、車を魅力的に思うファンを増やすことが狙いだ。また、1台当たりの収益率も高いカスタムカーが売れるようになれば、たとえ台数が減ったとしても、収益を確保できる。

 かつてはやった本格的な「改造」は下火となりつつあるが、手軽かつ安価に自分の好みに合わせた「カスタム」の選択肢を増やそうと、業界各社の取り組みは熱を帯びる一方だ。自分の大切な車をファッションのように楽しむトレンドが、再び盛り上がるかもしれない。

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