古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

読書で大切なのは「全体から部分」を心がける

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2018/04/17 06:00 さかはら あつし

西新宿に実在する理容店を舞台に、経営コンサルタントと理容師が「繁盛する理容室」を作り上げるまでの実話に基づいたビジネス小説。「小さな組織に必要なのは、お金やなくて考え方なんや!」の掛け声の下、スモールビジネスを成功させ、ビジネスパーソンが逆転する「10の理論戦略」「15のサービス戦略」が動き出す。<理容室「ザンギリ」二代目のオレは、理容業界全体の斜陽化もあって閑古鳥が鳴いている店をなんとか繁盛させたいものの、どうすればいいのかわからない。そこでオレは、客として現れた元経営コンサルタントの役仁立三にアドバイスを頼んだ。ところが、立三の指示は、業界の常識を覆す非常識なものばかりで……>すでに15回にわたって連載した『小さくても勝てます』の中身を、ご好評につき、6回分を追加連載として公開します。

本は1ページ目から順番に読んではダメ

【2年目の春】

ある日曜日、「髪を切ってくれ」と立三さんが連絡してきて、例によって午前11時に、店に現れた。

どっかりとバーバーチェアに座った立三さんは「あれから何した?」と言った。

「マイケル・ポーターの本を買ってきて、毎日少しずつ読んでいます」と答えた。

「見せてみ」と立三さんが言うので、持ってきていた本を渡した。

「へー、『競争の戦略』。親本を買ったんか? これ、500ページくらいあるで」

「はい」

立三さんは本をパラパラめくりながらつぶやいた。

「あちゃー。これは、最悪の読み方やな」

「へ?」

「君の読み方は、頭から順に赤ペンで線を引きながら丁寧に読むやり方やろ」

「いえ、オレは蛍光ペンを使ってます」

「あほ、おんなじや!」

「すいません」

「こういう読み方は疲れるし、理解できへん。ええことなんにもない」

「じゃあ、どうしたら……」

「あのな、読書で大切なんは『全体から部分』を常に心がけることや」

「全体から部分すか?」

早く、軽く、繰り返して読む

「ええか。この人差し指の先をじっと見てみ」

立三さんは右手の人差し指で、鏡の中のオレの眉間を差した。

オレは言われたとおり、鏡の中の立三さんの人差し指を見つめた。

「今から動かすからじっとこの指先を追いかけるんやで」

立三さんはスーッと指先を右に動かした。

今度はスッと素早く左に動かした。

そして、スーッとセンターに持っていった。

そして、スッと素早く上に持っていき、今度は真下にスーッとゆっくり降ろした。

「目になんかストレス感じたやろ?」

「はい」

「同じこと、もう1回やるで」

立三さんは、さっきと同じ動作を繰り返した。

「どや、今度はストレス軽かったやろ」

「本当ですね」

「なんでか言うたらな、『こんな感じ』という全体像を一度つかんでたから、2度目には指の動きを予想できたんや」

「なるほど」

立三さんは、バーバーチェアに座りなおして言った。

「『競争の戦略』の親本ではなく、コンパクトにまとめた本があったやろ?」

「ありました」

「コンパクトということは、全体が圧縮されてるやろ」

「なるほど、そうですね」

「それを先に読んでから親本を読みたかったら読んでもいいが、目次だって全体の要素を圧縮してるから、目次をしっかり読んでから、本文を読んだらええんや」

「なるほど」

「序文やまえがきは『何が書いてあるか』をまとめているから、そこを先に読むのもいい。あとがきが役に立つこともある」

「はい」

「早く、軽く、少々理解できなくても、細部にこだわらず繰り返して読むのも『全体から部分』の動きやろ」

「言われてみれば、そうですね」

「だから、本を読む時は、いつも『全体から部分』を原則として付き合うんや。わかったか?」

「はい」

難しい本は3歳の子が書いたと思って読む

「あと、どんな難しい本も、3歳の子が書いたと思って読んだら楽やと覚えておいたらええ」

「3歳の子が書いた本すか?」

「そう。そうしたら『この子は何が言いたいんかな?』と想像して、能動的に読むようになる。能動的に読めたら、さっきの目を動かした時のような負担も減り、全体を正確に把握できるようになる。あとは、全部理解しようと欲張らんこと、読書の目的を絞っておくこと、必要なことさえわかったらええんやと割り切ることやな」

ダイヤモンド・オンラインの関連リンク

ダイヤモンド・オンライン
ダイヤモンド・オンライン
image beaconimage beaconimage beacon