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韓国の個人投資家、北朝鮮リスクでも強気の理由

The Wall Street Journal. のロゴ The Wall Street Journal. 2017/08/10 Min Sun Lee

 米国と北朝鮮が8日夜に脅迫の応酬を繰り広げたことを受け、韓国の株式相場は下落し、為替相場は4週間ぶりの安値をつけた。

 だがそれでも多くの韓国人は株を買い続けると話している。年初から上昇が続く世界の株式市場から手を引くことに消極的な投資家が多いことをあらためて示すものだ。

© Provided by The Wall Street Journal.

 その一例が、米朝の激しいつばぜり合いにも動じない、熱心な株投資家パク・ヨンスクさん(60)だ。

 ソウル郊外の水原市に住む私立学校経営者のパクさんは、10年以上前から韓国株に投資しており、北朝鮮との緊張関係が強弱するのを何度も目にしてきた。パクさんは、北朝鮮の好戦的な態度は自分のポートフォリオにはおおむね無関係で、むしろ市場が落ち込めば買い増しのチャンスとみている。

 パクさんは「長期的に見れば、北朝鮮リスクは投資機会だ」とし、「北朝鮮リスクによって韓国や韓国企業が崩壊することはない」と話す。

 8日にドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮は「炎と怒り」に直面すると脅しをかけ、それに対し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はグアム島周辺へのミサイル攻撃を検討していると応じた。米朝の言葉の応酬がここまでエスカレートしているにもかかわらず、韓国の株式相場が依然、過去最高水準にとどまっているのはパクさんのような投資家の存在が大きい。

 韓国の総合株価指数(KOSPI)は、7月に過去最高値の2451.53ポイントをつけてから若干下げ、9日には前日比1.1%安の2368.39ポイントとなった。ウォンも対ドルで4週間ぶりの安値をつけ1ドル=1135ウォンとなった。韓国国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は7月に上昇し、一部の投資家が同国のリスクが高まっているとみていることを示唆した。

 しかし、KOSPIは年初来では17%高と、世界で最も高パフォーマンスな株価指数の1つとなっている。7月には6年ぶりに8日続伸を記録した。北朝鮮が相次いでミサイル発射実験を行い、韓国で最も影響力をもつ実業家でサムスングループの後継者、李在鎔被告が長期の懲役刑を言い渡される可能性があったにもかかわらずだ。

 弱気どころか、韓国の個人投資家はリスク選好を強めている。1億ウォン(約1000万円)以上の大口売買の数は今年、異例なほど増えており、7月末時点の株式購入資金の借入額は763億ドルと記録的水準に達している。

 株式投資セミナーも盛況だ。7月末のある土曜の午後、年金生活者を中心とする約80人がソウル中心部の一室に集まり、ケーブルテレビの金融番組に出演する株式アナリスト、キム・ソンナム氏の韓国相場に関するアドバイスに耳を傾けていた。長年の不振を経た今が買い時だ、というのが同氏の助言だ。

 「韓国相場は不当に低く評価(コリアディスカウント)された状態にあり、他に台頭するリスクは残されていない」

 キム氏は、床や窓の敷居に腰掛ける人がいるほど満杯になった部屋の聴衆に向かってこう語った。

 こうした強気な状況の一因は、長年の市場低迷で韓国株が比較的割安に見えることにある。年序盤の混乱は去り、政府は安定し、輸出を中心に経済成長は堅調だ。

 外国人投資家が韓国市場から引き揚げ始めるなか、国内投資家の関心が重要度を増している。国際金融協会(IIF)によると、外国人投資家は1~6月に韓国株式市場に77億ドル投資したが、7月初め以降は9億9500万ドルの資金を引き揚げている。

 パクさんは2007~08年の金融危機で損失を被った。しかし今は事業を拡大したり、同僚に夕食をおごったりできるだけの利益を上げているという。

 9日の相場下落時には取引を控えたというパクさん。「(韓国の)投資家は経験上、地政学的リスクは長く続かないことを分かっている」と話した。

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