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頼りにならない上司にありがちな残念思考 事実を見極めず、部下の予測を真に受ける

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/03/11 11:00 寺嶋 直史
「マズいことになりまして……」という部下の相談にも落ち着いて対応できることが頼れる上司に求められる姿です(写真:EKAKI / PIXTA) © 東洋経済オンライン 「マズいことになりまして……」という部下の相談にも落ち着いて対応できることが頼れる上司に求められる姿です(写真:EKAKI / PIXTA)

 急ぎ仕事が舞い込んで、突発的に残業になってしまっても、「この人に頼まれたなら頑張ろう」と思える上司や先輩がいます。あるいは、仕事でつらいことがあったり、ミスをしてしまったりしたときでも、「この人がいれば安心」という人がいれば、前向きに仕事に取り組めるでしょう。

 しかし、実際に職場を見てみると、そんな力のある上司や先輩は、いつの間にか姿を消してしまっているといいます。数十社もの倒産寸前の企業を再生させてきた『究極の問題解決力が身につく瞬発思考』の著者、寺嶋直史氏が職場で頼れる存在になるための考え方、取り組み方を解説します。

大事なお客様からクレームが来て、すぐに解決しなければいけないのに、1人では結論を出せないとしましょう。

 このとき、上司に相談したのに、その答えがまったくの的外れだったり、

 「それはあっちの部門の責任だから、そっちへ行け」

 と他に押しつけたり、結論のない話で解決策が見いだせなかったりしたら、相談した部下は「ガッカリ」します。けれども、このようなやりとりが日常茶飯事な職場も多くあります。この「ガッカリ」が、部下からの信頼を失い、尊敬できない上司・先輩になってしまう大きな原因なのです。

「結果が出ない」原因は「問題解決力の欠如」にある

 私が10年近く事業再生コンサルタントとして、さまざまな業種の中小企業の事業再生のアドバイスをしているなかで、企業・個人とも「成績があがらない」「結果が出ない」原因が、この「問題解決力の欠如」にあることに気がつきました。

 信頼関係のない職場では、「過去の成功事例に基づく判断ばかりする人」「批判ばかりして結論を出さない人」「上司やルールに従うだけの人」「そもそも何も考えていない人」が多く、

 ・実態の把握

 ・原因の分析

 ・具体的な解決策の提案

 を体系立ててできる人がほとんどいない状況だったのです。

 たとえば、ある商社で、部下から次のような相談を受けたとします。

 「お得意先が、P商品の仕入れ価格を10%値下げしてほしいと言ってきています。一度断ったのですが、引き下がってくれません。実は先日、私のミスで納品が遅れてすごく怒られたことがありました。そのとき、競合のC社より当社の商品が高いと言われていたんです。そのときはなんとか収めましたが、今回のことをきっかけに、C社の商品に切り替えられてしまうかもしれません。うちも、値下げをお願いできないでしょうか」

 この相談に対して、今後の販売継続のため、かつ納期遅延の謝罪の意味も込めてP商品を値下げすべきなのでしょうか。

 いえ、この場合は、結果的に値下げをすることになったとしても、この段階では値下げの判断をすべきではありません。その理由を3つにまとめてみます。

値下げの判断をすべきではない理由

 ①因果関係を「予想」してしまっている

 問題を正しくひもとくためには、現状をきちんと把握することが不可欠です。

 その視点で今回の相談を見てみると、

 「納品ミスやC社との値段の差によって、値下げ要求をしてきている」

 という部下の相談には、実は根拠がありません。

 今回の値下げ要求に、納品ミスのペナルティの意味があるかどうかはわかりませんし、また競合C社が類似品を当社より安く売っているのは事実でも、それが関係しているかどうかもわからないのです。

 ②今後の展開も「予測」にすぎない

 部下は、「値下げしないとC社の商品に切り替えられてしまうかも」と言っていますが、実はこれも不確実な情報です。たとえば得意先が、

 「C社より安くしないとP商品は販売しない」

 と言ってきたのであれば、対策をしなければいけません(もちろん撤退も一案です)。しかしここで登場した情報だけでは、判断することはできないのです。

 ③部下の予測に「乗っかっているだけ」になっている

 この相談を受けて値下げをした場合、本当に求められる「上司」としての仕事をしているとはいえません。なぜなら、部下の予想や予測を聞いて「Yes」と言っているだけで、そこに上司の考えや判断は何もないからです。

 反対に、「会社の方針として値下げはできない」と退けるにしても、ただそれだけを伝えるならば、その上司でなくてもできます。

 これでは、部下との信頼関係はいつまでも築かれませんし、部署として正しい判断を下すこともできないでしょう。

求められる上司の行動は

 ここで求められる上司の行動は、得意先に「必要な情報を確認する」ということです。部下に指示してもいいですし、必要に応じて上司が自分で行動するなどして、部下の相談の「事実ではない部分」について相手に確認をとっていくのです。

 実際、このケースでは、下記のことが明らかになりました。

 ・納品ミスは事実だが、判明した後の迅速な行動によって、きちんとカバーできていた

 ・当社の製品にはリピーターが多く、C社の製品とはターゲットが違う

 ・今回の値下げ要求は、セール期間中の一時的なものであり、他社にも同様に依頼している

 事実ではない部分をきちんと見極め、確認するだけで、的確な対応がとれるようになります。

 部下も、自分のミスや得意先の喪失という不安から解放され、すがすがしい気持ちで仕事に取り組めるようになるでしょう。上司・先輩として職場を率いていく立場であれば、このような「問題解決の思考」を身に付けることを強く意識したほうがいいのです。

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