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「相談役・顧問」が多い企業100社ランキング 1位はパソナとIHIの30人、上位企業は?

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2019/08/14 07:30 佐々木 浩生
相談役・顧問制度について東洋経済では調査を実施しました(写真:8x10/PIXTA) © 東洋経済オンライン 相談役・顧問制度について東洋経済では調査を実施しました(写真:8x10/PIXTA)

 2018年1月から各社のコーポレート・ガバナンス報告書で、代表取締役社長等経験者が就任した相談役・顧問に関して任意開示されることとなった。東芝の不正会計問題発覚時(2015年)に、同社の相談役や顧問の経営への関与が影響したと疑われ、その存在が外部に開示されていなかったことなどが問題視され、この開示につながったといわれる。

 この動きを受けて、「第13回東洋経済CSR調査」(2017年6~10月実施)から、調査票に「相談役・顧問制度」に関する質問項目を加えて調査を開始した。

 質問項目の内容は代表取締役社長等の経験者以外も含む相談役・顧問の状況についてであるが、「第14回東洋経済CSR調査」(2018年6~10月実施)でも同じ質問項目で調査したところ、初調査の1071社を上回る1127社から回答があった。

 以下、初調査の際と同様に回答で得られたデータを用いて集計結果やラインキングなどを紹介していく。

 まず、相談役・顧問制度の有無について見ると、「あり」60.4%(681社)、「なし」34.4%(388社)、「その他」5.1%(58社)という結果になっている。

回答企業の6割超が制度導入

 初調査結果に比べて「あり」と回答した企業の割合は2.0ポイント下がっているものの、今回調査結果でもまだ6割を超えている。また、「その他」58社についても「(相談役制度の導入はない、あるいは廃止したが)顧問制度のみは導入」「導入していないが、個別に委任することがある」といった内容に加え、相談役や顧問の人数が回答されているケースも少なくなく、初調査時と同様に、「制度が」実質的に「あり」と判断できそうなケースが目立つ。

 次に、「あり」および「その他」と企業が複数選択可で回答した相談役・顧問制度の導入目的について見ると、「現経営陣へのアドバイス」71.9%(531社)、「対外活動」45.3%(335社)、「その他」12.6%(93社)となっており、初調査結果と同様に「現経営陣へのアドバイス」が導入目的として選択された割合が7割を超えた。

 では、相談役と顧問ではどちらが多いのだろうか。相談役または顧問の人数を開示している602社の相談役の合計人数は300人で、同じく顧問は1505人。今回の調査でも、人数では顧問が圧倒的に多かった。

トップ2社の導入目的は「現経営陣へのアドバイス」

 ここからは、相談役・顧問の合計数によるランキング結果で各社の状況を見ていくことにする。あくまでも調査票の質問項目へ回答に基づくものであるため、情報開示をしっかり行っている先進企業内での順位であることには注意していただきたい。さらに詳細なランキングは『CSR企業白書』2019年版(上位200位まで掲載)を見ていただきたい。

 表には参考情報として、『役員四季報』2019年版より取締役数を掲載しているので、取締役数と比べて相談役・顧問数がどの程度の規模なのかも見ることもできる。

 ランキングの1位は30人のパソナグループとIHI。パソナグループの場合、すべて顧問であり、人数は初調査時と同じだが順位は上がった。導入目的は現経営陣へのアドバイスで、導入メリットは、おのおのの知見を生かした助言、指導、人脈紹介等と回答している。

 IHIの場合は相談役1人、顧問29人で顧問数が初調査時より2人増えた。導入目的は現経営陣へのアドバイスと対外活動。同社の2019年6月28日付コーポレート・ガバナンス報告書によると、相談役には任期があり、顧問には特別顧問、名誉顧問の役職があり、2人の名誉顧問がいる。相談役・特別顧問・名誉顧問は業務執行・意思決定には一切関与しないが、経営の求めに応じて意見を述べているということだ。

 3位は26人の三菱マテリアル。初調査に比べ相談役は0人から1人に、顧問は19人から25人に、というように初調査でも回答があった企業の中で最も相談役・顧問数が増え(7人増)、順位も上がった。導入目的は、現経営陣へのアドバイスと対外活動。導入メリットとして、顧問はその事業における豊富な経験や専門知識に基づいた助言を行っているほか、人脈を活用した社外関係先との関係維持に役立っていることを挙げている。

 4位は25人の神戸製鋼所。初調査に比べて相談役が0人となる一方、顧問が3人増え、すべて顧問となった。導入目的は、現経営陣へのアドバイスと対外活動。導入について、事業分野が多岐にわたる同社においては、幅広い分野における専門家や経験者からのアドバイスが必要であり、その点でメリットを享受しているとしている。

 5位は23人の高砂熱学工業。今回初めて回答を得られた企業だ。23人すべてが顧問だが、導入目的は現経営陣へのアドバイスであり、メリットは各方面の専門分野の人によるアドバイスは有効であると考えている。

 6位は22人の日本電産。顧問制度のみの会社で初調査時と同数だが、順位は上がった。導入目的は現経営陣へのアドバイス。メリットとして、①長年蓄積されたノウハウの社内伝承、②専門性の高い特異な領域において、その豊富な経験則や専門知識に基づいた実務的な助言を日常的に求めることができる――の2点を挙げている。

 7位は21人の電通。内訳は相談役2人と顧問19人で、初調査時より顧問数が4人増えた。導入目的は、現経営陣へのアドバイスと対外活動。特定の専門分野におけるアドバイザリーとしてたいへん有用。経営当事者でない立場で、クライアントをはじめとした社外とのリレーションシップの継続維持が可能。また海外事業会社の取締役として統括も担っている、といったことが導入メリットのようだ。

 以下、8位に20人の戸田建設(相談役4人、顧問16人)、9位に19人のケンコーマヨネーズ(すべて顧問)、10位に18人のヤマダ電機(すべて顧問)と鹿島(相談役1人、顧問17人)などが続く。

初開示した企業も上位にランクイン

 トップ10の企業のうち7社は初調査時に比べて順位を上げた企業で、そのうちの5社は初調査でもトップ10に入った企業だ。鹿島を除いた残りの3社は、相談役・顧問制度に関する質問項目に初回答した企業あるいは相談役・顧問の人数について初開示した企業だ。

 とくに、興味深いのは10位のヤマダ電機。同社は初調査では、制度なしと回答しており、未導入の理由を「必要でない」としていたが、今回の調査では制度ありと回答している。導入目的は「各部署へのアドバイス」を挙げ、「長年の業務経験を生かし各部署へのアドバイスをしている」ことを導入メリットとして回答するなど、初調査と今回の調査の間に大きな方向転換があったようにみえる。

 一方、初調査時より順位を下げた企業を見てみると、初調査で1位だった大林組は、相談役・顧問合計数を35人から14人に減らして16位に順位を下げた。同じく大幅減で順位を下げた企業としては、セーレン(17人から7人に減らして14位から49位に)、朝日工業社(18人から11人に減らして10位から25位に)、シンフォニアテクノロジー(11人から6人に減らして31位から66位に)、加賀電子(10人から5人に減らして36位から84位に)などが挙げられる。

 ただし、大林組の回答の注記を見ると、回答された合計数14人のうち13人が顧問だが、この13人は常勤でほかに、非常勤の顧問が存在するという。初調査回答の合計数35人はすべて顧問だったが、この中に非常勤の顧問の人数も含まれたものと思われるので、非常勤の人数含めたら、同社は今回調査でも上位にランキングされたかもしれない。

 今回の調査も初調査同様に、相談役・顧問数は常勤・非常勤を区別した調査はしていない。よって、少なくとも上位にランキングした企業は常勤・非常勤の合計数を回答していると思われる。

 また、制度の有無についてのコメントを見るに、相談役制度や、代表取締役や取締役が退任後、自動的に顧問に就任する制度はすでに廃止されたというものが目立つ。東芝の問題を受け、そのような措置をとった企業も少なくないだろう。その一方で、ヤマダ電機のように新たに制度を導入したと思われる企業や制度を変更して顧問を置いている企業もある。

相談役・顧問導入の意義をしっかりと説明できるか

 今回の調査でも、制度の導入メリットについての回答を見ると、「国内外の幅広い人脈や高い見識、特定分野における高度な知識と経験を踏まえた会社へのアドバイス」を得られるなど、初調査時と同様に、相談役や顧問を置くことについてメリットを感じている企業は少なくないように思える。中には、「なるほど」と納得させられる回答も目にする。

 願うことは、回答されたメリットの内容が模範解答の域を超えて、目で見える成果につながることである。またすでに成果が出ているのであれば、他社の手本になるよう積極的に制度内容や具体的なメリットや成果を開示してほしい。初調査時にも述べたことの繰り返しになるが、コーポレート・ガバナンス報告書への任意開示以外にも、CSR報告書やサステイナビリティ報告書の中でわかりやすく説明することも必要だと思われる。

 東洋経済新報社のCSR調査においても、継続して相談役・顧問に関する情報を収集していきたいと考えている。今後も調査へのご協力をお願いしたい。なお、今回掲載した情報は取締役数も含め、すべて『CSR企業総覧(ESG編)』に収録されている。調査や研究の際にご利用いただきたい。

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